東洋医学的日々雑感

東洋医学的日々雑感27 『論語』について最近考えてみたこと(5)

この不評シリーズも、今回がついに最終回です(笑)

今回は東洋医学における臨床と古典との関係について、いろいろと考えてみました。
両方やるというより、臨床(治療)をやりながら古典を読むとメチャクチャ楽しいですよ、というお話です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます!
 
 

2-2.古典の記述と臨床


・古典を学ばないとわからないこと

前回に書いたような意味で、
やはり原文を読まないとわからないことがいろいろとあります。
 
ちょっと専門的になりますが、例えば『難経』(約二千年前に書かれた鍼灸の古典)という書物にこんな文章があります。
 
肝脈を得れば、その外証 善く潔し、面青くして善く怒る
肝の脈があらわれると、その外側に表れてくる兆候としてはよく潔となり、顔面は青く、しばしば怒る
 
これを現代語訳で「潔(キヨ)きを善(コノ)み」と読み、「清潔好き」と訳している本があります。
肝の脈があらわれている人は清潔好きって、なんだか面白なぁって思いませんか?
肝という臓は気の流れと関係が深くて、ストレスの影響を受けやすい臓といわれるから、そういう人って几帳面で清潔好きなのかな、なんて納得してみたりして…。
 
ところが『玉篇』という古代の辞書には「潔、俗絜字」(潔は絜の俗字である)とあり、李今庸という古典に造詣の深い中国の湖北中医薬大学教授は、この「潔」は「瘈」という字のことで(似てるでしょ)、つまり瘈瘲(ケイショウ)という病のことだとしています。
 
瘈瘲とは、外感熱病、癲癇、破傷風などの病証にみられる、筋肉が引き攣るような症状を指します。
そう考えると、筋肉とか引きつれなどと関係の深い肝の病としては、かなり納得できます。
 
 
もちろん、どちらが正しいとするかはそのひとの解釈次第です。
なにが正解なのかは誰にもわからないんですから。
だって数千年前に書いた人に「どっちが正解ですか?」なんて聞けないわけですもんね。
そもそも書いた人が誰かも分かっていないわけで…。
 
けれど、それを頭の中だけでネチネチ考えるのではなく、
自分の治療経験のなかでジックリと検証して納得するのが、これまた楽しいんですよ。
基本的にこれらの古典は、ひとのカラダを治療するを前提に書かれているわけですから。
そんな古典の読み方もあるってことを知って欲しかったんです。
 
どうです? 
読んでみたくなりませんか?
他人が訳した本をただ鵜吞みにするよりも、自分でなんとかして読んでみたくなりますよね!
 
そうそう、ついでに先ほどの続きの部分も解説しておきますね。
肝を病むと、顔が青みを帯びてきて、よく怒るようになるんです。
これは現代の鍼灸においても同じことをいいます。
よーく他人の顔を観てみると、なんとなく青っぽい顔のひとや何となく黄色っぽいひとがいるもんです(笑)
 
 

・これからすべきことを考える

ということで、突然ですが今回の内容をまとめてみます(笑)
 
『論語』の、例の最初(第1回はこちら)に挙げた学而篇の文章に即して、東洋医学のことを考えてみます。
 そうです、こちらの文章です。
 
子の曰く、学びて時にこれを習う、亦た説ばしからずや。
朋あり、遠方より来たる、亦た楽しからずや。
人知らずして慍まず、亦た君子ならずや。
 
前に書いた私なりの噛み砕いた解釈を再掲しておきます。
 
学んだことがある程度時間がたったときに、しっかり身についていたんだと気づいたときは嬉しい。
ちょうど、古い友人が久しぶりに訪ねて来てくれたときみたいな感じだ。
もちろん、こういった楽しみを知らない人たちもいるけれど、
そんな人に対してイライラしたりはしない。そうなれれば立派だよね。
 
 
東洋医学において、学ぶとは、『黄帝内経』をはじめとする古典をジックリと読んで、この医学を臨床的に正しく習得すること。
習うとは、その古典のほんとうの意味を考えながら患者さんを治療することで、学びを自分のものにし、身につけること。
このどちらを欠いてもいけないということですね。
 
そして学んで身についたことが、
「旧友が突然、遠くから訪ねてきてくれたようで、楽しくて、嬉しくてたまらない感じになる」
のを是非とも実感しましょう!
その楽しみを他の人が知らないからって、それをどうこう思ったり言ったりしないというのも当然のこと。
 と、こういうことになります。
 
「一所懸命にひとを治療をして、良くなってもらうことが楽しい」って、とってもいいことですよね。
そんな治療家に、わたしはなりたいと常々考えています!
 
・付録
蛇足ながら最後に、論語からでた有名な四字熟語を紹介しておきます。
意味、知ってますか?
・温故知新 ・怪力乱神 ・過猶不及 ・侃侃諤諤 ・巧言令色 ・剛毅朴訥 ・切磋琢磨 ・戦々恐々 ・暴虎馮河
 
 

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やりなおし鍼灸治療学

東洋医学的日々雑感26 「神秘の巨大ネットワーク」を観て、東洋医学の面白さを再認識した話

NHKスペシャルで「シリーズ人体 神秘の巨大ネットワーク」というシリーズが始まりました。
すでにプロローグ、第1、2集の3回が終了しています。
その第1集のタイトルは「”腎臓”が寿命を決める」(2017/10/1放送)。
肝腎要(肝心要とする説もあり)の腎の話ですね。
 
観てみると、その内容は「東洋医学ってやっぱりすごいんじゃない?」と思わせるようなものでした。
もちろん制作者の意図とは少し違うのかもしれませんが、この番組を観て感じたり調べたりしたことをまとめてみることにしました。
ある意味、私の忘備録のような感じですので、興味のある方のみお付き合いください。
今回はかなり長いです(笑)
 

1.内容の紹介


まずは放送を観ていない方のために、簡単に内容を紹介しておきましょう。
じつは私も放送を見逃してしまって、先日オンデマンドで観ました(笑)

・高地トレーニングで鍛えているものは?

腎臓というと泌尿器系の器官のひとつで、血液をろ過し、尿を作るという認識が一般的です。
ところが腎臓は、ひとの寿命をも左右する人体の隠れた要であることがわかってきました。
腎臓は体中に情報を発信しながら、さまざまな臓器の働きをコントロールしているんです。
 
 
例えば、運動選手が持久力を鍛えるためにする高地トレーニング。
これによって鍛えられるのは、じつは腎臓なんです。
 
高地でカラダに酸素が足りなくなると、それを腎臓が察知してEPO(エポ:正式名称エリスロポエチン)という物質を出します。
この物質、「酸素が足りない」という腎臓からのメッセージを全身に伝えるいわゆる“メッセージ物質”です。
EPOが放出されると、血液の流れに乗って全身に広がり、にまで届けられます。
 
骨の中にある骨髄では、酸素を運ぶ赤血球がつくられていますから、EPOのメッセージが届くと赤血球が増産され、効率よくカラダ中に酸素を運べるようになるというわけです。
 

・腎臓は人体ネットワークの要?!

