東洋医学的日々雑感 「社会は変えられる」

私が最近読んだ本のなかで、ちょっと他人に話したくなったものが2冊あります。
ひとつは『ローカリズム宣言』(内田樹著)。
もうひとつが『社会は変えられる』(江崎禎英著)です。
 
今回は医療にかかわっている人間として頷ける点の多かった『社会は変えられる』の方を取り上げてみることにします。
『ローカリズム宣言』もいつか取り上げたい一冊です。
 
内容を漫然と紹介しては著者に対する営業妨害にもなってしまうで、ポイントを絞って書くことにします。
その際に、私の意見をかなり挟んでいくつもりです。
 
 

1)この本を読む価値があると思った理由

まずは、本書を私が取り上げようと思った理由から書きましょう。
それは以下の3点です。
・医療・介護の「常識」に疑問を呈していること
・医療にかかわる「利権」にメスを入れていること
・どうすれば人々が「超高齢社会」を豊かに生きることができるのか、をまじめに論じていること
 
私はいままで、この国に住まうひとりの人間として、また医療に関わる者として、この(本来はとてもスバラシイものであるはずの)医療制度がいまどのような状態になっていて、この先どうなっていくのかという漠然とした不安を持ち続けていました。
 
あまり意味のない投薬(たぶんご本人も治ると思って出していない場合も多いように見受けられる)をダラダラと続ける医師。
効果をほとんど感じてもいないのにその薬を黙って持ち帰る(ただし飲んでいるとは限らない)患者。
生活習慣病という命名をしておきながら、ほとんど生活習慣の指導ができていない医師。
明らかに病気になると思われるような生活を続けておいて、いざ病気になるとそれを医者に丸投げする患者。
などなど数えあげればキリがありません。
 
 
そんなことを目の当たりにしていると、「この国民皆保険制度は近い将来に破綻を迎えるだろう」と言われれば、頷くしかありませんでした。
それを食い止めるために、自分が関わっている鍼灸やら東洋医学やらがどのように関われるのかということを考える以前の、とても難しい問題に思えていました。
そんな状態で出会ったのが本書なんです。
著者は、再生医療新法なども手掛けた経済産業省の現役の官僚です。
 
 

2)いままでの医療とこれからの医療について

 この本でいちばん興味を惹かれたことは、薬が効くのはどういう病気なのかという部分です。
そこでは「薬が効きやすい疾患はほとんどが外因性の単一要因によるもので、その代表例が感染症」であると指摘しています。
これは現代医学がもっとも得意とする疾患です。
私見を差し挟ませてもらうとすると、それにプラスして外科手術。これらについてはお任せします。
 
一方、医療費を押し上げている生活習慣病と老化型の疾患は、病気の原因が必ずしもカラダの外からくるのではないし、複数の要因が絡み合っている場合(内因性で複数要因によるもの)が多いので、従来の単一要因型のアプローチで対応しようとすることは困難である、というのです。
 
これはその通りです。
生活習慣病なら生活習慣を変えなければ治らないし(あるいは病気になる前に変えておくことが大事)、老化やその延長としての死は病気ではないので誰にも止められません。
また、生活習慣とひとことで言っても、例えばそのひとの体質や性格、食事、生活環境、人間関係などと非常に多くのことが関わってくるので、原因をひとつに求めていくような考え方で解決できることではありません。
ですから著者は結論として、「治すことだけを目指す医療は限界なので、医療の目的を予防や管理を主たるものとすべきである」といっています。
 
生活習慣病とは、糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症などの生活習慣が発症に深く関わっていると考えられている疾患の総称。これらに肥満を伴ったものをメタボリックシンドロームという。また、がん、脳血管疾患、心臓病の3大死因も生活習慣との関わりが強いとされ、肥満はこれらのリスクを上げる。ここでいう生活習慣とは、食事、喫煙、運動、飲酒の習慣のこと。
 
それから、もうひとつ挙げるとすると、高齢者医療についての指摘です。
「高齢者医療が問題なのは、医療コストの多寡より、誰もが迎える「死」をわたしたちの日常から遠ざけたこと」と記しています。
つまり、「延命治療」という名のもとに「死」が日常から切り離されたことを問題視しています。
結果的には「人生最期の3日間で生涯医療費の30%を使っているなどということが起こっている」わけなんですね。
 
このことは、以前に「鍼灸のプラス効果」で書いた仙台でがん末期の患者さんを中心に在宅緩和ケアに取り組んでいた岡部健先生も指摘していました。
「医者は看取りの専門家ではないんだよ」と先生はいつも言っていました。
「死亡診断書を書くことと、看取りとは意味がまったく違うんだ」、と。
まさに、すべてのひとの致死率は100%であるとの自覚、つまり死を受け入れることが大切なんだと思います。
 
 

3)この本を通して私が考えたこと

 最後に、この本を読んで私が考えたことを3つ書いておきます。
 
まず1つめは、「健康を他人任せにしてはいけない!」ということです。
自分の健康は、自分で守る必要があります。
もちろんそれでも病気になってしまうことはあります。そういうときは専門家に任せて指示を仰ぎましょう。
でも、なるべく病気にならないようにする努力は、普段からしておくべきです。
そしてその方法は、自分で調べたり考えたりすることが大切です。
病気自慢ではなく、みんなで健康自慢をしましょう。
 
 
2つめは、「健康を手に入れるために大切なのは、日々の暮らし方だ!」ということです。
上でも書いたとおり、いまの病気の主流は内因性で複数要因のものです。
日々の食事、生活リズム、人間関係を代表とするストレス、モノの考え方、自分の性格、遺伝的な要素など多岐にわたります。
それらをみんな把握して対処できるのは自分だけです。
自分の日々の暮らしを見つめ直し、病気になる前にセルフケアできるようにしましょう。
 
3つめは、「個人では解決できない問題でも、諦めないでみんなで考えることが大切だ!」ということです。
この国の医療が破綻するかもしれないというときに、何も考えずに漫然とその制度に寄りかかっていては解決になりません。
みんなでどうしたらいいかを考えて、一人ひとりができることをやっていくしかないんです。
誰かがやってくれるのを指をくわえて待っていても、変わりはしません。
 
書いているうちに、なんだか方向性が支離滅裂になってきてしまいました。
とにかく、一度読んでみてください(笑)
 
 

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