臨床エピソードシリーズ16 昭和の名人の技 その1

 

鍼灸についてのお話は、今回から数回はシリーズでお送りします。

以前、医道の日本社さんから「昭和の名人の技」というタイトルで父のことを書いてくれという依頼を頂いたのですが、ある理由で掲載できないことになってしまいました。その原稿を数回に分けてお送りします。

 

 1)はじめに


 

医道の日本社から「父の臨床内容と、それをどのように自分の臨床に取り入れているか」について書くようにとの依頼が来ました。

私は鍼灸学校の教員になってから数年間(正確には教員養成時代を含めると約5年間ほど)父の臨床を目の当たりにする時間があったのですが、ハッキリ言って父の臨床スタイルをそのまま受け継いでいるわけではありません。

どちらかというと、(勝手に師と仰いでいる)故井上雅文先生の影響が大きいのです。

ですからこの依頼を受けるべきか少し躊躇しました。

そして少しばかり悩んだ末に、自分なりに書くべき目的をみつけたので引き受けることにしたわけです。c2b3b81b9853a195e0711470ead672d0_s

その理由のひとつは、私自身のいまの状況にあるといってもいいでしょう。

 

私は鍼灸師の資格を取ってすぐに教員養成科に入り、卒業直後から昨年まで鍼灸学校の専任教員をしていました。

いろいろあって辞めることにしましたが、正直なところその間の臨床は片手間だったわけです。(そんな言い方をすると、その当時に治療をさせていただいていた患者さん達に大変申し訳ないのですが・・・。)

主に教育の仕事をしている割には臨床の時間は取ってはいたのですが、それでも所詮、学校の教員です。

臨床だけで食っていっていないというのは、ある意味で街場の鍼灸師に対する引け目でもあり、私の場合「教育の現場で臨床的なことを喋るために治療をする場を持っていた」といってもいいのかもしれないなどと、いまになって思います。

まあ患者の治療をまったくしないで「こうやれば治りますよ」などと授業で話しているよりは、少しはましかもしれませんが・・・。

ですから街場の鍼灸師になったいま、父の臨床を通して自分自身の臨床を見つめ直すきっかけにこの原稿がなればなどという、自分勝手な理由で執筆を受けたわけです。

 

この原稿に興味を持ってページを開いた読者の皆さんは、私などの話は早いところ切り上げて「早く島田隆司先生の臨床の話をせよ」と思っているでしょうから、このへんで本題に入ります。

(写真は父の師匠である丸山昌朗先生のお墓がある鎌倉、浄智寺)

 

2)目標


 

まず、父がどんな臨床家だったのか、どんなことを考え、また目指していたのかから書いていきましょう。

 

父は元々銀行員でした。

肝臓を悪くして入退院を繰り返していたある時、偶然に図書館で手にした本がきっかけで伊豆の断食道場に入り、2週間の断食と灸治療を受けました。

その結果、思ってもみなかったほど体調が回復し、その経験からこの世界に入る決心をしたようです。

その後、母を説得し、銀行で仕事をしながら夜は鍼灸学校に通うようになったのが30歳のときです。

すでに学生時代に恩師となる丸山昌朗先生にお会いして、父曰く「押掛け弟子」になったそうです。

当時この世界に入るなどとは夢にも思っていなかった私にもはっきりと分かるくらい、父は丸山先生を深く敬愛していました。

 

2016-11-06-08-38-21父のこの世界での目標は、丸山先生の生涯におけるメインテーマであったと思います。

私が聞いていたのは「経絡」、「刺絡」、「内経」の3つです。あえてもうひとつ加えるとすると「教育」かもしれません。

ある意味、父はこの目標をずっと追い続け、志し半ばで逝ったのだと思います。

 

丸山先生には3人の弟子がいました。

その3人について、金古英毅先生の父に対する「内経」誌の追悼文に次のような文があります。

父のことをよく表す文章だと思います。

———- 以下引用

ある時も呑みながら、私が「丸山門下生の三人(豊田・島田・藤木)の特長を一言でいえば、島田先生は育(はぐくむ)、藤木さんは学、豊田先生はなんだろう」。

しばらくして先生が「豊田さんは智、藤木は理、僕は摂(やしなう)だと思う。この三人の能力以上を合わせ持ち、神気を抱いた丸山先生に僕達は見出されたからこそ一つにまとまってお互いの能力を発揮できた。丸山先生にお会いして真の教育とは何かに触れることが出来た。それを少しでもいいから伝えて行きたい。な、ネコさん(金古先生の愛称のこと、筆者注)」。


 

タイトル写真は父の若い頃の写真です。私は似ていませんが、弟はそっくりです(笑)

続きは次回以降に。

 

経穴人形アップ
専門家レベルで学ぶ セラピストのための実践東洋医学セミナー 募集開始!