腎臓が出す“メッセージ物質”は他にもあります。
じつは腎臓は様々な“メッセージ物質”を放出することで、全身のいろいろな臓器と情報交換を行っていることもわかってきています。
 
その代表例としては、薬を飲んでも効果がまったくみられない重症の高血圧症の治療です。
高血圧とは無関係にみえる腎臓を手術することで、血圧が正常範囲まで下がるんです。
その理由は、腎臓が血液をろ過して尿をつくる際に、同時に血液の成分調整が行われていたから。
 
腎臓の本当の役割は尿をつくることではなくて、さまざまな臓器から情報を受け取って、血液成分を適正な状態にコントロールする「血液の管理者」だったんです。
これぞまさに「人体ネットワーク」の要ともいうべき存在ですね。
 
ですから、腎臓が異常をきたすとそれが他の臓器に悪影響をもたらすし、逆に他の臓器で異常が起こるとその影響が腎臓に及びます。
そういう意味で腎臓と関連性があるとされる臓器は、心臓、肝臓、肺、脳、腸、骨など多岐に亘っています。 
 

・長寿を決める物質って?

話は変わりますが、いろいろ動物の寿命について、一般的には体が大きい動物ほど長生きだと言われていますよね。
ところが、体が小さいのに長生きする動物もいるんです。
その代表がハダカデバネズミ(約28年)、コウモリ(約30年)、そして人間(約75年)です。(カッコ内は平均的な寿命)
いまのところ、血液中のリンの量が少ないほど長生きするらしいんです。
 
リンは肉や豆類に含まれる大切な栄養素で、不足すれば呼吸不全、心不全などを発症します。
逆に多過ぎれば、骨粗鬆症、動脈硬化を発症します。
 
リンも腎臓が調節していて、腎臓の機能が低下するとリンの調整機能が低下し、老化が加速するようです。
そのメカニズムはまだ解明中らしいのですが、血液中のリンが増えると血管の内側で石灰化が進み、血管が硬くなることがその一因とされています。
 
腎臓はリンの量の絶妙な調節に関して、骨のメッセージを聴いていることも分かっています。
骨は体内のリンの貯蔵庫としてその量を常に監視していて、その増減を腎臓にメッセージとして伝え、腎臓もそれに応じてリンの量を調節するというわけです。
 
 
これってある意味、凄いシステムですよね。
言ってみれば「腎臓の働きと寿命には密接な関係がある」ということになります。
 
ついでながらこのリン、不足よりも過剰摂取しやすい栄養素なんです。
ちなみにリンを含む食品添加物にリン酸塩がありますが、ソーセージやハム、缶詰、調味料、インスタントラーメンなどに多く含まれ、「リン酸Na」と表示されています。
これって、食品の形状や保水性を維持するための結着剤として使用されている場合が多いんですが、他には炭酸飲料に酸味料としても使われています。
 
リンの調節は腎臓がしてくれているとしても、必要以上にリンを過剰摂取しないようにはしたいものですね。
 

・腎臓を守ることの大切さ

腎臓以外の病気でも、腎臓に悪影響を与えることも分かってきました。
先進国の入院患者のじつに5人に1人が急性腎障害(AKI)になっていたという報告があります。
 
このAKIは、腎臓の機能が急激に落ちることをきっかけに多臓器不全を起こして、命にもかかわる深刻な状態のことです。
逆に考えると、腎臓を守りさえすれば救われていた命がたくさんあったことが分かってきたということになります。
AKIの患者数は、ヨーロッパだけで年間20万人にものぼるともいわれています。
 
また、治療のために投与される薬が腎臓に負担をかけていることも、AKIの一因だと指摘されています。
ある意味で、腎臓はもっとも薬の影響を受けやすい場所です。
ですから、余分な薬を飲むことは腎臓に負担をかけるという認識を持った方がいいようです。
 
命を守るために、そして長寿のために、常に腎臓を見守る必要があることが西洋医学の世界で徐々にわかってきています。
このことは、全身の臓器と語り合いその要として機能している腎臓をみつめることで、人体をネットワークとしてとらえる視点を西洋医学が得たと言ってもいいのかもしれません。
 
※参考までに、全8回のタイトルを挙げておきますね。
NHKスペシャルシリーズ「人体 神秘の巨大ネットワーク」
・プロローグ:神秘の巨大ネットワーク
・第1集:”腎臓”が寿命を決める
・第2集:”脂肪と筋肉”の会話がメタボを治す
・第3集:発見!”骨”が若さを呼び覚ます
・第4集:アレルギーのカギは“腸”にあり
・第5集:徹底解剖!ひらめく“脳”の秘密
・第6集:生命誕生・あなたを生んだミクロの会話
・第7集:人体は謎に満ちている
 
 

2.東洋医学の考える”腎”と“腎臓”の比較


それでは、東洋医学における腎の概念と最新の腎臓に関する知見を比較してみましょう。
すると「東洋医学はなかなか鋭いぞ!」ということがわかってきます。
 

・腎は骨・髄・納気を主(ツカサ)どる

まずは高地トレーニングの話です。
酸素が不足すると、その結果として腎臓からEPOという物質が放出され、それが骨に届いて、骨のなかの骨髄でつくられている赤血球を増産し、効率よく酸素が運べるようになる、ということでした。
 
この部分を東洋医学の腎という概念と比較してみます。
東洋医学的には、腎はカラダの器官としては骨、骨髄と関係が深く、さらには肺でする呼吸とは違う“納気”という深い呼吸をつかさどっていると考えられています。
腎が弱ると骨が脆くなる、というような関係性です。
 
これって関連している器官は骨と骨髄でまったく同じですし、「血液に酸素を供給すること=深い呼吸」と考えると、ほぼ同じことを言っているように感じるのは私だけでしょうか?
 
 

・五臓六腑は互いに関連している

次に、腎臓とさまざまな臓器や器官とのつながりの話です。
もともと東洋医学では臓器どうしにはそれぞれ特別な関係性があると考えます。
というより五臓六腑四肢百骸、つまりカラダのすべてはつながっているというとらえ方です。
もちろん心身一元論というスタンスなので、ココロとカラダもつながっています。
 
例えば腎で言えば、肺は腎の母、肝は腎の子、脾は腎を克す(いじめる)、腎は心を克す、膀胱と腎は表裏(親密な関係)などが一般的な他の臓腑との関係性です。
 
先ほどの腎臓と関連があるとされる臓器は心、肝、肺、脳、腸、骨などでしたが、東洋医学が二千年以上前に言っていた臓器とほとんど違いがありませんよね。
これって凄いことだと思いませんか?
 

・腎は精を蔵す

それから寿命の話。
東洋医学では腎という臓は、精を貯蔵していて、この精とはカラダにとって必要な気・血のもとになるものです。
ですから腎は発育・成長・老化ともっとも関係が深い臓とされています。
 
つまり、腎を良い状態に保っておくと老化しずらいし、長生きするということ。
これまた、まったく同じことを言っていますよね。
 面白すぎます(笑) 
 
 

3.人体の不思議と無限の可能性


このように考えてくると、例えば鍼灸でとても重視しているツボや経絡という考え方も、いまにカラダのネットワークをつなぐなんらかの役割を果たしているルート(=経絡)だということや、そのなかでも特に刺激すると効果的な部位(=ツボ)などというふうに、科学的にも認識される日が来るのかもしれないと思えてきます。
 
これってなんだかとってもワクワクしますよね!
 
