東洋医学のツボをはずさないために その2

前々回からの「東洋医学のツボをはずさないために」のその2。今回はみなさんにもなじみの深い“ツボ”について学びます。

 

     目次
1.ツボってなに?
 1-1.気が出入りする?!
2.ツボのはたらき
 2-1.経脈とツボの深イイ関係
 2-2.ツボの反応からわかること
 2-3.治療的な効果
3.どんなツボがあるの?
 3-1.正穴と奇穴
 3-2.「あー、そこ」
 3-3.刺しちゃダメって・・・

 

1.ツボってなに?


 まずは、ツボとはなにかということから説明をはじめる。2016-04-21 13.20.52

 

1-1.気が出入りする?!

 ツボがどんなものなのか、東洋医学の有名な古典である『黄帝内経』の「霊枢」に次のような記述があるので、ちょっと難しいがまずは見てほしい。

 

・「神気之所游行出入」

 「節之交三百六十五會.知其要者.一言而終.不知其要.流散無窮.所言節者.神氣之所遊行出入也.非皮肉筋骨也.」

(『霊枢』九針十二原篇第一)

(節の交、つまり経穴というものは、三百六十五ある。その本質というのは、一言で終わってしまう。その本質を知らないといろいろ迷ってしまう。その本質とは、生命のもとである神気が遊行出入(ユウコウシュツニュウ)するところである。簡単にいうと気が出入りする所。皮肉筋骨などではない。)

 

 皮肉筋骨、つまり皮膚や筋肉、骨などの解剖学的な部位ではなく、気という生理学的な作用の上から経穴(ツボ)の本質をとらえるのだ、と言っている。

 このことは、第1回に書いた東洋医学と西洋医学の視点の違いのキッカケについて思い起こすと、あくまでも“気”というものの存在にこだわるのが東洋医学である、ということになる。

 なんだか見えないけれど、「気というものがからだをめぐっているから生きているのだ」と考えることが基本ということだ。

 そういう意味で、ツボをひとことで言いあらわすと、「気が出入りするところ」ということになる。

 

 

 

2.ツボのはたらき


 つぎに、ツボのはたらきについてみていく。origin_5471047557

 結論からいうと、つぎの3つがポイントになる。

 

  ❶ ツボは経脈を通じてからだのなか、特に臓腑とつながっている

  ❷ ツボを触ると、その反応からいろいろと身体の状態がわかる

  ❸ そのツボを押したり、鍼を刺したり、お灸をすえたりすることで、治療できる

 

 では、少し詳しく見ていこう。

 

 

2-1.経脈とツボの深イイ関係

 身体にとって必要な気血は、経脈をとおってからだの各部や奥深くにある臓腑へと送られるということは前々回学んだ。経脈はからだの浅いところと深いところを結んでいる気血が流れるルートだった。

 その経脈が皮膚の表面に近いところを流れている上にツボがあるわけ。だから、ツボを押して離れたところが楽になったりするのだ。

 例えば、膝の下にある足三里(胃経のツボ)を刺激すると胃が楽になったり、手の合谷(大腸経のツボ)を押すと歯の痛みが楽になったりするのは、ツボと経脈がつながっているからだ。

 経脈の上で特に治療効果が高いポイントをツボというわけ。

 

 

2-2.ツボの反応からわかること

 ツボは経脈上にあって、特に気血が出入りしやすいポイントであることがわかった。

 これを利用することで治療できるわけだが、ツボにはそれ以外にも使い道がある。ツボに触れてその反応を診ることだ。

 例えばツボを触れてみたところブヨブヨして指で押した圧を跳ね返す力が弱いところがあると、これは“虚”という反応で、このツボのところでなにかが不足しているというふうに考えられる。

 ツボの反応には痛み、しこり、陥凹(くぼみ)、ザラつき、熱感、冷感、湿り気などいろいろなものがあり、それに応じた診断が可能となる。

 オモシロいのは痛み。押してすごく痛いときは“実”、気持ちイイときは“虚”、重だるかったら“湿”など、痛みの種類だけ診断があるのだ。

 

 

2-3.治療的な効果

 ツボをなでたり、押したり、鍼を刺したり、灸をすえたりすることで治療効果があることは上で述べたとおりだ。

 その場合、痛みがある場所に近いツボであることが多いが、ツボの治療効果はそれだけではない。ツボがある経脈上にある離れた場所の痛みを取ることもできるし、ツボが関連している臓腑を治すこともできるのだ。これがオモシロイところ。

 それともうひとつ。ツボは強く押せばイイというものではないのだ。ツボの反応にはいろいろあるわけだから、その状態に応じて押し方も変えないと、効かなかったり、かえって逆効果だったりするわけ。結構、複雑なのだ。

 

 

 

3.どんなツボがあるの?


 つぎに、ツボの種類についてみていく。0266059b499017d8840c8f98397b1d59_s

 

3-1.正穴と奇穴

 ツボは経脈の上にあるといったが、正確にはツボがある経脈は14本ある。前々回学んだ12本プラス任脈、督脈だ(この辺りについては次回以降に詳しく学ぶ)。これらの経脈の上にあるツボは“正穴”とよばれる。これらは名前と場所が決まっている。2008年にWHOの指示によって日中韓を中心にツボの名前と位置が統一されたが、その数は361穴。

 これ以外に名前や場所、主治症(どんな症状に効くのかということ)が決まっているが経脈の上にはないツボがある。これを“奇穴”とよぶ。

 この正穴と奇穴が代表的なツボだ。

 

 

3-2.「あー、そこ」

 ところがそれ以外にもツボとよんでもいいものがある。それが“阿是穴”だ。

 「阿」とは「あー」という意味、「是」とは「そこ」という意味で、例えば痛いところがどこかを探っているときに「あー、先生、そこそこ!」という場所のことを指している。

 押したら痛いところ、逆に気持ちがイイところなども鍼やお灸で治療効果が出せるのだが、そこを阿是穴とよぶのだ。

 

 

3-3.刺しちゃダメって・・・

 ツボにはいろいろな種類があって、専門家はそれをうまく組み合わせて(ちなみに組み合せないで1つしか刺さないという流派もある)治療することはわかったと思う。

 しかし変なツボもあって、禁鍼穴とか禁灸穴という名前がついていて、つまり鍼を刺したりお灸をしてはダメなツボだ。

 例えばお臍、ここには温かい灸をして下痢を止めたりすることはあるが、鍼はしちゃいけないことになっている。つまり禁鍼穴だ。

 もともとは鍼を刺して死んでしまったり体調が悪くなったりしたようなツボを禁鍼穴にしたというのが、もっともらしい理由だ。

 それ以外には、ある流派がすごく効果があるツボをみつけて、それを他の流派の者たちに隠すために禁鍼穴にした、というようなこともいわれている。

 

 

 

第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

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第21回「東洋医学エピソードシリーズ5「拒食症」

第22回「東洋医学のツボ その1 経絡

第23回「東洋医学エピソードシリーズ6「ねん挫」

 

次回は「東洋医学エピソードシリーズ7「梅の種」」
5/9ころに公開予定(GW中は1回お休み)。

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