日本の暦シリーズ4「夏越の祓」 大祓詞全文付

突然ですが、穢(ケガ)れ、溜まってませんか?
 
本日、6月の晦日(ミソカ、月の最後の日のこと)は一年の前半最後の日です。
この日には、それまでの半年間に身にまとわりついた穢れを祓うために、神道の儀式のひとつである夏越の祓(ナゴシノハラエ)が行われます。
今回はこの夏越の祓、つまり大祓(オオハラエ)について書いてみます。
 

1)穢れを祓う

私たちは、日々の暮らしのなかでさまざまな罪を犯し、穢れを身にまとっていきます。
神仏を敬わないとか、邪(ヨコシマ)な考えを抱いたりとか、モノを粗末に扱ったりとか、ウソをついたりとか、挙げればキリがありません。
この罪と穢れ、「罪穢れ」と総称されますけれど、神道では罪は祓(ハラエ)で除き、穢れは禊(ミソギ)で清めるのだそうです。
 
また東洋医学と絡めて考えてみると、穢れとは「気枯(ケガ)れ」「気離(ケガ)れ」のこととなどとも言われます。
つまり、生きる力である”気”が衰えた状態のことですね。
気の弱り(東洋医学的には不足のこと)は生活のなかでのやる気や活気が失われるますし、病気を生みだします。
実際、夏越の祓は「これから暑くなって疫病などが流行る可能性が高い時期なので、カラダを良い状態にしておきましょう」という儀式でもあるようです。
 
それから、このような状態になるとカラダだけではなくココロの平静を保つこともできなくなります。
すると、いろいろな意味でひとは罪を犯しやすい状態になるわけです。
東洋医学では「ココロとカラダはひとつである」と考えますからね。
 
 
さらに、穢れとは霊的な強さなどが衰えた状態のことを指しているとも考えられます。
古代では(現代でもそういう意識を持つべきだと思いますけど)、予感とか霊感、はたまた気配などといった感覚をキチンと自覚して、生活の中に位置づけていました。
いやな感じがする場所には行かないようにしただろうし、見えないものの存在を強く意識していたと思います。
「古代のひとたちは現代人より感じていたし見えていたんだなぁ」と、東洋医学の古典を読んでいてときどき感じます。
 
ココロもカラダも、良い状態でいることが大切ですね。
 
 

2)大祓の流れ

それではこの大祓とはどんな儀礼なのでしょう?
実際に、私がよく(家から近いという理由ですが)お世話になっている鎌倉の鶴岡八幡宮の大祓式の流れを見てみましょう。
 
行われるの場所は、舞殿の横の広場です。 
神職が入場し、参式者全員とともに厳かに大祓詞(オオハラエノコトバ)を奏上します。
祝詞(ノリト)をあげることの意味を実感できる日常にはない瞬間です。
 
次に配られた切麻(キリヌサ、麻と紙を小さく切ったもの)を「祓たまえ清めたまえ」と言いながら、左、右、左の順に身体にかけます。
 
そしてこれも事前に配られた形代(カタシロ、人の形に切り抜かれた紙)で頭からつま先までよく撫で、最後に息を吹きかけます。
これは自分がまとった罪穢れをこの形代に移すという意味のようです。
形代はすべて集められ、それを神職に託して清めて(たしか海に流すはず)いただくわけです。
 
水に流す」という言葉がありますが、罪や穢れは水で洗い流して清めるのが本来のやり方です。
罪は祓(ハライ)で除き、穢れは禊(ミソギ)で清めるともいわれます。
 
神社にお参りに行き、鳥居をくぐって境内に入ると、拝殿の手前に必ず手水舎(チョウズヤ)がありますね。
ここで手を洗い口をそそいで拝殿へ進むのが神社参拝の作法であることはよく知られていますが、じつはこれはお清めの意味があって、禊ぎを簡略化した作法なんですよ。
本来なら、衣服を脱いで川の水や海水、あるいは井戸水で身体全体を清めるものです。
 
話を戻して、大祓の流れの続きです。
 
形代が集められ、神職の大麻(オオヌサ、大幣とも書き、いわゆるお祓い棒)による修祓(シュバツ、お祓いのこと)などがとりおこなわれると、最後に茅の輪くぐりがあります。
 
八幡様では舞殿前に茅萱(チガヤ)で作った「茅の輪」が設けられています。
茅萱には邪気を祓い除ける効果があるといわれています。
この茅の輪を左回り、右回り、左回りの順で三回くぐって、正月からの半年間の罪穢れを祓い、無病息災を祈ります。
最後に御神酒をいただいて終了です。
 
ちなみに、鶴岡八幡宮の夏越の祓は、本日6/30の11時、13時、15時、17時の四回行われます。
 
 

3)大祓詞を唱えてみよう!