 
西洋医学では以前は「脳が最高」というとらえ方をしていましたが、いまでは「全身の細胞がある意味で対等である」という考え方に大きくパラダイムシフトしているわけです。
一方で東洋医学は、全身のネットワークという考え方を数千年前に見出していたと言うことができます。
 
しかし「東洋医学はすごい」「いや西洋医学こそ科学だ」などと言う前に、いま自分たちが生きているこのカラダというシステムの不思議に目を向け、その可能性を実感することが大切なんだと、今回あらためて感じさせられました。
 
番組の中でも山中教授が言っていましたが、こんなところまでわかってきたつもりでいても、まだ人体について十分の一も分かっていないのだ、と。
 
以前にも書きましたが、西洋医学的な視点と東洋医学的な視点、このふたつの医学はカラダを180度違う方向性でとらえています。
けれど、だからこそそれぞれの存在意義があるのだと思っています。
まったく違っているというところに留まらずに、それぞれの独特な視点を共有し理解しあうことで、医学の可能性は限りなく広がるのかもしれないと、いま強く思っています。
 
いままでも鍼灸で患者さんを治療することは十分に楽しかったのですが、今後の楽しみがさらに増えた気がします。
それにしても東洋医学ってなかなかステキですよね!
 
今回も長々とお付き合いいただき、ありがとうございます。
 
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東洋医学的日々雑感25 『論語』について最近考えてみたこと(4)

久しぶりに「『論語』について最近考えてみたこと」シリーズ第4弾をお送りします。
じつは、アクセス数などを検証してみるとこのブログの中でも最も人気のないシリーズなんです(笑)
それでもまだ書いてしまおうと思う自分のことが結構笑えます。
 
それと、少し間が空いたので目次的なものもピックアップしておきます。
次回の分の目次まで含めてしまいました。
 
1.『論語』について最近考えたこと
 1-1. 『いきるための論語』を読んで…。
  ・学びて時に…
  ・共感できたこと
 —–以上第1回
 
  ・なぜ友が遠方から訪ねて来るのか?
  ・人が自分のことを分かってくれないからって…?
  ・学而篇全体の解釈は?
 —–以上第2回
 
 1-2. 『論語』ってどんな本?
  ・講師様のお言葉
  ・わりと短い…原稿用紙30数枚
 1-3. じっくり読むことの大切さ
  ・古典について考えてみよう
  ・“速読”ではなく、あえてジックリ“遅読”することの楽しさ
 —–以上第3回
 
2.古典を学ぶことの意味
 2-1. 古いものはイイものだ?
  ・注釈という中国の古典の伝え方
  ・”伝統医学”ではなく ”伝承医学”?
  ・歴史が示すエビデンス
 
 —–以上今回(第4回)
 
 2-2. 古典の記述と臨床
  ・古典を学ばないとわからないこと
  ・これからすべきことを考える
 —–以上第5回(予定)
 
 

2.古典を学ぶことの意味

『論語』を読むことを通じて、古典というものについて考えてみています。
とか書き始めると、
「そんな古い、しかも漢文で書かれたものを読んで、何が楽しいのか?」とか、
「そんな古臭い考え方が、いまの世の中で役に立つはずがないんじゃない?」といった反論が出てきそうですね。
 
それも一理です。
でもちょっと違う考え方もあるっていうことを知ってみてください。
「古典はいまに活かすために読むことが大切!」というお話です。
 

2-1.古いものはイイものだ?


・注釈という中国の古典の伝え方

中国では古典を読むときにいくつかのルールがあります。
まず大前提として、もともとの本文を無闇にいじらないこと。
 
紙がなかったくらい古い時代のものが、いまに伝えられている場合もあるわけです。
印刷技術が開発される前なので、基本的に本は借りてきて書き写すんですね。
たぶん「そこまでしてでも欲しいと思う本かどうか」と、当時の人たちは真剣に考えたんだと思います。
だって本を丸ごと書き写すって、相当の気力とか労力が必要ですから。
 
そう考えると、安易に本を買ったり、読まないでそのまま積んであったりする自分の書斎を見回して、
とても申し訳ないような気分になります。
 
 
話を戻しますが、全文を書き写すんですから、間違いがあるのは当然です。
「一」が「二」や「三」になるなんて当たり前のこと。
「互」が「巨」になったり(なんとなく形が似てるでしょ)、字が抜け落ちたりもちょくちょくあります。
竹簡とか木簡(竹や木を短冊状に削ってそこに字を書いて紐で綴じる)を綴じていた紐が切れて、
数行単位で入れ替わってしまうことだってあるんです。
 
だからもとの本は一緒なのに、結構内容が異なるもの(これを異本といいます)が存在していたりします。
それでも本文はそのままにして、細かい字で注釈を入れるのがルールのようです。
「この字はたぶんこの字の誤りだと思います」とか、
「この部分の文章は、ごっそりあっちから抜け落ちてこっちに移っちゃってるみたいです」みたいな注が入っていたりします。
それぐらい古い文章を大切にしてきたことが伝わってくるわけです。
 
だから古典を手に取ってジックリ読んでいると、
そんな経緯や関わった多くのひとの想いなども思い起こされたりして、なんだか胸がジーンとしてきます。
古典って、(少なくとも僕にとっては)そんな存在なんです。
 
 

・”伝統医学”ではなく ”伝承医学”?

僕らが関わっている東洋医学という分野は、
簡単にいうと「古代中国医学」と言い換えることができるものです。
いわゆる伝統医学のことですね。
伝統医学と対になる言葉は現代医学なので、現代でもやっているのだからちょっと変な気もしますけど…。
 
もちろん、何千年も前と同じ道具で同じように治療しているわけではないのですけど、
病んでいる(あるいはまだ病んでいないけど病みそうな)ひとを診ることの根本に流れている姿勢のようなものは、
ずっと変わらないものなのだと思っています。
あるいは、変わってはいけない部分が骨格として存在するようなものだと思っています。
 
そのことは次の世代に伝えなければならないんです。
それはいまの時代にその伝統医学に従事している人間の、ある意味で使命のようなものだと考えます。
 
例えば『素問』の官能篇第七十三には、鍼灸を伝えるべき人の条件を提示し、
そうでなければ伝えてはならない、と書かれています。
 
2千年以上前に、伝えるべきひとを厳格に選んでいたというわけです。
それって、鍼灸というものをそれだけキチンと捉えていたっていうことですよね。
凄いと思いませんか?
だから伝統医学というより、伝承医学だと思うわけです。
 
 

・歴史が示すエビデンス

それともう一つ、知っておいていただきたいことがあります。
2千年前に書かれたことがいまでも使われているってことは、
2千年以上のエビデンスがあるってことだっていうこと。
わずか百数十年前にできたものと、どっちが信用できますか?
 
もちろん、東洋医学と西洋医学(というより現代医学かな)のことなんですけど…。
西洋医学って、自分たちで「科学的だ」っていう割に、いってることがドンドン変わっちゃってませんか?
 
