東洋医学のツボをはずさないために その9

 

「東洋医学のツボをはずさないために」のその9の今回は、任脈と督脈の2本について見てみる。

流れのルートは、任脈が前、督脈が後ろの体幹部(つまり胴体と頭)の正中をとおっていて単純でわかりやすいので、詳しく見てみよう。

なお、これでからだにある代表的な経脈についての説明が終わるので、「東洋医学のツボをはずさないために」シリーズは今回で終了する。

 

      目次
1.督脈と任脈
 1-1.概略
 1-2.督脈の流注
 1-3.任脈の流注
 1-4.古典にある経脈図

 

1.督脈と任脈


 

1-1.概略

 

 この2本の経脈はいわゆる“十二正経”とよばれる経脈とは違って“奇経八脈”に属している。

 “正経”と“奇経”がどう違うかというと、十二正経は特定の臓腑と強いつながりがあり、関連のある臓腑を一組にして陰陽の表裏関係になっていて、十二本がひとつの輪のように連続していて、すべての経脈が固有のツボから成り立っている。

 

 これに対し、奇経は臓腑とのつながりをもたず、またこの督脈と任脈の二脈以外は固有のツボを持っていない。固有のツボを持っていないということはどういうことかというと、他の十二正経の経脈に属するツボをいろいろと拝借してきて成り立っているということだ。

 そう聞くと、ちょっと特殊な脈であまり使われることがなさそうな印象を持つかもしれないが、これが臨床で使ってみると以外にオモシロいし、効果もある。

 奇経は八本あるのだが、そのなかでこの二本は特殊なものなので、これを加えて“十四経”と言ったりもするように、督脈と任脈は重視されているわけだ。

 

 

1-2.督脈の流注

 

 督脈の流れているルートは、単純だ。ツボの数は28穴。

 背中側の真ん中、後正中線上を尾骨先端から上って頭を経て上唇で終わる。

 

 体内とも関係しており、起こるのは胞中(女性は子宮、男性は精巣を指すとされる)で、会陰から外に出て、そのまま尾骨の先端から腰、背中、後頭部と後正中線上を上り、後頭部から脳に入る。その後さらに後頭部の正中線上を上り、頭頂を経て、上の歯ぐきまで下りて終わる。

 首を前に倒すと後頚部で出っ張る骨があり、その下に「大椎」というツボがある。

 このツボのところで手足の三陽経(陽の経脈すべて)が交わっている。そのため、督脈は陽気を調節する作用を持っているとされる。

 またからだの器官としては、腎、脳、脊髄、胞(前出の胞中と同意)とも関係がある。

 

 

1-3.任脈の流注

 

 任脈の流れているルートも、単純だ。ツボの数は24穴。

 お腹側の真ん中、前正中線上を会陰から上って顎で終わる。

 

 体内とも関係しており、起こるのは督脈と同じで胞中。会陰から外に出て、腹部、胸部、前頚部の正中線を上り、喉、下顎から下の歯ぐきに至り、顔をめぐって目に入る。

 

 足の三陰経(肝経、脾経、腎経)は下腹部で任脈と交わっている。そのため、任脈は陰の経脈に対する調整作用があるとされる。

 また胞中から起こっているため、女性の月経、妊娠、出産をコントロールするとされている。

 

 

1-4.古典にある経脈図

 

最後に古典にある経脈図を載せておく(左が督脈、右が任脈)。

経脈ごとの図で、いずれも『類經図翼』にある図だ。

督脈_類経図翼 任脈_類経図翼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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第38回「特別編「五行のオモシロさについて」

第39回「東洋医学エピソードシリーズ13「インコ」

 

次回は9/5ころに公開予定。

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