東洋医学エピソードシリーズ7 「梅の種」

鍼灸についてのお話、今回はうつの患者さんのお話です。

皆さんは鍼灸というと肩こり、腰痛、膝痛などと思っていませんか?

実は精神的な症状などにも思いのほか効果があるんです。

 

1.朝、気分がすぐれない


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 皆さんは鍼灸がうつ病に効くとは考えていなかったと思いますが、実は意外に効きます。

 この患者さんは男性で、年齢は40代後半、仕事のストレスが発症の原因のようでした。

 メンタルクリニックを受診し、抗うつ剤を服用中です。ご友人の紹介でしたが、うつの場合、症状がひどいと治療にも来られませんから、ある程度回復期に入っていたと言っていいでしょう。

 典型的なうつ症状で、特に朝方の気分がすぐれないようです。

 良くなったように思えても、出勤しようとすると途中で足が動かなくなるとのこと。1、2回の治療ではとても無理ですから、「じっくり治していきましょう」と伝えました。

 

 

2.東洋医学では・・・


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 東洋医学的にうつを考えると、”気滞”といって気の流れが悪い状態があてはまります。

 これは肝という臓と関連が深い病態ですが、気の流れが悪くなると”怒り”の方向へいってしまう場合と、”うつ”の方向へいってしまう場合と、2つに分かれるようです。

 肝は五行では”木”の行に属していました。

 木というのは上へ外へノビノビと枝を伸ばしていくものです。それがうまくいかなくなると病気になるわけです。この状態が気滞、つまり気の流れの滞りです。

 原因となるのは、ノビノビできないこと。簡単にいってしまうとストレスということになりますが、ストレスはなければいいというものでもありません。ひとによってものごとに対する感受性が違うし、そのときの精神状態によっても受け止め方が違うものです。だから「この病気の原因はストレスですね」などと無責任なことはいえません。

 いずれにしても、いろいろな理由で気の流れがスムーズにいかなくなると、爆発するか、内にこもるか、になるわけです。なんとなく分りますよね。

 

 

3.ゴルフボール??


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 その気滞の症状のひとつに「梅核気」というのがあります。これは東洋医学の症状名です。核は種のことで、梅の種が喉に詰まっているような気がするという症状です。

 この患者さんに「喉が詰まったような感じはありませんか?」と聞くと、

 「ええ、あります」といいます。

 「どのくらいの大きさでしょう?」と聞くと、

 「ゴルフボールくらいです」と。

 これにはちょっと驚きました。もちろんゴルフボールが喉に詰まってしまえば窒息してしてしまいますので、そんな気がするということです。

 問診終了後、全身の気の流れを調える治療をしました。

 治療後に「喉はどうですか?」と聞くと、

 「あっ、小さくなってる」と言います。

 「いまはどのくらいの大きさでしょう?」と聞くと、

 「梅の種くらいです」と。

 やっと梅核気になったんだと、思わず微笑んでしましました。

 うつのような精神的な病の場合、随伴している身体の症状がちょっとでも変化すると患者さん自身も治るかもしれないと思えるようで、そのことが回復へと向かわせる気がします。

 この方は、その後2ヶ月程週に1回通院されて会社に復帰されました。

 

 

第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

第4回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その1

第5回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その2

第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!

第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

第8回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その2

第9回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その3

第10回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その1

第11回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その2

第12回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その3

第13回「東洋医学エピソードシリーズ1「鍼灸がこんなことに効くって知ってました?」

第14回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その4

第15回「東洋医学エピソードシリーズ2「肺癌末期の女性患者について」

第16回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その5

第17回「東洋医学エピソードシリーズ3「サンフランのエイズ患者」

第18回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その6

第19回「東洋医学エピソードシリーズ4「家内の胃の痛み」

第20回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その7

第21回「東洋医学エピソードシリーズ5「拒食症」

第22回「東洋医学のツボをはずさないために その1

第23回「東洋医学エピソードシリーズ5「ねん挫」

第24回「東洋医学のツボをはずさないために その2

 

次回は「東洋医学のツボをはずさないために その3」
5/16ころに公開予定

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