例えばケガの治療のこととか。
昔は痛みを我慢しながらめちゃくちゃ滲みる消毒液で消毒されて、
しかもなるべく乾かしてカサブタにしろって言われてたのに、
いまじゃ水で汚れを洗い落として(もちろん傷の程度によります)、
なるべく乾かさないのが早くキレイに治すコツだなんで言われていますよね。
しかもまだ、昔の治療の仕方をしている医師もいる。
そういう意味では、ちょっとまだ信用しきれない部分もあるんです。
 
もちろん伝統医学としての西洋医学の部分もあって、
それはそれでなかなか楽しい部分でもあるんですけど、
日本における西洋医学って歴史的にみるとちょっと変わってるんですね。
 
明治の初めに、当時の西洋医学の成果の部分だけを輸入してきて、
いままでの医学を全否定して自分の国の医学のメインに据えてしまったわけです。
そのひずみが、いろいろなところに出てきているという気がします。
 
そう考えると、数千年前に書かれた考えにいまでも頷けて、
それを使って効果がでるって凄いことだと思うんです。
 
だからこそ僕は、東洋医学を昔々に書かれたそのままの文章で
できる限りキチンと読んでみたいと思っているんですよね。
 
まだあと1回続く予定です。
 
  

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東洋医学的日々雑感24「糖尿病1000万人について思うこと」

2017年9月22日に以下のような報道がありました( 記事リンク )。
 
国内の糖尿病が強く疑われる成人が推計で1千万人に上ることが、厚生労働省の2016年の国民健康・栄養調査でわかった。
調査を始めた1997年の690万人から増え続け、今回初めて大台に達した。
厚労省は高齢化が進んだことが影響したとみている。(中略)
糖尿病は放置すると、網膜症や腎症などの合併症のほか、脳梗塞や心筋梗塞などの原因にもなる。
だが、今回の調査で有病者のうち、23.4%は治療を受けていなかった。
国は22年度の有病者を1410万人と予測。それを1千万人に抑えることを目標にしている。
 
この記事を読んで考えたりしたことについて少し書いてみます。
 
 

1.糖尿病合併症「米国で減」「日本で増」のなぜ


糖尿病について考えるときに知っておきたいことがあります。
実はアメリカでは、糖尿病の合併症を減らすことに成功していますが、日本では逆に増えています
このことは、アメリカでは糖尿病の予防治療に成功しているのに、日本ではそれができていないということです。
いったい何故なのか?
 
日本の低糖質界の先駆けである江部康二先生はその理由について、
糖尿病の治療食の糖質摂取率が米国では40%、日本では60%であることの差ではないか、
という仮説を立てて検証しています。
 
そもそも糖尿病という病気を簡単に説明すると、
糖質を摂取する→血糖値が上昇する→インスリンが分泌される→血糖値が下降する
という機序のなかで、インスリンというホルモンが出にくいか、または効きにくいという状態のことです。
 
血糖値が高い状態は、カラダにとって良くないことがいろいろ(例えば、血管を傷つける→動脈硬化→脳梗塞・心筋梗塞など)と起こるため、血糖値を下げる必要があってインスリンが分泌されるんですね。
結果的に余った糖質がインスリンによって脂肪に変換されてカラダに蓄積されるので、
つまり糖質をたくさん摂ると太るというわけ。
もちろん肥満によっていろいろな病気のリスクが高まるので、見た目の問題よりそちらが心配です。
 
インスリンが出にくかったり、効きにくかったりするのが糖尿病なのだから、普通に考えれば糖質を摂らないようにするのが病気を悪化させないための基本であるってことは、誰にでもわかることですね。
 
それなのに日本の糖尿病治療食のスタンダードでは、糖質を60%も摂るんです。
そりゃあそれだけ糖質を摂れば血糖値は上がります。
糖尿病はその血糖値を下げるシステムがうまくいかない病気なんだから、今度はインスリン注射を打って血糖値を下げることになるわけです。
 
いままでのところ、意味わかりますか?
簡単に言い換えると、
アクセルを踏みながら(糖質を摂ること)、ブレーキをかける(インスリンを打つこと)
ということです。
 
一方で、インスリンといいうホルモンは猛毒だと言われます。
過剰なインスリンによって、ガン、アルツハイマー、肥満などのリスクが高まるからです。
それをわざわざ糖質をたくさん摂らせて血糖値を上げておいて、
非常に高価でしかも猛毒のインスリンを注射する意味ってなんでしょう?
医療の本来の目的から外れていると思うのは、私だけでしょうか?
 
一点だけ注意を!
糖尿病の治療をしている方は、むやみに低糖質の食事にして服薬やインスリン注射をすると低血糖になって、命にかかわることがありますので、必ず医師の指導のもとに行ってください。
 
 

2.東洋医学では糖尿病ってどんな病のこと?


東洋医学で糖尿病とほぼ同じと思われる病気は「消渇」といわれています。
これについても少し説明を加えてみましょう。
 
消とは痩せる、渇は口や喉の渇きのこと。
『諸病源候論』という隋代(610年)に巣元方によって病の症候と原因について書かれた古典には、
渴不止小便多是也(渇して止まず小便多きこれなり)とされています。
口が渇いて小便が多い病気だということ。
 
美食や甘いものの過食によってカラダにが生まれ、
その影響で多飲、多食、多尿と体重減少という「三多一少」と呼ばれる症状が代表的な病気です。
熱の所在がカラダの上か真ん中か下かによって上消、中消、下消の3つに分類されます。
それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。
 
分類 病位 症状 病期 病態
———————————————
上消   肺   多飲 初期 軽症
中消 脾胃 多食 中期 中症
下消   腎   頻尿 後期 重症
 
肺を中心としたカラダの上の方がやられる上消は、多飲が特徴的な症状で、消渇の初期で軽症。
脾胃を中心としたカラダの真ん中がやられる中消は、多食が特徴的な症状で、消渇の中期で中症。
腎を中心としたカラダの下の方がやられる下消は、頻尿が特徴的な症状で、消渇の後期で重症。
 
消渇を起こす原因は以下のように言われています。
◉ 飲食失調
 ・油っこいもの、甘いもの、辛いものの過食
 ・過食によって脾胃に負担をかけ、さらに体内に湿熱を生み、そのため口臭が生じる
◉ 情緒失調
 ・怒りやストレスによって肝の気が鬱滞する
 ・さらにこれが長引くと熱化し、そのため口渇が生じる
 ・肝火により、目の充血、イライラ、怒りっぽい、頭痛、不眠などといった症状も出てくる
◉ 腎虚
 ・腎が弱ると、多尿(尿の量が多い)、頻尿(排尿回数が多い)などの症状が起こる
 ・腎の弱る原因には、先天性、性生活の不節制(房事過多)、過労、慢性疾患、睡眠不足などがある
 
また、『備急千金要方』には
「凡積久飲酒未有不成消渇」(飲酒を長年続けて消渇にならないものはない
なんていう記述もあります。
 
適切な食事、情緒の安定、過労や睡眠不足に気をつけるといったことが、
養生としては必要になります。
 
お互い気をつけましょう!
 
