東洋医学エピソードシリーズ6 「ねん挫」

 鍼灸についてのお話、今回は友人の足のねん挫を治療した話です。

 まだ私が国家試験に合格して間もない、教員養成科に通っている時のことですから、なんといまから23年も前のことになります(笑)

 

1.足がつけない


 美容師でヘアメイクの仕事もしている友人から電話がありました。

 聞くと「足を挫いた」といいます。

 「歩ける?」と尋ねると、

 「足を着けないくらい痛むんだけど、明日、大事な撮影の仕事があるからなんとかならないか?」と言います。

 「じゃあ、とりあえず治療してみるからいますぐ来て」と伝えて電話を切りました。

 彼が到着して、挫いた時の状況を聞くと、段差で足首を内側に捻ったいわゆる「内反捻挫」のようです。

 足首は赤黒く腫れて内出血しているようで、しかも触れると熱を持っていてかなり痛がります。2f8be5b125373485663aa033cccad29d_s

 

 「これでは明日の撮影は無理だと思うよ」と言うと、

 「休むわけにいかないから何とかしてくれ」の一点張り。

 「じゃあちょっと血を取ってみようか?」と言うと、

 「明日歩けるようになるならなんでもする」と言います。

 

 

 

2.刺絡をする


 鍼の方法のひとつに”刺絡”というものがあります。

 血の滞りがあるところに三稜鍼という特殊な鍼を刺して少量の血を取ると、劇的に良くなるんです。

 血を取るので消毒や止血に気を使うこともあって、鍼灸学校ではほとんど教えないのですが、私は父から習っていたので決行することにしました。cupping-419671_640

 腫れあがった部分に3ヶ所ほど鍼を刺し、吸角(カッピングのようなもの)で吸引して血を出していくと、ある程度の量を取った所で急に血の色と性状が変化します。

 それまで黒っぽく粘り気のある血だったのが、突然、明るい色のサラッとしたものに変わるんです。これは見ていてとても不思議です。

 そうなったらもう大丈夫。血を取るのは終了です。

 そもそもこの”刺絡”という治療法は、血をたくさん取ることが目的ではありません。痛みが出ている部分で流れが悪くなっている血を取ることで、血の流れを良くし、血の流れが良くなるとこんどは気の流れも良くなって、痛みや動きの悪さなどが改善するというものなのです。

 

 

3.凄いね!


 彼はその日、治療の直後に少し痛みが楽になったと言って帰りました。

 が、翌日、興奮気味に電話してきて、7ccf3e9be86dd5640884e1944c5eec87_s

 「凄いね!朝起きたら腫れも引いて痛みもなく普通に歩けたよ」

 「そうかぁ、それは良かった」と私。

 「撮影の仕事も何の問題もなくバッチリだったよ。ありがとう」と喜んでいました。

 そこまで改善するとは思っていなかったので、こちらが逆に驚きましたが、刺絡という治療法の速効性を実感した体験でした。

 この症例に限りませんが、鍼には速効性もあるんですよ。

 

 

第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

第4回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その1

第5回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その2

第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!

第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

第8回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その2

第9回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その3

第10回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その1

第11回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その2

第12回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その3

第13回「東洋医学エピソードシリーズ1「鍼灸がこんなことに効くって知ってました?」

第14回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その4

第15回「東洋医学エピソードシリーズ2「肺癌末期の女性患者について」

第16回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その5

第17回「東洋医学エピソードシリーズ3「サンフランのエイズ患者」

第18回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その6

第19回「東洋医学エピソードシリーズ4「家内の胃の痛み」

第20回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その7

第21回「東洋医学エピソードシリーズ5「拒食症」

第22回「東洋医学のツボをはずさないために その1

 

TOPに移動

Comments are closed.

Back to Top ↑