東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その2

 前回の“”につづき、今回は“血”について説明する。血はそれほど難しくはない。いわゆる血液とほとんど変わらないからだ。ただし、東洋医学的にみた血の不調については、どんな症状があてはまるのかしっかりとチェックしてほしい。

 

   目次

1.血ってなに?

 1-1.血について

 1-2.血のはたらき

2.気の不調をセルフチェック      

 2-1.血の不足=血虚

 2-2.血の停滞=血瘀

 2-3.血の熱=血熱

 

1.血ってなに?


 まずは“血”とはなにかについて簡単に説明しよう。

 

1-1.血について

・血ってなに?

 血とは、からだのいろいろなところに栄養を運ぶ赤い液体だ。つまり血が行き届かないところは栄養不足になるということ。栄養不足になればうまく働いてくれなくなる。

 例えば“眼のかすみ”や”眼精疲労“などはその典型。目という器官に血の栄養が行かないことでおこる症状なのだ。

 

・血はなにでできる?

 血をつくるのに必要なものは、取り込んだ飲食物から抽出する“水穀の精微”だ。これは以前説明した。つまり血は食べたものからつくられるわけ。だから規則正しくキチンと食べないと血が不足することになるのだ。ただし、たくさん食べればいいというものでもない。

 

・血はどこにためられるか?肝

 つくられた血は肝にためられ、必要に応じて心から全身に送り出される。昼のあいだ血は全身をめぐっていて、眠ると肝に戻ると東洋医学では考えている。つまり眠っているあいだは、血は肝にもどってためられている。ちょっと不思議な考え方だ。

 これについておもしろい例をあげてみよう。昼食後に授業などを受けていると眠ってしまうことがよくある。あれはじつは昼食でとった糖質によって血糖値が上昇し、膵臓からインスリンというホルモンが出て、血糖値を下げ、そのことによって眠気がでるのだが、そのことは置いておいて、眠ると「カクッ」となることがある。さきほどの眠ると血が肝にもどるという考えを使うと、血が肝にもどった結果、血が栄養している筋肉(これは五臓では肝がコントロールしていると考える)に栄養がいかなくなる。そのため筋肉がからだを支える力が弱まって「カクッ」となるわけ。納得?

 

・血のバランス

 健康を左右するこの血のバランスという意味では、すでに学んだと同じように2つの要素がある。

 1つめは血の量、つまり過不足がないこと。特に問題になるのは気の場合とおなじように不足である。血が不足するとからだのいろいろな部位が栄養不足のような状態になり、痛みやしびれなどの症状がでたりする。

 2つめ流れ、つまり停滞しないで流れているということ。血も気や水とおなじようにスムーズに流れていることが大切だ。血の流れが悪くなると、これまたいろいろな問題が起こる。例えば脳梗塞のような状態もこれに含まれる。

 

 

1-2.血のはたらき

 からだのなかで血がどのようなはたらきをしているかを見てみよう。

 

・血は栄養をはこぶ

 血は全身に栄養をはこんでいる。といわれても具体的にどのようなことなのかわかりにくいだろう。血が十分に栄養を運んでいれば、顔の血色はよく、皮膚や髪の毛は潤いがあり、感覚の麻痺などもなく、筋肉もしっかりとしていて正常に運動ができるのだ。

 

・血は精神にも影響する

 血は精神活動にも影響すると東洋医学では考える。このことには少し違和感があるかもしれないが、大切なことだ。血は意識を正常に保ったり、ものを考えたりすることにも不可欠なものなのだ。だから血が不足すると、集中してものを考えたりすることがしづらくなったりする。

 

 

2.血の不調をセルフチェック!


 それでは “血に関する不調”について解説しよう。これには大きくわけると3つある。血が不足した“血虚”(けっきょ)、血の流れが悪い“血瘀”(けつお)、血が熱の影響をうけた“血熱”(けつねつ)である。

 

2-1.血の不足=血虚

・血虚とは?

