東洋医学のツボをはずさないために その6

 

「東洋医学のツボをはずさないために」のその6、今回は足の太陽膀胱経と足の少陰腎経の2本について見てみる。

この2本の経脈と関連が深い臓(腎)と腑(膀胱)は表裏の関係にあり、結びつきが強いと考えられているが、腎臓と膀胱の関係についていえば、西洋医学的に考えても納得のいく組み合わせといえよう。

 

    目次
1.膀胱と腎にかかわる経脈
 1-1.足の太陽膀胱経
 1-2.膀胱について
 1-3.足の少陰腎経
 1-4.腎について
 1-5.古典にある経脈図

 

 

1.膀胱と腎にかかわる経脈


 今回は足の太陽膀胱経と足の少陰腎経の2本を紹介する。

 このふたつの経脈にかかわる臓腑である膀胱と腎は、五行では同じ「水」の行に属していて、陰陽の関係になっている。

 前回の心は五行では火に属し、からだの熱と関連が深かったが、今回の腎・膀胱は水であり、からだを冷やす性質をもつと考えられる。

 人体が冷えたり熱をもったりしないでバランスが取れた健康な状態を保つためには、この火と水のバランス、ひいては心と腎のバランスが大切となる。

 また、腎は老化、つまりエイジングにもっともかかわりのある臓であるから、そういった意味でも重要な経脈といえる。

 

1-1.足の太陽膀胱経

足太陽膀胱経

 足の太陽膀胱経の流れているルートは右図のとおり。この経脈は12本の経脈の中でもっとも長く、ツボの数も67穴と多い。

 しかもこの経脈上の背部には背兪穴とよばれるツボが並んでいるという点が特徴的である。

 背兪穴とは、例えば脾兪とか大腸兪のように、「臓腑の名称+兪」というタイプのツボで、兪とは治癒の癒につながることから、それぞれ名前のついた臓腑を治す効果があるとされるツボである。

 したがって鍼灸などの治療では使われる頻度の高い経脈ということになる。

 赤色のラインがツボを結んだルートだ。からだの後面を主に通っている。これ以外に体内のルートもあるのは言うまでもない。

 膀胱の経脈が最初に起こる場所は眼の内側。そのあとは頭、項から背部を下り、腰から体内に入って腎、膀胱へとつながる。その後、大腿の後面、下腿の後面をへて足の第5指の爪の端で終わる。

 経脈の流れる方向は、頭部から体幹、足の指先へと向かっている。

 

 

1-2.膀胱について

 

 膀胱とは尿をためる袋である。

 そういう意味では、腑としてはあまり大した役割を担っているとはいえない。

 ところで、東洋医学における病のとらえ方に標本というものがある。

 “標”とは枝葉、“本”とは幹のことで、病の本質とその結果あらわれる症状のことである。

 もちろん、治療においては病の本質をとらえ、そこを優先的に治療するべきだとされているのだが、古典の中で、“標”に属する症状でもこの症状だけはすぐに改善させなさいとされるものがいくつかある。

 そのうちのひとつが”尿閉“、つまりおしっこが出ないという症状なのだ。

 これは放置すると大変なことになるのですぐに対処しなさい、と書かれている。その場合、膀胱の経脈を使うことが多い。そういった意味では、膀胱も重要な腑なのかもしれない。

 以上の膀胱についての内容は第20回に学んだので、詳細はこちらのページで。

 

 

1-3.足の少陰腎経

足少陰腎経

 足の少陰腎経の流れているラインは右図のとおり。黄色のラインが体表のツボをむすんだラインだ。

 上述した足の太陽膀胱経の流れを受けて、足の第5指の下から起こり、足底に唯一ある涌泉というツボをとおって、下腿・大腿の内側を上り、腹部、胸部を上り、メインのラインと合流する。

 メインの経脈は、脊柱を貫いて腎、膀胱につながる。

 さらに、腎より上って肝、横隔膜を貫いて肺へと入り、気管をめぐって舌の根に終わる。

 胸部で分かれた支脈は心につらなり、次の手の厥陰心包経につながる。

 経脈の流れる方向は足の指先から体幹の方向にむかっている。

 

 

1-4.腎について

 

 腎は成長・生殖・老化などにかかわる重要な臓である。気や血をつくるもとになる精をしまい、からだ全体の水の代謝をコントロールしている。

 五臓のところで学んだが、各臓腑には関連が深いからだのいろいろな部位がある。

 腎の場合に覚えておくといいのは、骨、髪、耳あたりだろうか。これらはみな、老化にともなって機能低下などを起こす器官や体の部位だ。骨がもろくなったり、髪が抜けたり白髪になったり、あるいは耳が遠くなる。こういった老化現象をすこしでも遅らせたり改善したりするために腎が大切ということになる。

 腎に関する詳細は第18回にあるので、参考にしてほしい。

 

 

1-5.古典にある経脈図

 最後に古典にある経脈図を載せておく。

 経脈ごとの図で、いずれも『類經図翼』にある図だ。それぞれの表情が楽しい。

 

 

足太陽膀胱経

 

足少陰腎経

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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次回は「東洋医学エピソードシリーズ11「ばね指」」

7/11ころに公開予定。

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