 

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東洋医学的日々雑感23「眩(くらら)~北斎の娘~を観て感じたこと」

10月7日に再放送されたNHKの特別ドラマ「眩(くらら)~北斎の娘~」を録画しておいて先日観ました。
原作は直木賞作家の朝井まかて氏の「眩」。
これが期待以上に凄いドラマでした。
感じたことなどを少し書いてみます。
 
画像制作に多少なりとも携わっていた経験を持つものとして、
各カットがため息が出るような感動的な色彩やアングル、照明などで構成されていることに驚き、
制作スタッフの質の高さを感じさせてくれましたが、
それ以上に主演の宮崎あおい(北斎の娘お栄、のちの葛飾応為)、
父であり師である北斎役の長塚京三の演技が光っていて、
久々に観終わってから暫くの間、感動に浸ることができる作品でした。
 
 
葛飾北斎、言わずと知れた江戸後期の浮世絵師ですね。
富嶽三十六景や北斎漫画などが代表作で、世界的にも有名。
LIFE誌が1999年に選んだ「この千年でもっとも重要な功績を残した100人」に日本人で唯一選ばれた人でもあります。
私はベロ藍を使ったあの北斎ブルーにとても惹かれます。
 
そのドラマの中で胸に刺さるセリフがありました。
シーボルトから西洋画の手法による浮世絵の制作を依頼され、
弟子たちが仕上げた絵を前にして、皆で議論する場面でのことです。
弟子たちも娘のお栄もこのレベルの絵を納めることはできないので書き直したいという意見なのですが、
そこで北斎が言うのです。
 
たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る。
なぜだかわかるか。
こうして恥をしのぶからだ。
己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって世間の目に晒す。
やっちまったもんをつべこべ悔いる暇があったら、次の仕事にとっとと掛かりやがれ
 
この言葉は胸に刺さりました。
私たち鍼灸治療も同じだからです。
いやすべてのプロはそうあるべきなのかもしれません。
 
私の治療レベルはまだまだ低いということを自覚している自分がいる。
それでもいま目の前にいる患者さんを、いま持っているその低いレベルで治療しなければならない。
自分のレベルが低いことを恥じるくらいなら、さらに高いレベルを常に目指すべきなのです。
私にはそう受け止められました。
北斎のように常にさらなる高みを目指したい! いや、目指すべきだ!!
 
興味を持って調べてみると、北斎には他にも名言がいろいろありました。
次に紹介するのは、臨終の際の言葉です。
 
翁 死に臨み大息し 天我をして十年の命を長らわしめば といい 暫くして更に言いて曰く
天我をして五年の命を保たしめば 真正の画工となるを得べし と言吃りて死す
 
どうでしょう。
「あと十年、いや五年命が長らえればまことの画工になれるのに」
と死の間際に言うことができるその姿勢、自身に対する評価の厳しさ。
見習わなければなりません。
 
 
さらに富嶽百景の跋文にはこう書かれています。
 
己六才より物の形状を写の癖ありて半百の此より数々画図を顕すといえども七十年前画く所は実に取るに足ものなし
七十三才にして稍禽獣虫魚の骨格草木の出生を悟し得たり
故に八十六才にしては益々進み九十才にして猶其奥意を極め一百歳にして正に神妙ならん欤 
百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん
願くば長寿の君子予言の妄ならざるを見たまふべし 
 
ちょっと訳文を付けておきます。
(私は六歳から物の形状を写し取る癖があり、五十歳の頃から数々の図画を現したとはいえ、七十歳までに描いたものは実に取るに足らぬものばかりである。七十三歳になっていくらかは生き物の骨格や草木の出生を知ることができた。ゆえに、八十六歳になってますます腕は上達し、九十歳ともなると奥義を極め、百歳に至っては正に神妙の域に達するであろうか。百十歳を超えれば一点一格が生きたもののごとく描けるようになろう。願わくば長寿の神様には、このような私の言葉が世迷い言ではないことをご覧いただきたいものだ)
 
これまた自らの目指す絵師としての極みを具体的にイメージして見据え、日々努力していたことを伺える逸話です。
卑近な例で申し訳ありませんが、少し前に読んだランニング本に書いてあったことを思い出しました。
 
平凡なることを、非凡なる努力で継続すること
この言葉の大切さと難しさを感じさせられる今日この頃です。
 
 

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東洋医学的日々雑感22 「漢方の大嘘」を読んで

週刊新潮の9/14号と9/21号の2週連続で「漢方の大嘘」と題した記事が掲載されました。
ちょっとショッキングなタイトルですが、今回はこれについて少し書いてみます。

 

1.漢方の実情?!


あなたは漢方薬に対してどんな印象を持っていますか?

副作用がない」「効き目が穏やか」「体質を改善する」などだとしたら、ある意味でそれは間違いです。
その理由については、後で書くことにします。

ところで、最近カタカナ名の変な薬をよく見かけますけれど、
じつはあれはほとんど「隠れ漢方」と呼ばれるものだって知っていましたか?

漢方薬の名前って漢字だらけだし、素人には何に効くのかよく分からないので、
何となく効果をイメージできるようなカタカナにして買いやすくして、
それで売り上げを伸ばそうという魂胆が透けて見えるような気がします。

少しだけ例を挙げてみます。
・コムレケア(小林製薬)=芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)
・ナイシトール(小林製薬)=コッコアポEX(クラシエ)=ココスリム(佐藤製薬)=防風通聖散(ボウフウツウショウサン)
・ビスラットゴールド(小林製薬)=大柴胡湯(ダイサイコトウ)

コムレケアはこむら返り、ナイシトールは内臓脂肪、ビスラットゴールドは更年期脂肪に効果があると(それとなく分かるように)しています。
こうして見てみると、隠れ漢方は小林製薬の得意技なのかもしれません(笑)

これらの「隠れ漢方」に使用されている生薬、組み合わせや配合比率は同じでも、配合されている量が医療用の漢方薬よりも少なめのものが多いようです。
これは、カラダに合わない漢方薬を服用してしまった時の副作用対策のような気がします。
脂肪を落とすのに漢方薬を飲むなんてと思ってしまいますが、まさにこれが日本における漢方の現状なのかもしれません。

前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ本題に入りましょう。

 

 

2.「漢方の大嘘」の内容


週刊新潮の記事の主旨はだいたい以下のような内容でした。


・ツムラは医者に漢方の知識をマニュアル化して教えた

・その際に「方証相対」という対症療法的な流派を広めた

・結果的に、知識の浅い専門医(漢方専門認定医)を大量に作った

・処方が固定している既製品のエキス製剤を作ったため、とても重要な「さじ加減」ができない

・上記のような漢方を推し進めた結果、深刻な副作用事案が起こっている


少し説明が必要な部分をフォローしてみます。

1976年以降、148処方の漢方薬が保険適用になったのですが、
実はその時点では大学で漢方を教えているところがなかったそうです。
つまり、漢方を学んだことがある医者がほとんどいなかったにもかかわらず、漢方薬が保険適用になったわけです。

そこで、本来は大学で教えるべき漢方に関する医学教育を、利益を追求すべき企業(つまりツムラ)が代わって行なうことになったわけ。
その時に導入した考え方が「方証相対」という、症状と処方が対応している対症療法みたいなものだったんですね。
しかもツムラはそれをマニュアル化して医者に配ったんです。

