東洋医学的日々雑感24「糖尿病1000万人について思うこと」

2017年9月22日に以下のような報道がありました( 記事リンク )。
 
国内の糖尿病が強く疑われる成人が推計で1千万人に上ることが、厚生労働省の2016年の国民健康・栄養調査でわかった。
調査を始めた1997年の690万人から増え続け、今回初めて大台に達した。
厚労省は高齢化が進んだことが影響したとみている。(中略)
糖尿病は放置すると、網膜症や腎症などの合併症のほか、脳梗塞や心筋梗塞などの原因にもなる。
だが、今回の調査で有病者のうち、23.4%は治療を受けていなかった。
国は22年度の有病者を1410万人と予測。それを1千万人に抑えることを目標にしている。
 
この記事を読んで考えたりしたことについて少し書いてみます。
 
 

1.糖尿病合併症「米国で減」「日本で増」のなぜ


糖尿病について考えるときに知っておきたいことがあります。
実はアメリカでは、糖尿病の合併症を減らすことに成功していますが、日本では逆に増えています
このことは、アメリカでは糖尿病の予防治療に成功しているのに、日本ではそれができていないということです。
いったい何故なのか?
 
日本の低糖質界の先駆けである江部康二先生はその理由について、
糖尿病の治療食の糖質摂取率が米国では40%、日本では60%であることの差ではないか、
という仮説を立てて検証しています。
 
そもそも糖尿病という病気を簡単に説明すると、
糖質を摂取する→血糖値が上昇する→インスリンが分泌される→血糖値が下降する
という機序のなかで、インスリンというホルモンが出にくいか、または効きにくいという状態のことです。
 
血糖値が高い状態は、カラダにとって良くないことがいろいろ(例えば、血管を傷つける→動脈硬化→脳梗塞・心筋梗塞など)と起こるため、血糖値を下げる必要があってインスリンが分泌されるんですね。
結果的に余った糖質がインスリンによって脂肪に変換されてカラダに蓄積されるので、
つまり糖質をたくさん摂ると太るというわけ。
もちろん肥満によっていろいろな病気のリスクが高まるので、見た目の問題よりそちらが心配です。
 
インスリンが出にくかったり、効きにくかったりするのが糖尿病なのだから、普通に考えれば糖質を摂らないようにするのが病気を悪化させないための基本であるってことは、誰にでもわかることですね。
 
それなのに日本の糖尿病治療食のスタンダードでは、糖質を60%も摂るんです。
そりゃあそれだけ糖質を摂れば血糖値は上がります。
糖尿病はその血糖値を下げるシステムがうまくいかない病気なんだから、今度はインスリン注射を打って血糖値を下げることになるわけです。
 
いままでのところ、意味わかりますか?
簡単に言い換えると、
アクセルを踏みながら(糖質を摂ること)、ブレーキをかける(インスリンを打つこと)
ということです。
 
一方で、インスリンといいうホルモンは猛毒だと言われます。
過剰なインスリンによって、ガン、アルツハイマー、肥満などのリスクが高まるからです。
それをわざわざ糖質をたくさん摂らせて血糖値を上げておいて、
非常に高価でしかも猛毒のインスリンを注射する意味ってなんでしょう?
医療の本来の目的から外れていると思うのは、私だけでしょうか?
 
一点だけ注意を!
糖尿病の治療をしている方は、むやみに低糖質の食事にして服薬やインスリン注射をすると低血糖になって、命にかかわることがありますので、必ず医師の指導のもとに行ってください。
 
 

2.東洋医学では糖尿病ってどんな病のこと?


東洋医学で糖尿病とほぼ同じと思われる病気は「消渇」といわれています。
これについても少し説明を加えてみましょう。
 
消とは痩せる、渇は口や喉の渇きのこと。
『諸病源候論』という隋代(610年)に巣元方によって病の症候と原因について書かれた古典には、
渴不止小便多是也(渇して止まず小便多きこれなり)とされています。
口が渇いて小便が多い病気だということ。
 
美食や甘いものの過食によってカラダにが生まれ、
その影響で多飲、多食、多尿と体重減少という「三多一少」と呼ばれる症状が代表的な病気です。
熱の所在がカラダの上か真ん中か下かによって上消、中消、下消の3つに分類されます。
それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。
 
分類 病位 症状 病期 病態
———————————————
上消   肺   多飲 初期 軽症
中消 脾胃 多食 中期 中症
下消   腎   頻尿 後期 重症
 
肺を中心としたカラダの上の方がやられる上消は、多飲が特徴的な症状で、消渇の初期で軽症。
脾胃を中心としたカラダの真ん中がやられる中消は、多食が特徴的な症状で、消渇の中期で中症。
腎を中心としたカラダの下の方がやられる下消は、頻尿が特徴的な症状で、消渇の後期で重症。
 
消渇を起こす原因は以下のように言われています。
◉ 飲食失調
 ・油っこいもの、甘いもの、辛いものの過食
 ・過食によって脾胃に負担をかけ、さらに体内に湿熱を生み、そのため口臭が生じる
◉ 情緒失調
 ・怒りやストレスによって肝の気が鬱滞する
 ・さらにこれが長引くと熱化し、そのため口渇が生じる
 ・肝火により、目の充血、イライラ、怒りっぽい、頭痛、不眠などといった症状も出てくる
◉ 腎虚
 ・腎が弱ると、多尿(尿の量が多い)、頻尿(排尿回数が多い)などの症状が起こる
 ・腎の弱る原因には、先天性、性生活の不節制(房事過多)、過労、慢性疾患、睡眠不足などがある
 
また、『備急千金要方』には
「凡積久飲酒未有不成消渇」(飲酒を長年続けて消渇にならないものはない
なんていう記述もあります。
 
適切な食事、情緒の安定、過労や睡眠不足に気をつけるといったことが、
養生としては必要になります。
 
お互い気をつけましょう!
 
 

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