東洋医学のツボをはずさないために その5

 

「東洋医学のツボをはずさないために」のその5の今回は手の少陰心経と手の太陽小腸経の2本について見てみる。

前回書いたように、この2本の経脈と関連が深い臓(心)と腑(小腸)は表裏の関係にあり、結びつきが強いと考えられているのだが、なかなか不思議な組み合わせだ。

 

      目次
1.心と小腸にかかわる経脈
 1-1.手の少陰心経
 1-2.心について
 1-3.手の太陽小腸経
 1-4.小腸について
 1-5.古典にある経脈図

 

1.心と小腸にかかわる経脈


 

 今回は手の少陰心経と手の太陽小腸経の2本を紹介する。

 このふたつの経脈にかかわる臓腑である心と小腸は、五行では同じ「火」の行に属していて、陰陽の関係になっている。心臓には血が集まっていて、血は赤く、五行で考えれば火ということになったのだろうが、火はからだの熱と関連が深い。

 

 

1-1.手の少陰心経手少陰心経

 手の少陰心経の流れているルートは右図のとおり。紫色のラインがツボを結んだルートだ。これ以外に体内のルートもある。

 心の経脈が最初に起こる場所は心臓。そのあとは下って横隔膜を貫き、小腸までいく。

 心臓から別れたでた支脈は喉、目へと上る。

 メインのルートは、心臓から肺、脇の下へとめぐり、上腕の内側、肘の内端、前腕の内側、掌などを経て、小指の爪の内側の端までいき、次の経脈である手の太陽小腸経につながる。

 経脈の流れる方向は、手の指先に向かっている。

 

 

1-2.心について

 心とは、もちろん心臓のことである。ただし東洋医学は心身二元論の立場をとっており、「こころ」は脳ではなく心臓にあると考える。そういう意味で、心は精神活動を統率する重要な役割を担っているのだ。

 また上述したように心は五行では火に属する。からだを温める役割があって、水に属する腎とのあいだにバランスがとれていなくてはならない。火である心はからだを温め、水である腎はからだを冷やすわけだ。

 また心はからだの上の方にあるので、熱を帯びやすい性質の臓腑だ。いくら火に属しているといっても、熱を帯びすぎると心のはたらきに支障をきたすことになる。具体的な症状としては、動悸がしたり、胸のあたりに不快感が生じたり、不眠になったりする。

 以上の心についての内容は第12回に学んだので、詳細はこちらのページで。

 

 

1-3.手の太陽小腸経手太陽小腸経

 手の太陽小腸経の流れているラインは右図のとおり。青色のラインが体表のツボをむすんだラインだ。

 上述した手の少陰心経の流れを受けて、手の第5指の爪の角の外側から起こり、前腕の内側、肘、上腕の内側をとおり、肩関節から肩甲骨をめぐり、鎖骨の上のくぼみから体内に入り、心、喉をめぐって横隔膜を貫き胃と小腸につながる。

 鎖骨の上のくぼみから別れた支脈は頭をめぐり、頬、目の外側に行き、耳の中に入る。

 さらに頬から分かれた支脈は、鼻を通って目の内側に至り、次の足の太陽膀胱経につながる。

 経脈の流れる方向は指先から体幹に向かう。

 

 

1-4.小腸について

 小腸では、食べたものが精と濁(これはカスのこと)に分離され、必要な水分を再吸収したあと、さらに固形分は大腸へ送られ大便になり、不必要な水分は膀胱へためられ尿となって排泄される。

 心と小腸がペアになっているのは不思議な取り合わせだが、この心と小腸を補う味は「苦み」。舌の先だけが赤くなっているときは、からだの上部にある肺や心に熱がある証拠だ。心や小腸は暑い時期に病気になりやすいといわれるので、夏には苦味のある食べものをとって備えよう。

 

 

1-5.古典にある経脈図

 最後に古典にある経脈図を載せておく。

 経脈ごとの図で、いずれも『類經図翼』にある図だ。

手少陰心経手太陽小腸経

 

「やりなおし鍼灸治療学」(治療に自信が持てない鍼灸師のための年間セミナー)というセミナーを鍼灸師、鍼灸学生向けにはじめます。オンラインでの受講と実技スクーリングになっています。

興味のある方は、下記のバナーをクリックして詳細をご覧ください。

やりなおし鍼灸治療学

 

 

 

 

第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

第4回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その1

第5回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その2

第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!

第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

第8回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その2

第9回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その3

第10回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その1

第11回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その2

第12回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その3

第13回「東洋医学エピソードシリーズ1「鍼灸がこんなことに効くって知ってました?」

第14回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その4

第15回「東洋医学エピソードシリーズ2「肺癌末期の女性患者について」

第16回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その5

第17回「東洋医学エピソードシリーズ3「サンフランのエイズ患者」

第18回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その6

第19回「東洋医学エピソードシリーズ4「家内の胃の痛み」

第20回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その7

第21回「東洋医学エピソードシリーズ5「拒食症」

第22回「東洋医学のツボをはずさないために その1 経絡

第23回「東洋医学エピソードシリーズ6「ねん挫」

第24回「東洋医学のツボをはずさないために その2 ツボ

第25回「東洋医学エピソードシリーズ7「梅の種」

第26回「東洋医学のツボ その3 経脈各論1

第27回「東洋医学エピソードシリーズ8「裏内庭」

第28回「東洋医学のツボ その4 経脈各論2

第29回「東洋医学エピソードシリーズ9「小指で三陰交」

 

次回は「東洋医学エピソードシリーズ10」
6/27ころに公開予定。

TOPに移動

Comments are closed.

Back to Top ↑