本来の東洋医学の考え方では、人を見て、脈診・舌診など総合的に判断して処方するものです。
ですがそんなキチンとした教育をしていたら間に合わないから、手っ取り早く漢方薬を使ってくれる医者を作り上げたかったわけです。

そのために利用したのが、日本東洋医学会が1989年から始めた漢方専門医認定制度です。
「日本東洋医学会の入会金と専門医になるための判定料を払えば専門医になれる」
とツムラの営業担当が宣伝していたなどとも書かれていました。
実にひどい話です。

患者の側からすれば、漢方専門医なら漢方に詳しいと思うのは当然のことですが、
実情は漢方の基本も知らない医者がたくさんいるということなんです。

さらに、ツムラが作った漢方エキス製剤の特徴は、処方がマニュアル化されている点です。
利便性と収益性というのがその大きな理由でしょうが、処方が固定している既製品のため、
いわゆる医者の「さじ加減」ができない薬なんですね。

漢方、あるいは東洋医学の良いところは、その人に合った治療や処方をすること。
これではすべての人にMサイズの服を着なさいと言っているようなもので、東洋医学ではありません。

 

 

3.漢方、東洋医学について思っていること


以前にもこのブログで書きましたが、漢方薬の専門家は誰なんでしょう?
じつは日本の医療システムの中には、漢方の専門家はほとんどいないのが現状なんですね。
それなのに医師なら誰でも保険で漢方薬を出せるというのは、とてもおかしいです。

記事で言われている「大嘘」というのは、私に言わせればツムラだけではなくメディアにも責任があります。
ですが「漢方薬」自体は決して悪くないんです。
何と言っても、約二千年のエビデンスがある医学ですから。

東洋医学と西洋医学は全く視点が違う医学で、だからこそ共存している意味があるんだと思っています。
つまり、西洋医学的な考え方で漢方を使うことには大きな無理があるということなんです。

漢方薬も薬である以上、副作用は必ずあります
間違った使い方をすれば死に至ることもあります。
逆にキチンと使って体に合えば、すぐに大きな効果を見込めるのも事実です。

最近読んだすごく難しかったけどかなり面白かった『「代謝」がわかれば身体がわかる』(大平万里、光文社新書)という本の中にこんな記述がありました。

役に立つ薬理作用のある毒物を「薬」という。

漢方薬でもなんでも、薬は必要な時以外は使わないのが基本ですね。

 

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東洋医学的日々雑感21 「老後」についていまから考えておくべきこと(3)

前々回前回に引き続き今回はいよいよ核心に入ります。
東洋医学的に考えるスローエイジングについてです。
これから老後について向き合う必要がある方には読んでいただきたいです。
 

3.老化を遅らせる方法=スローエイジング


(2)東洋医学的な考え方

 ・老化にかかわる臓

東洋医学でもっとも老化に関わる臓といえばそれは””です。
現代医学でいうところの、血液から余分な老廃物や水分をろ過して
尿をつくっている腎臓とは、少しとらえ方が違います。
 
腎は以前学んだように、成長、生殖、老化などに大きくかかわり、
耳、髪、骨、歯などとの関連が強い臓です。
もちろん全身の水の流れをコントロールするという働きもありますし、
気血をつくりだす元になる生命力の根源である”精”をしまっています。
 
東洋医学では、この「精が減ること=老化」と考えられています。
精が減ると、耳の機能低下(耳が遠くなる)や白髪・抜け毛、
骨や歯がもろくなる、足腰が弱るなどの症状が起こります。
  

健康に歳を取るということ

いくら長生きしても、カラダ中にチューブをつながれていて、
身動きもできない状態だったら嫌だなぁと考える方は多いでしょう。
 
そういう意味では、東洋医学的な健康観はとても参考になります。
健康を一言でいうと◯ということです。
 
えっ◯? そう丸です。
いびつでないし、欠けてもいないということです。
つまり、バランスがいいという意味。
 
東洋医学はバランスを重視します。
陰陽のバランス、五臓のバランス、精神や感情のバランス、気血水のバランス……。
バランスの取れたいい形が◯なんですね。
丸の大きさが大きくなくても、丸であればいいんです。
若くて元気な人は大きいけれど、大きくてもいびつだったり欠けていたら意味がないわけです。
  

死をどうとらえるか?

そして年齢とともに徐々に◯が小さくなっていって、最後には消えてしまいます。
それが「死」ですね。
これが人の一生ということです。
 
人間は致死率100%の生き物です。
少しずつ死に向かっていくのが当たり前なんです。
 
若い人とお年寄りでは、体力も違いますし、食べる量も体温も血圧も違います。
それを同じ基準で見るというのは間違っています。
 
例えば、歳をとれば血圧は高くなってくるのが普通なんです。
だって、だんだん血管がもろくなって弾力がなくなるし、
内側に少しずつゴミが溜まって細くなるんですから。
 
だから、若い人と同じようにできることがイイことではなくて、
歳なりにできなくなることはあるけれど、バランスがいいのが健康です。
 
そのために必要なのが養生法です。
食べ過ぎない、いい空気を正しく吸う、動ける範囲でよく動く、早寝早起きをする、なんてことが重要。
これらは腎にたくわえられている精を浪費しないということにもつながります。
 
そう考えると、ピンピンコロリというのとは少し違いますね。
だって、いままでピンピンでいてコロリと死ぬって、普通はあり得ませんから。
少しずつできないことが増えていって、だんだん動けなくなって、最後は眠るように死ぬ
これが自然な生き方であり死に方でしょう。
  

恬憺虚無という考え方

ところで、このブログのタイトルにもなっている「恬憺虚無」という言葉があります。
東洋医学の基本となる古典『黄帝内経』の『素問』第一篇上古天真論にある言葉です。
 
「恬」は静、「憺」は安という意味で、「恬憺」とは閑(しず)かで清静なこと。
「虚無」は邪(よこしま)な考えがないということ。
つまり心が安静で欲をかくことがなければ病気にならないということで、
病気にならないためのこころの持ちようの基本的な考え方です。
 
スローエイジングのキモは、
こころを閑かで安らかにし、万人が老いて死ぬことを受け入れ、そのなかで楽しみながらでできることをする
ということなのかもしれません。
 
高齢者の将来に対する不安の上位は健康問題です。
貯えをたくさんするよりも、健康で自分のことが自分でできる時間を延ばすことの方が大切だと思います。
 
東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子特任教授の研究では、
約8割のひとが70代半ばから徐々に衰え始めるというパターンに当てはまるそうです。
また男性の2割、女性の1割は70歳前に死亡または自立機能を喪失します。
 
そこで、健康で長生きするため対策は以下の2つだといいます。
生活習慣を改善して(70歳までの) 若死にを避ける
大半のひとは緩やかに老いていくという現実を受け止める
 
さあ、皆で東洋医学の知恵をつかって健康に長生きするための準備を始めましょう!
 
