新シリーズ「東洋医学的日々雑感」1 暑さ寒さも彼岸まで?

 

もうすぐ秋のお彼岸です。

ふつうは、「じゃあお墓参りに行かなきゃ」って思いますよね。
そこで今回は、お彼岸にからめて調べたり考えたりしたことを書いてみました。

 

1.お彼岸は秋の真ん中


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お彼岸の時期は、二十四節気のひとつである春分、秋分を中日に前後3日間、合計7日間。
今年でいえば、秋の彼岸は秋分の日が9月22日だから19日が彼岸の入りで、25日が彼岸明けとなる。

土用丑の日で有名な土用は四季にそれぞれあるが、四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間ずつのことなので、今年の立秋は8月7日で11月7日の立冬の前日までが暦の上では秋ということになります。

東洋医学ではひとと環境の関係性を大切にします。
季節に応じた生活をする」ということです。

そういう意味では、秋分というのは秋の真ん中なんですよね。

 

 

 

 

2.おはぎ? ぼたもち?


 

お供え物は、もちろん春は“ぼたもち”、秋は“おはぎ”。%e3%81%8a%e3%81%af%e3%81%8e2
春に咲く牡丹の花にちなんで“牡丹餅”と書き、秋は萩の花にちなんで“御萩”と書きます。

厳密には形も違うようで、牡丹は大きくて丸い花なので牡丹餅は丸く大きめに、萩は小さくてやや細長い花なので御萩は俵形で小ぶりに作るのだとか。
さらに、あんの違いもあります。原料の小豆は秋に収穫されるので、獲れたてが使える秋は皮ごと使った粒あん、冬を越した春には硬くなった皮を取ってこしあんにしていたようです。

名前が違うだけだと思っていましたが、意外にも結構違うんですよね(笑)

昔は甘いものは贅沢品だったので、こういう時にありがたく頂いていたわけですけど、いまでは逆に甘いものが溢れ返っているわけで、そのせいで病気になっている方がたくさんいるように思います。

ある論文で「砂糖は麻薬に匹敵する常習性がある」とありました。
甘いものをやめるのは、麻薬から離脱するのと同じくらい大変だということです。

現代人も、たまにハレの日だけ甘いものを感謝して頂くようにするだけで、かなり健康になれるはずです。

 

 

3.どうしてお墓参り?


 

%e8%93%ae%e3%81%ae%e8%8a%b1話をお彼岸に戻して、なぜこの時期なのかというと、春分、秋分ということで昼と夜の長さが同じで、太陽は真東から上り真西つまり西方浄土の方角へ沈むからなんです。

仏教では、悟りの世界のことを彼岸といい、その反対側の私たちがいる迷いや煩悩に満ちた世界を此岸(しがん)といいます。そして、彼岸は西に、此岸は東にある。つまり彼岸と此岸が最も通じやすくなる時期なのでご先祖を供養しましょうということなんです。

ただし、お彼岸という習慣は他の仏教国にはないものだし、“日願(ひがん)”にも通じるとされて、神道の太陽信仰との結び付きもあるようです。日本のいろいろな風習には、神道、仏教、儒教などがごちゃ混ぜになっていますからね。

ちなみに“お盆”では、ご先祖が私達のところまでやってきてくれるのをお迎えし、供養して、再び送り出すのに対して、「お彼岸」は、一年の中でこの世のとあの世が最も近くなる日とされていることから、私達が先祖の元に出向いて供養をする、という違いがあります。

 

 

 

4.秋の過ごし方


 

そうそう前置きが長くなりましたが、ここからが本番。東洋医学のお話になります。%e3%82%b9%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%81%a8%e6%9c%88
秋という季節の過ごし方についてです。

約2千年前に書かれた東洋医学の古典『素問』第二篇「四気調神大論」にある文です。

「秋三月.これを容平という。
天気は急を以てし、地気は明を以てす。
早く臥し早く起き、雞と倶に興く。
志をして安寧ならしめ、以て秋刑を緩やかにす。
神気を収斂(シュウレン)し、秋気をして平ならしめ、其の志を外にすることなく、肺気をして清ならしむ。
此れ秋気の応、養収の道なり。
これに逆らえば則ち肺を傷り、冬に飡泄(ソンセツ)となり、蔵に奉ずる者少なし。」

(秋の3ヶ月は、容器の中に収穫物がいっぱいに盛り上がって受けとめられている、そういう季節である。
天の気はキリリとして清冽で、地の気ははっきりと明確である。
この時期は早寝早起きすべきで、鶏と一緒に起きなさい。
心を安寧にし、秋の粛殺の気を緩和させ、神気を収斂させて、秋の季節に適応するような気持ちを持ちなさい。
心を外に向けないようにし、肺気を清浄に保つようにしなければならない。
これが秋に適応して収を養う道理である。これに反すると肺が損傷され、冬に下痢をするようになり、冬の季節特徴である「蔵」という機能がうまく働かなくなる。)

 

今回の解釈は、父が以前やっていた『素問講義』のものを部分的に使ってみましたので、一般的なものとは多少違うかもしれません。
秋は収斂・収穫する季節で、気は外ではなく内に向かい、陰の気が盛んになってくるキリッとした季節ですが、心を安らかにし、早寝早起きするのがいいようです。
秋と関連する臓は肺なので、肺を清らかにすることが大切です。具体的にはきれいな空気を肺いっぱいに満たしてあげること。早起きして外に出て深呼吸してみましょう!
是非、明日からでも実践してみてください。

 

ここでちょっと苦言です。

よく東洋医学的な解説などをするサイトに「秋は乾燥するので・・・」と書いてあって、“燥邪”(からだに対する乾燥による害のこと)の影響を受けやすくなるとしています。燥邪の影響を受けやすい臓は肺なので、呼吸器系の不調に注意が必要だ、などとしています。

秋ってそんなに乾燥するでしょうか?
ちなみに気象庁の集計などを調べてみると、やはり違います。
日本は南北に長い国なので、地方によってかなりバラつきますが、東京で言えば、乾燥するのは断然冬です。
そうなんです。この「秋は乾燥する」というのは、中国でのこと。それをそのまま書いているだけなんです。これは明らかに間違いです。

東洋医学の考え方はとてもすばらしいと思うのですが、日本において実践するときは、日本の気候・文化などをふまえて行うべきですね。
ですから、日本では燥邪に注意すべきは冬ということになります。

 

 

5.不思議な彼岸花


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そういえば彼岸花という秋のお彼岸の頃になると突如という感じで赤い花を咲かせる草がありますが、あれ驚きますよね。

彼岸花は曼珠沙華(まんじゅしゃげ)といって、サンスクリット語で天界に咲く花という意味。

秋雨が降ってやがてお彼岸が近づくと芽を出して、1日に10cm近くも茎が伸び、あっという間に50センチ位になって、例の真っ赤な花を咲かせます。その後、1週間ほどで花も茎も枯れて、次に球根から緑の葉っぱが伸びてくるという不思議な育ち方をする植物なんです。

そろそろ咲きますよ(笑)

少し長くなりすぎました。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。

 

 

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第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

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第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

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次回は9/26ころに公開予定。

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