『拾遺和歌集』に「水無月(ミナツキ)の夏越の祓する人は千歳(チトセ)の命延(イノチノ)ぶというなり」という歌があります。
神社に大祓に行かれないひとは、せめて大祓詞を声を出して唱えてみましょう。
声に出して読んでみると、なんともいえない気分になります!
全文掲載し、読み(下段)も載せておきます。
 
 
高天原に神留まり坐す 皇が親神漏岐神漏美の命以て八百万神等を 神集へに集へ給ひ
たかあまはらにかむづまります すめらがむつかむろぎかむろみのみこともちてやほよろづのかみたちを かむつどへにつどへたまひ
神議りに議り給ひて 我が皇御孫命は
かむはかりにはかりたまひて あがすめみまのみことは 
豊葦原瑞穂国を安国と平けく知食せと事依さし奉りき 
とよあしはらのみづほのくにをやすくにとたひらけくしろしめせとことよさしまつりき
此く依さし奉りし 国中に 荒振神等をば神問はしに問はし給ひ 神掃へに掃へ給ひて
かくよさしまつりし くぬちに あらぶるかみたちをばかむとはしにとはしたまひ かむはらひにはらへたまひて
語問ひし磐根樹根立草の片葉をも語止めて 天の磐座放ち天の八重雲を伊頭の千別に千別て
ことどひしいはねきねたちくさのかきはをもことやめて あまのいはぐらはなちあまのやへぐもをいづのちわきにちわきて
天降し依さし奉りき 此く依さし奉りし 四方の国中と 大倭日高見の国を
あまくだしよさしまつりき かくよさしまつりし よものくになかと おおやまとひだかみのくにを 
安国と定め奉りて下津磐根に宮柱太敷き立て
やすくにとさだめまつりてしたついはねにみやはしらふとしきたて
高天原に千木高知りて皇御孫命の瑞の御殿仕へ奉りて 
たかあまはらにちぎたかしりてすめみまのみことのみづのみあらかつかへまつりて
天の御蔭日の御蔭と隠り坐して安国と平けく知食さむ国中に成り出む。天の益人等が過ち犯しけむ
あまのみかげひのみかげとかくりまして やすくにとたいらけくしろしめさむくぬちになりいでむ。あまのますひとらがあやまちおかしけむ
種種の罪事は天津罪国津罪許許太久の罪出む此く出ば
くさぐさのつみごとはあまつつみ くにつつみ ここだくのつみいでむかくいでば
天津宮事以ちて天津金木を本打ち切り末打ち断ちて
あまつみやごともちてあまつかなぎをもとうちきりすえうちたちて
千座の置座に置足はして天津菅麻を本刈り断ち末刈り切りて八針に取裂きて天津祝詞の太祝詞事を宣れ 
ちくらのおきくらにおきたらはしてあまつすがそをもとかりたちすえかりきりてやはりにとりさきてあまつのりとのふとのりとごとをのれ
此く宣らば 天津神は 天の磐戸を押披きて天の八重雲を 伊頭の千別に 千別て 聞食さむ国津神は
かくのらば あまつかみは あまのいはとをおしひらきてあまのやへぐもを いづのちわきに ちわきて きこしめさむくにつかみは
高山の末低山の末に登り坐て 高山の伊褒理低山の伊褒理を掻き別けて 聞食さむ
たかやまのすえひきやまのすえにのぼりまして たかやまのいぼりひきやまのいほりをかきわけて きこしめさむ
此く聞食しては 罪と言ふ罪は在らじと科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く
かくきこしめしては つみといふつみはあらじとしなとのかぜのあまのやへぐもをふきはなつことのごとく
朝の御霧 夕の御霧を 朝風夕風の吹き掃ふ事の如く大津辺に居る大船を 
あしたのみぎり ゆうべのみきりを あさかぜゆうかぜのふきはらふことのごとくおおつべにをるおおぶねを
舳解き放ち 艪解き放ちて 大海原に押し放つ事の如く彼方の繁木が本を
へときはなち ともときはなちて おおうなばらにおしはなつことのごとくおちかたのしげきがもとを
焼鎌の利鎌以て打ち掃ふ事の如く遺る罪は在らじと 祓へ給ひ清め給ふ事を
やきがまのとがまもちてうちはらふことのごとくのこるつみはあらじと はらへたまひきよめたまふことを
高山の末 低山の末より 佐久那太理に落ち多岐つ
たかやまのすえ ひきやまのすえより さくなだりにおちたきつ
早川の瀬に坐す 瀬織津比売と伝ふ神 大海原に持出でなむ 
はやかわのせにます せおりつひめといふかみ おおうなばらにもちいでなむ
此く持ち出で往なば荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百曾に坐す 速開都比売と伝ふ神 
かくもちいでいなばあらしほのしほのやおあひのやしほじのしほのやほあひにます はやあきつひめといふかみ
持ち加加呑みてむ 此く加加呑みては気吹戸に坐す気吹戸主と伝ふ神 根国底国に気吹放ちてむ 
もちかがのみてむ かくかがのみてはいぶきとにますいぶきどぬしといふかみ ねのくにそこのくににいぶきはなちてむ
此く気吹放ちては根国底国に坐す 速佐須良比売と伝ふ神 持ち佐須良比失ひてむ此く佐須良比失ひては
かくいぶきはなちてはねのくにそこのくににます はやさすらひめといふかみ もちさすらひうしなひてむかくさすらひうしなひては 
今日より始めて罪と伝ふ罪は在らじと 
けふよりはじめてつみといふつみはあらじと
今日の夕日の降の大祓に祓へ給ひ清め給ふ事を諸々聞食せと宣る 
きょうのゆうひのくだちのおおはらへにはらへたまひきよめたまふことをもろもろきこしめせとのる
 
さあ、これであなたの半年間の穢れも祓えたはずです!
ではまた。
 
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