東洋医学のツボをはずさないために その4

「東洋医学のツボをはずさないために」のその4、14本の代表的な経脈についての第2回目の今回は足の陽明胃経と足の太陰脾経の2本について見てみる。

東洋医学の消化器系統といってもいいこの2本はなかなか大事だ。

 

      目次
1.胃と脾にかかわる経脈
 1-1.足の陽明胃経
 1-2.胃について
 1-3.足の太陰脾経
 1-4.脾について
 1-5.古典にある経脈図

 

 

1.胃と脾にかかわる経脈=消化器系担当


 

 今回は足の陽明胃経と足の太陰脾経の2本を紹介する。

 前回から2本ずつ紹介しているが、それぞれは基本的に「表裏関係にある」という言いかたをされる。この意味は、五行で同じ行に所属し、陰陽の関係になっている、親和性の高い臓と腑ということだ。

 また最初の手の太陰肺経から順に12本の経脈がつながっている順に紹介をしている。

 今回のふたつの臓腑は、6組の表裏関係のなかでもとくに親密度が高く、よく“脾胃”と熟してよばれる。足陽明胃経

 

1-1.足の陽明胃経

 足の陽明胃経の流れているルートは右図のとおり。

 黄色いラインがツボを結んだルートだ。これ以外に体内のルートもある。

 胃の経脈が最初に起こる場所は鼻のあたり。

 そのあと目の下から上の歯や口をめぐって顎へ出て、そこで別れて一本は額の角まで上がって行く。

 体表のツボを結ぶラインはそのあと喉をとおり、胸では乳首のラインをおりて、腹では正中線と乳首のラインの半分のところをおりて行く。

 さらに太腿、膝とおりて、下腿では有名な足三里などをとおり、足の第2指の爪の生え際の外側で終わる。

 体内のルートは、喉をめぐったあとに鎖骨の上から体内に入り、胃と脾をめぐる。

 経脈の流れる方向は、頭から足の指先に向かっている。

 

 

1-2.胃について

 胃というのは食べ物を受け入れる大切な腑だから、食べたり飲んだりしたものをグジュグジュにして、滞りなく下へと降ろしていくことが大切だ、ということは第20回に学んだ。

 胃がイイ状態であれば食欲も正常にあるし、食べたものはキチンと気血になってくれるわけだ。

 話しはちょっとそれるが、正常な食欲について考えたことがあるだろうか?

 私たち鍼灸師は患者さんに「食欲はありますか?」とよく尋ねるが、これのほんとうの意味を分かって尋ねている鍼灸師や尋ねられている患者さんは、じつは少ないかもしれない。

 ほんとうの食欲というのは、「お腹が空いて食べたい」という欲求のことだ。お昼休みだからとか、これから仕事に行くから、といった理由でお腹が空いていないにもかかわらず食事をとるのはある意味間違っているし、正しい意味での食欲がないとう方は結構多い。

 食欲がないときはどうすればいいか? 食べないというのが正しい選択だ。

 以前に、風邪で食欲がないときの対処法でも書いたが、食欲がないのには理由がある。からだが食べものを入れないでくれといっているのだ。だから食べない。

 痛みだって同じだ。痛いということは、からだを休めなさいという意味。だから痛み止めを飲んで無理して働くのは間違いだ。

 話がそれ過ぎたが、胃をだいじにしよう!足太陰脾経

 

 

1-3.足の太陰脾経

 足の太陰脾経の流れているラインは右図のとおり。青色のラインが体表のツボをむすんだラインだ。

 上述した足の陽明胃経の流れを受けて、足の第1指の爪の角の内側から起こり、下腿の内側に触れる脛骨という骨の際を上って、内腿をとおり、腹部では正中線(臍のライン)の外側4寸(乳頭のライン)を上がり内部で脾と胃につながる。

 その後、側胸部のツボで終わるが、支脈が食道をはさみ、舌の根元まで行っている。

 経脈の流れる方向は下から上ということになる。

 

 

1-4.脾について

 脾は消化・吸収にかかわるたいせつな臓だと以前(第14回)に書いたが、食べたものは脾のチカラで気や血のもとになる。

 また脾は、上昇という気の方向性をもっている。つまりものを上に持ち上げる力があるということ。これは下垂に対する効果があるということ。つまり胃下垂などの臓器の下垂や下痢、倦怠感などに効果があるわけ。

 それ以外には、血がむやみに漏れるのを防ぐのも脾のはたらきのひとつだ。ぶつけた記憶もないのに青タンがあちこちにできたり、生理の出血がなかなか止まらなかったりする方は、脾のちからが弱っているということになる。

 そんなときは、経脈のラインをこすってあげるのがイイ。すぐにやってみよう!

 

 

1-5.古典にある経脈図

 
最後に古典にある経脈図を載せておく。陰足総図陽足総図

 はじめが「陽足総図」で、次が「陰足総図」。明の時代の『類經図翼』という古典にある図で、手に関係する陰の経脈と陽の経脈をまとめたもの。

 前回載せた「陽手総図」「陰手総図」とセットになるもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次のふたつは経脈ごとの図で、これも『類經図翼』にある図だ。足陽明胃経_類経図翼足太陰脾経_類経図翼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

第4回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その1

第5回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その2

第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!

第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

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第16回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その5

第17回「東洋医学エピソードシリーズ3「サンフランのエイズ患者」

第18回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その6

第19回「東洋医学エピソードシリーズ4「家内の胃の痛み」

第20回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その7

第21回「東洋医学エピソードシリーズ5「拒食症」

第22回「東洋医学のツボをはずさないために その1 経絡

第23回「東洋医学エピソードシリーズ6「ねん挫」

第24回「東洋医学のツボをはずさないために その2 ツボ

第25回「東洋医学エピソードシリーズ7「梅の種」

第26回「東洋医学のツボ その3 経脈各論1

第27回「東洋医学エピソードシリーズ8「裏内庭」

 

次回は「東洋医学エピソードシリーズ9「小指で三陰交」」
6/6ころに公開予定。

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