 

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東洋医学的日々雑感20 「老後」についていまから考えておくべきこと(2)

前回に引き続き、自分のためにも老後についてさらに考えてみます(笑)
今回と次回は老化を遅らせる方法についてです。
 

3.老化を遅らせる方法=スローエイジング


老化に関して、よく「アンチエイジング」という言葉が使われます。
しかし誰でも老化しますし、死にます。
 
「当り前のことだし、そんなことは分かっている」と笑うかもしれませんが、
このことを受け入れて生きているひとは、意外に少ない気がします。
つまり「自分だけは老いないし、死なない」と何となく思ってしまいがちなのです。
 
そういう意味で、「老化に抗う」のではなく、
スローエイジング」(ゆっくり歳を取る)が理想だろうと思っています。
 
今回と次回はこのスローエイジング、つまり老化を遅らせる方法について考えてみます。
 

(1)西洋医学的な考え方

少し前の「Tarzan」(No.721、2017/6/22)の特集で、
「やさしく学ぶカラダに怖い3つの話。酸化、糖化、炎症」というのがありました。
この「酸化、糖化、炎症」こそが現在考えられている老化を早める最たる原因といっていいでしょう。
 
Tarzanではこの3つを「老ける酸化、衰える糖化、蝕む炎症」と表現しています。
言い得て妙かもしれません。
ザックリと老化の原因とその対策についてまとめてみます。

●酸化

酸化とは、カラダがサビることです。

・どうして酸化するのか?

私たちは空気を吸って生きています。
その空気はどうなるかというと、体内の栄養素と結びついてエネルギーをつくるわけです。
そのとき使われなかった分が活性酸素というものに変化して、それがサビる原因になるわけです。

・酸化するとどうなるのか?

ではカラダが酸化するとどうなるかというと、
糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病、ガンの原因になるといわれています。
もっと日常的なことでいうと、白髪やシミ、シワなどの原因になります。

・酸化しないためには?

そうなると、酸化しないためにはどうしたらいいか気になりますね。
酸化しないためには、酸化の原因になるようなことや食べ物を避ければいいんです。
 
生活面では喫煙、ストレス、激しい運動、紫外線、車の排気ガス、電磁波などが酸化の原因だといわれます。
食事では多量の飲酒、食品添加物を避け、抗酸化物質(ビタミンC、E、ミネラル)を摂ることです。
 
ビタミンCを多く含む食品は、パセリやブロッコリー、ピーマンなどの緑黄色野菜、レモンやいちごなどの果物、緑茶などです。
ビタミンEを多く含む食品は植物油、アーモンドなどの種実類、あん肝やからすみ、たらこなどの魚の卵や肝などです。
それからミネラルってどう摂ったらいいかというと、おススメはニガリを飲み物や食事に入れるという方法です。
1回に数滴たらすだけでOKです。
ただしニガリにはさまざまな種類があるので、「天然ニガリ」や「粗製海水塩化マグネシウム」と表記されているものを選びましょう。
 

●糖化

糖化とはカラダがコゲることです。

・どうして糖化するのか?

食事などで摂った余分な糖質は体内のタンパク質と結びついて細胞などを劣化させます。
さらにAGE(糖化最終生成物)といわれる物質がつくられて、カラダに悪さをします。

・糖化するとどうなるのか?

糖化すると肌のシワやくすみ、シミなどの原因となります。
さらには動脈硬化白内障アルツハイマーなどの多くの病気の原因となるといわれています。

・糖化しないためには?

カラダを糖化させないためには低糖質の食事を心がけることが大切です。
調理をすることで生の状態よりも格段にAGE量が増えやすくなるといわれています。
ということは、なるべく生で食べるということが大切なんですね。

・低糖質に関する過去ブログを紹介

過去のブログに低糖質についていろいろ書きました。参考までにここにリンクを張っておきます。
  参考図書も紹介しているので、まだの方は是非ご一読くださいね
  さらに東洋医学的にみても低糖質が効果的だという理由を掘り下げています

 

●炎症

炎症とはカラダにとって必要な免疫反応のことです。
 
つまり、カラダにとって有害な刺激が加えられたときにおこる防御反応です。
炎症がおこると発赤・熱感・腫れ・痛みなどが引き起こされ、カラダを守ったり修復したりするわけ。

・急性炎症と慢性炎症がある

炎症を簡単に分類すると急性炎症と慢性炎症に分けられます。
上に書いたような激しい症状は、基本的には急性炎症の初期に起こります。
最近ではこの急性炎症とは別に、くすぶるように炎症が続く状態(慢性炎症)が老化につながるという考え方があります。
 
ところで、炎症の活動性の指標として用いられる検査項目といえばCRP(C reactive protein:C反応性タンパク)が有名です。
血液検査の項目にあがっているので、注意してみてください。

・どうして慢性炎症が起こるのか

慢性炎症は基本的には老化と生活習慣の乱れ(不規則な食事、暴飲暴食、運動不足、睡眠不足など)が原因だといわれています。
そしてこの慢性炎症は、腸の老化(腸内環境の悪化)から始まるようです。
腸から始まった炎症は、血管や他の臓器などにジワジワ広がり、免疫システムが徐々に破綻させ、アレルギーやガンなどの原因になるともいわれています。
腸というのは食べたものの毒素がたまるところでもありますね。
人間の免疫の約70%は腸が担っているといわれているので、スローエイジングには腸の健康は欠かせないということになります。

・どうカラダに悪いのか?

腸に起こった慢性炎症は他の臓器へ波及していきます。
カラダのサインとしては太りやすい、疲れやすい、肌荒れ、イライラ、口臭、体臭などがでてきます。
これも最終的には、生活習慣病(動脈硬化、糖尿病、代謝異常など)へと発展するとされています。

・対処法は?

慢性炎症が起こらないようにするためには、規則正しい生活が大事だといわれます。
それ以外には、
 ・ストレスを避ける
 ・適度な運動
 ・十分な睡眠時間
などです。
 
そして食事。これにはポイントがいくつかあります。
 
まず、楽しく食べること。
それからよく噛んでゆっくり食べること。
それと、生きたホンモノの発酵食を取ることです。
 
発酵食についても以前書いたものを紹介しておきます。
 
油の摂りかたにも注意が必要です。
炎症を引き起こすトランス脂肪酸(カップ麺やフライドポテト、菓子パン、クッキー、ビスケット、冷凍食品などに多い )は極力避けるようにしましょう。
リノール酸(オメガ6系脂肪酸、いわゆる動物性のサラダ油)も炎症を悪化させるので摂り過ぎないことです。
抗炎症効果の高いといわれるオメガ3系脂肪酸(あまに油、えごま油、青魚の脂など)を積極的に摂りましょう。
オメガ3系は特に酸化しやすいので、熱や光を加えないようにして冷蔵保存し、早めに消費することが大切です。
 
今回はここまで。
次回は東洋医学的にスローエイジングを考えてみます。
 

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東洋医学的日々雑感19 「土用と鰻と脾と消化」

約1ヶ月ほどブログをお休みしました。
今日から再開しますので、よろしければまたお付き合いください。
 
本日は夏の土用の真っただ中ということで、
「土用と鰻と脾と消化」というタイトルで書いてみます。
 

1.土用


まずは土用。
以前にご紹介したように、東洋医学では五行という考え方を使います。
だから季節は四季ではなく五季になります。
これって少し無理があるかなとも思いますが、
とにかく五つに分類したがる傾向があるので仕方ないんです。
 
五季というと、通常は春、夏、長夏、秋、冬となります。
長夏というのは聞きなれない季節名だと思いますが、
これは中国の季節で、夏の後、秋の前の雨が多い季節のことです。
日本にはありませんが、梅雨みたいな季節ですね。
 