セラピストの方々からの「本格的で実践的な東洋医学を学びたい」という声にお応えして、新たに「専門家レベルで学ぶセラピストのための実践東洋医学」セミナーがスタートします!

セラピスト(エステティシャン、アロマセラピスト、 整体師、リフレクソロジストなど)の方々向けに、他との差別化を図るための東洋医学の実践的な知識と技術を学べるセミナーです。
講師は鍼灸師教育の専門家で、教科書執筆、わかりやすい東洋医学のブログ執筆をしている島田 力。
内容は、鍼灸師・マッサージ師向けの教科書を使用し、1年間、毎月2回(各回約80分)の動画による講義と2日間の実技スクーリングで構成されています。
動画なので何度でもどこででも受講が可能です(視聴可能期間は15カ月間)。
動画の配信スタートは11/15、1期生の募集は12/31までです。
 
募集開始:10/15〜12/31
セミナー開始:2016/11/15(以後毎月15日・末日に動画UP)
セミナー期間:1年(動画配信合計24回)
受講料:動画セミナー 毎月8,000円(一括払いは88,000円)
    実技スクーリング(2018年2月予定、2日間) 50,000円 
※実技スクーリング受講は任意で、別申し込み(受講終了頃のご案内)となります  
 
この機会に是非、専門家レベルで東洋医学を身につけてみませんか?
詳細はこちらへ。
お申込はこちらから
 
 

第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

第4回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その1

第5回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その2

第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!

第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

第8回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その2

第9回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その3

第10回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その1

第11回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その2

第12回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その3

第13回「東洋医学エピソードシリーズ1「鍼灸がこんなことに効くって知ってました?」

第14回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その4

第15回「東洋医学エピソードシリーズ2「肺癌末期の女性患者について」

第16回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その5

第17回「東洋医学エピソードシリーズ3「サンフランのエイズ患者」

第18回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その6

第19回「東洋医学エピソードシリーズ4「家内の胃の痛み」

第20回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その7

第21回「東洋医学エピソードシリーズ5「拒食症」

第22回「東洋医学のツボをはずさないために その1経絡

第23回「東洋医学エピソードシリーズ6「ねん挫」

第24回「東洋医学のツボをはずさないために その2 ツボ

第25回「東洋医学エピソードシリーズ7「梅の種」

第26回「東洋医学のツボをはずさないために その3 経脈各論1

第27回「東洋医学エピソードシリーズ8「裏内庭」

第28回「東洋医学のツボをはずさないために その4 経脈各論2

第29回「東洋医学エピソードシリーズ9「小指で三陰交」

第30回「東洋医学のツボをはずさないために その5 経脈各論3

第31回「東洋医学エピソードシリーズ10「自然気胸」

第32回「東洋医学のツボをはずさないために その6 経脈各論4

第33回「東洋医学エピソードシリーズ11「ばね指」

第34回「特別編「日本鍼灸の実情と今後」

第35回「東洋医学のツボをはずさないために その7 経脈各論5

第36回「東洋医学エピソードシリーズ12「鍼灸のプラス効果」

第37回「東洋医学のツボをはずさないために その8 経脈各論6

第38回「特別編「五行のオモシロさについて」

第39回「東洋医学エピソードシリーズ13「インコ」

第40回「東洋医学のツボをはずさないために その9 経脈各論7

第41回「臨床エピソードシリーズ14 「大腿骨頭壊死」

第42回「東洋医学的日々雑感シリーズ1「暑さ寒さも彼岸まで?」

第43回「東洋医学の活かし方シリーズ1「どうすれば美肌になれるか、東洋医学で考えてみた(1)」

第44回「知っておくと役に立つ東洋医学的な”病気の見かた” その1

第45回「臨床エピソードシリーズ15「ガンに対するお灸の効果」

第46回「東洋医学的日々雑感シリーズ2「「スポーツの秋」を東洋医学で考えると?」

第47回「東洋医学の活かし方シリーズ2「どうすれば美肌になれるか、東洋医学で考えてみた(2)」

第48回「知っておくと役に立つ東洋医学的な”病気の見かた” その2

次回は11/14ころ公開予定

TOPに移動

Comments are closed.

Back to Top ↑