 血が不足した状態を“血虚”という。これは、血をつくれなくなったり血がひどく消耗したりした結果おこる状態だ。

 原因としては食事をキチンと取らない、血をつくる“脾”(五臓などのはたらきについては後日)という臓の問題、過労、外傷や手術、出産などでの大頭痛量の出血など。

 みなさんは、血が不足しているというとすぐに思い浮かぶのは“貧血”だろう。ただし、西洋医学的に血液検査で貧血と判定されないレベルでも、東洋医学的には“血虚”である方は結構いるのだ。このあたりについても、東洋医学のからだの診かたはかなり繊細だ。

 

・血虚の症状

 気のはたらきは、先ほども紹介したようにからだに栄養を運んだり、精神状態を正常にはたらかせること。血虚になるとこれらのはたらきが低下する。具体的な症状としては、次のようなものだ。顔や頭を栄養できないとめまい・顔面蒼白などがおこり、心を栄養できないと動悸・不眠、筋肉だとしびれ・痙攣という具合だ。

 このような症状のある方は“血虚”の可能性が高いので、こころとからだを休ませて血をつくるもとになるようなものを食べるべきだ。

・めまい  ・立ちくらみ ・顔色が悪い
・動悸 ・不眠 ・しびれ・痙攣
・目のかすみ      ・視力減退 ・爪の変形(表面がデコボコになる)
・生理痛 ・生理が遅れる       ・生理の血がうすい・すくない

 

 

2-2.血の停滞=血瘀

・血瘀(けつお)とは?

 “瘀”というのは流れが悪いこと。血が停滞した状態を“血瘀”という。

 原因としては熱・冷え、気の不足つまり気虚、血虚、打撲や捻挫、気の流れの停滞つまり気滞、水の流れの停滞などいろいろある。

 

・血瘀のチェックのしかた舌下静脈

 血瘀は、現代医学的にみても血流の悪い状態のことだ。ある意味、とても危険なサインともいえる。そこでふだんから自分でもチェックしておくといいだろう。

 簡単なチェック方法として“舌の裏の静脈”をみる方法がある。右の図をみてほしい。この静脈が膨れ上がっていて、しかも暗い紫色だったら要注意。血瘀のサインだ。さあ、今日から舌の裏をチェックしよう!

 

・血瘀の症状

 血の流れが悪くなると痛みをひきおこすことがある。そのときの痛みの特徴としては、痛む場所が固定されていて(動かない)、刺すようなするどい痛みだ。それ以外の具体的な症状としてはお肌のトラブルが多い。

 このような症状がある方は”血瘀“の可能性が高いので、同じ姿勢を続けないようにして軽度の運動を心がけるとよい。美容のためにも血瘀は解消したほうがいい。

・刺すような痛み ・夜になると痛みが強くなる ・シミ
・日焼け跡が取れにくい ・サメ肌 ・皮膚のくすみ   
・生理痛(鋭い痛み)    

 

 

 

2-3.血の熱=血熱

・血熱とは?

 血が熱の影響をうけた状態を血熱という。血に熱があるというのも不思議な感じがするかもしれないが、からだにこもった熱によって血が熱くなると考えるのだ。そうなると血は速く流れるようになり、出血しやすくなる。

 原因としては、熱以外には精神状態の影響や辛いもの・味の濃いものの食べ過ぎなどがある。

 

・血熱の症状

 血が熱の影響を受けると、皮膚の症状、出血傾向、ほてりのような軽めの熱症状、精神に対する影響などがおこる。発疹やかゆみは熱によるものであり、夕方から夜にかけてほてり感が増してくるなどの症状がでてくるのも特徴的だ。辛いものや味の濃いものは控えよう。

・発赤 ・発疹 ・かゆみ
・ほてり(夕方から夜にかけて) ・寝汗 ・口が渇く
・不眠 ・精神不安 ・出血傾向(鼻血・吐血・血便・血尿など)

 

 

第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

第4回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その1

第5回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その2

第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!

第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

 

 

次回は「水とその不調」。
1/11ころに公開予定(今後は週に1回に変更する)。

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