この長夏以外に、もうひとつ四季以外の考え方があって、それが土用です。
土用は他の季節と違って、四季にサンドイッチされているイメージで、年4回あります。
順番に並べてみると、春、土用、夏、土用、秋、土用、冬、土用となります。
 
土用はそれぞれ約18日間なので、全部足すと約72日になって他の四季とほぼ同じなります。
土用が終わると次の季節(四立といって立春、立夏、立秋、立冬)が来ます。
つまり季節変化を生み出す時期ということなんです。
 
夏の土用の場合は、土用が終わると立秋、つまり秋になるわけ。
ちなみに今年の夏の土用は、入りが7/19で明けが8/6。
 
土用の間は「土の気が盛んになる」とされていて、土を動かしたり、穴を掘ったりなどの
土を犯す作業や殺生が不吉な事としてさけられていました。
 
 

2.鰻


次に鰻。私の大好物です(笑)
それはさておき、高タンパクでビタミンAを筆頭にビタミン、ミネラルが豊富で、
しかも消化が良くて、精がつく食べ物です。
精とは、東洋医学的には気血水のもとになるものですから、とても大切ですね。
 
鰻を食する習慣は江戸時代に大流行したようで、当時は庶民の食べ物として屋台などでも売っていて、
蕎麦と同じくらい庶民的な食べ物だったようです。
 
食べ方は、大阪では腹を割いて、江戸では背を割いて蒸してから、タレをつけて焼くのが基本。
武士の多い江戸では、切腹に通じるので腹を割くのを嫌がったとか。
 
もともと夏の土用は一年で暑さがもっとも厳しい時期なので、
薬草を入れた風呂に入ったり(丑湯といいます)、お灸をすえたり(土用灸といいます) することで、
夏バテ防止につとめていたようです。
そうかぁ、お灸を流行らせるために「土用灸キャンペーン」なんていいかも(笑)
 
丑の日には「う」のつく物を食べると病気にならないという言い伝えもあったので、
土用の丑の日には梅干、瓜、うどんなどを食べていたんだそうです。
 
旬が冬のため夏に鰻が売れないと困っていた知り合いの鰻屋に、
平賀源内が「本日、土用丑の日」と書いて張らせたことで大当たりしてから、
土用と言えば鰻になった、などともいいますね。
 
ちなみに、年にも月にも日にも暦には十二支を使いますので、
丑の日は12日に1度来るわけで、土用が約18日間あることから、
土用の丑の日は少なくとも一度、多い年は二度あることになります。
 
今年はラッキー?なことに二度ある年で、通称「二の丑」は8月6日です。
7月25日の一の丑に食べ逃した方はこの日に是非!
 
 

3.脾と消化


東洋医学では、脾というのは消化・吸収を担っている臓のこと。
五臓はそれぞれの季節に対応していますが、先ほどの五行でいうと脾は土行に属しているので、対応するのは土用ということになります。
 
一般的にその季節に対応する臓はその時期に働きが落ちて病になることが多いんです。
ですから土用の時期には脾の力、つまり消化の力が落ちるということになります。
ということは、食べやすいものや消化の負担が少ないものを食べるべきなんですね。
 
そう考えると、梅干しは食欲を増し、ミネラル分を補って夏バテに良いし、瓜は暑さで火照ったカラダを冷やしてくれる薬膳的な効果があるし、うどんは夏バテして食欲が落ちていてもツルっと食べられるし、鰻は高タンパクで栄養価が高く消化も良いので、この時期にピッタリですね。
 
土用はどの時期であっても季節の変わり目にあたるので、体調を崩しやすい季節ですから、体調管理をしっかりする必要があります。
 
この時期は食べ物はよく噛んでゆっくり食べるようにしましょう!
 
 

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東洋医学的日々雑感18 「『論語』について最近考えてみたこと(3)」

『論語』について、まだ続きます(笑)
今回は『論語』にからめて「古典」についても考えてみました。
このブログを読んで『論語』について少しでも興味を持った方は、
生きるための論語』『超訳 論語』(安富歩)、『論語』(岩波文庫、金谷治訳)などを読んでみてくださいね。
 
1-2.『論語』ってどんな本?
・孔子さまのお言葉
そういえばまだ、『論語』という本について何も書いていませんでしたね。
この本を「キチンとすべて読んだことあるよ」という方は意外と少ないかもしれませんが、
どんな本かはなんとなく知っている方が多いでしょう。
 
『論語』とは、孔子とその高弟たちの言葉や会話を、彼の死後に弟子たちがまとめた本です。
その言葉のなかに、人生訓だったり、処世訓だったりがふんだんに含まれているというわけです。
東アジアで非常に影響力を持っている儒教という孔子を始祖とする思想あるいは信仰にかかわる
重要な書物(『孟子』『大学』『中庸』と併せて四書とよばれる)のひとつです。
 
・わりと短い…原稿用紙30数枚
『論語』と聞くと、かなり教訓めいたことが大量に書かれているイメージがあるかもしれませんが、
実際の文字数でいえば全20編、13700字しかありません。
これって原稿用紙に換算すると約30枚でしかないんです。
意外に短いですよね。
ですからあまり抵抗感を持たずに、是非ともじっくり読んでみてください。
 
 
1-3.じっくり読むことの大切さ
・古典について考えてみよう
ここでちょっと論語から離れて「古典」について考えてみましょう。
古典とか名著とよばれる書物は、長いあいだ多くの人たちに読まれ、親しまれ、評価を受けてきたものです。
ということは、そこにはある意味、いままで読み継がれてきた何らかの理由があるはずです。
 
それが何かは、読んでいないのに読んだ人から聞いてみてもあまり意味がないように思います。
それよりも実際に手に取って読んでみるべきです。
読んでみなければわからないことがたくさんあるし、
読む人によってさまざまな受け取り方があるはずですから。
 
現代には情報が溢れ返っていて、以前なら知る由もなかったことについて、
あるいは知りたくないけど知らざるを得ないこともたくさんあります。
なにをどう使ったらいいかわからないほどです。
つまり情報の取捨選択が必要になってきます。
 
でも、古典はそうではない。
安心して身を委ねていいわけです。
それだけの価値がある確率が高いと言ってもいいかもしれません。
 
 
・“速読”ではなく、あえてジックリ“遅読”することの楽しさ
古典の読み方は“遅読”がオススメです。
情報が溢れていると、質の高い情報をいかに選び出すかということと、
それをどれだけ短時間に取り込むかということに注力するようになりますが、
古典を読むときはそういうメソッドから離れるべきです。
だから遅読なんです。
 
実際、良い本をじっくり読むのは楽しいです。
時に一日に1ページなんてことがあってもいいんです。
ひとつの文字の意味を一週間考えてもいい。
そんな贅沢な読み方に合っているのは古典や名著です。
 
ファストフードに対抗してスローフードやスローライフが生まれたように、
利便性とか速効性を求める現代の風潮に逆らって、
是非ともスローリーディングを試してみてください。
 
学而時習之、不亦説乎、有朋自遠方来、不亦楽乎
という文章を身をもって実感できるはずです。
 
 

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