東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

さて、いよいよ本格的な東洋医学のはなしにはいっていくことにする。ちょっと難しいかもしれないが、なるべくわかりやすく解説しよう。

まずは第3回「東洋医学は“気の医学”」でも説明した内容を振り返りながら、すこし説明を加えていこう。

            目次

      1.気・血・水のキホン

         1-1.気について

         1-2.じつは“精”が重要! 

         1-3.血と水

      2.気ってなに?

         2-1.気のはたらき

         2-2.気の種類

      3.気の不調をセルフチェック

         3-1.気の不足=気虚

         3-2.気の停滞=気滞

 

1.気・血・水のキホン


 東洋医学的な見かたでからだを構成する基本要素としての気・血・水について説明しよう。

 

1-1.気について

・すべてのものは気でできている

古代中国の哲学では、宇宙に存在するすべてのものは気でつくられていると考える。これは第3回で書いた。気というものは常に動いており、形を変え続けている。ひとのからだのなかでも同じことが起こっていて、気の変化のバランスがひとの健康状態を左右しているといってもいい。

 

・気のバランス

導引図

気功のもとになった導引図

健康を左右するこの気のバランスという意味では、2つの要素がある。

1つめは気の量、つまり過不足がないこと。特に問題になるのは不足である。気が不足すると“元気がない”とか“やる気がでない”とか“根気がつづかない”など気分への影響もあるし、“冷え症”とか“不妊”とか“病気にかかりやすい”なんていう症状にもつながったりする。

2つめ流れ、つまり停滞しないで流れているということ。気の流れが悪くなると、これまたいろいろな問題が起こる。東洋医学的には“鬱”なども、ほとんどはこの気の流れの停滞が原因になっている。

 

 

1-2.じつは“精”が重要!

 からだは気血水でできていると書いたが、この気血水のもとになるものが“精”である。第3回でもすこし触れたが、理解しやすいように図を用意したので、これを使って説明する。

 

・精ってなに?

精とは、からだのいろいろな組織や器官に栄養をあたえ、気や血をつくり、精神(東洋医学ではこれを“神”とよぶ)をコントロールしているとても大切なものである。つまり、すべての生命活動のエネルギー源といってもよい。

 

・精と気血水の関係

精と気の関係

精と気血水の関係

 右の図を見てほしい。精と気血水がどのような関係にあるかを示している。

 ひとは生まれるときに“父の精”と“母の精”が合体してできる。これが“先天の精”で腎という臓にしまわれて生まれてくるのだ。この先天の精は“原気(元気)”という気になり、生命力の源になる。ちなみにこの原気は臍下の”丹田”というところにたくわえられる。

 食べ物(これを“水穀”という)を食べると、ここから“水穀の精微”といういわばエッセンスのようなものをとりだし、これが水と“後天の精”になる。後天の精はさらに“営気(エイキ)”と“衛気(エキ)”とになる。営気はからだの栄養分、衛気は邪気からからだをまもる気だ。

 ひとは空気(自然界の清気)からも気をつくりだす。それが“宗気”だ。

 血は先ほどの営気と水からつくられる。

 以前、東洋医学は病気にならないための養生を大切にしている医学だと書いたが、この図のなかで良い食べ物を適度な量、正しい方法でとるのが体にイイというのが食養生。良い空気を正しく呼吸するのがよいという呼吸法と、セックスを節度をもっておこなうということを含めて、東洋医学の代表的な養生法だといえる。

 

 

1-3.血と水

 血は血液とほぼ同じととらえる。からだに栄養分を送っているあの赤い液体だ。からだを潤す作用もある。流れている場所は血脈という。

水も同様。からだのなかの血以外の水分のこと。血と水はからだのなかの液体成分として共通したとらえ方もされる。専門的には水は“津液”という。“津”はサラサラした水で、“液”はネバネバした水のこと。

 

 

2.気ってなに?


 ここでは「気のはたらき」と「気の種類」について簡単に説明する。種類については第3回に書いたので、それをそのまま掲載する。

 

2-1.気のはたらき

 気のはたらきには5種類ある。なるべくわかりやすい言葉で説明する。生薬2

活力をあたえ動かす~からだに活力をあたえ、成長・発育をうながし、血・水、臓器などを動かす。

温める~からだを温め、そのことによってはたらきがスムーズになる。

守る~外邪(外からからだを襲う邪気のこと)がからだに侵入することからからだを守る。

漏らさない~血や水などがやたらに流出するのを防ぐ。

つくる~からだに必要な気・血・水・精などをつくる。

 

 

2-2.気の種類

 気には代表的なものが4種類ある。

❶原気(元気)(ゲンキ)~生命活動の原動力となる根本の気。成長や発育、老化などにかかわる。

❷宗気(ソウキ)~飲食物と呼吸によって得られ、呼吸や発声、血の運行などとかかわる。

❸営気(エイキ)~飲食物からつくられ、栄養分をからだに運ぶ。

❹衛気(エキ)~外邪の侵入を防ぎ、全身を温め、発汗をコントロールする。

 

 

3.気の不調をセルフチェック!


 それでは最後に“気に関する不調”について解説しよう。

 その前に、すこし予備知識が必要だ。東洋医学でからだを診るときの基準のひとつに“虚”と“実”というのがある。それについて説明する。

 

・虚=(からだに必要なものの)不足 or 機能低下

 からだに足りないものがあれば、不調になる。例えば血が足りなければ貧血になるようなもの。わかりやすいと思う。ただしなにが足りないかというと、“からだに必要なもの”が足りないということだ。精、気などである。

  虚にはこれ以外にも含まれる状態がある。それは機能低下だ。はたらきが低下すること。例えば心臓の機能が低下すれば息切れがするなどのこと。

 

・実=(からだに余分なものの)有余 or 停滞

 実は虚の反対の概念で不足の反対は有余であるが、対象になるものが違う。実というのは“からだに必要ないもの”がある状態のことだ。例えば風邪。ふつうこれを「かぜ」と読むが、東洋医学では風の邪気のことで「ふうじゃ」と読む。からだの外から入ってきて悪さをする邪気である。こんなものが侵入している状態が実である。

  それ以外には生理物質の停滞。つまり気・血・水の流れが悪い状態も実に含まれる。

 

3-1.気の不足=気虚

・気虚とは?

 気が不足した状態を“気虚”という。これは、気をつくれなくなったり気が消耗したりした結果おこる状態だ。原因としては栄養不足、過労、大病、長患いなど。

 

・気虚の症状デスクワーク

 気のはたらきは先ほども紹介したが、いろいろある。気虚になるとこれらのはたらきが低下するのだ。具体的な症状としては、次のようなものだ。

このような症状のある方は“気虚”の可能性が高いので、からだを休ませて気を回復させるべきだ。

 ・からだがだるい  ・疲れやすい   ・からだに力がはいらない

 ・めまい         ・息切れ         ・風邪をひきやすい

 ・慢性の下痢    ・汗がでやすい(暑さや運動にかかわらずジワっとかく汗)

 

 

3-2.気の停滞=気滞

 

・気滞・気逆とは?

 気が停滞した状態を“気滞”という。軽度なものは“気鬱”という。さらに気が上にあがってしまって降りなくなった状態を“気逆”という。

原因としては過度な感情の変化や邪気、ストレスなどがある。気の流れは常に停滞するというわけではないので、症状がでたり治ったりを繰り返すという特徴ももっている。

 

・気滞の症状腰痛

 気は空気でもあるので、気滞になると空気の停滞がおこって胸や腹が張ったりすることが多い。具体的な症状としては次のようなものがある。

このような症状がある方は”気滞“の可能性が高いので、ストレスを減らし、軽度の運動を心がけ、香りのよい食材を取るようにするとよい。気が停滞すると次の段階として血の停滞がおこりやすくなるので早めの対応が大切だ。

・お腹や胸が張る(生理のときなど)  ・腹部の膨満感がある    ・頭痛がする

・精神的に抑鬱感がある          ・イライラしやすい         ・怒りっぽい

・ゲップ・しゃっくり・ため息などがよくでる(でると楽になる)

 

 

第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

第4回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その1

第5回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その2

第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!

 

次回は「血とその不調」
1/4ころに公開予定

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