日本鍼灸の実情と今後

今回は、通常の内容とは違う、私がこのブログを書き始めることにした理由について、日本の鍼灸の事情などとからめて書いてみます。

 

1.韓国の東洋医学事情


 東洋医学を系統的に分かりやすく学ぶこのブログを昨年の12月から書き始めて、早いものでもう34回となりました。

 この間、かなりたくさんの方々から反響をいただき、私自身驚いております。

 このブログを書きはじめた当初の目的は、一般の方に向けてわかりやすく系統的に東洋医学を知っていただくことでした。

 その理由のひとつが、以前視察に訪れた韓国の東洋医学事情にあります。

 

 韓国では東洋医学が国民の医療としてキチンと認められています。それを聞いて、どうしても自分の目で確かめたくなってしまい、国立の韓医学(東洋医学を韓国ではこう呼びます)研究所と大学病院の2か所を見学すべく、メールで交渉をはじめました。

 日本の鍼灸専門学校教員が直接cyangumuメールを送って見学させてくれと言ってきたわけですから、特に国立研究所の方では「あなたは何がしたいのか」となかなか取り合ってもくれません。

 お互いの共通言語は英語ですので、慣れない英語のメールを何度もやりとりし、熱意が伝わったのか、やっと見学が実現することになりました。

 ところがいざ韓国に行ってみると、思っていたのと逆にとても温かく迎えていただき、国立研究所でも大学でも大変丁寧な説明を受け、挙句の果てに食事をご馳走になって、しっかりと意見交換もさせていただきました。

 韓国では東洋医学の医師という資格(これを韓医といいます)があり、彼らの地位は西洋医学の医師と同等です。

 漢方薬は、日本では東洋医学をあまり勉強していない西洋医でも処方することができる一方で、東洋医学をしっかり勉強している鍼灸師には処方することができません。

 ですが、韓国では漢方薬は韓医しか処方できないのです。

 また韓医の収入は西洋医学の医師と変わらないといいます。一時期、韓国での結婚したい職業ナンバーワンは韓医だったことがあるそうです。

 訪問先の大学の教授に「韓国ではどうやっていまの韓医の地位を築いたのですか?」と質問すると、「私たちは大学に立てこもりまでして、現在の韓医学(東洋医学)を正当な医学として国に認めさせたのです。日本も頑張ってください」と言います。

 そんな事情もあって、日本で東洋医学が正当な医学として認められるために自分のできることは何か、といつも考えるようになりました。

 そのための行動のひとつがこのブログなのです。

 

 

2.日本の鍼灸師の実力の底上げ


 ブログを書きはじめてからいただいたご意見の中には、「東洋医学に対する理解が深まった」とか、「鍼灸の治療効果を正しく認識できるようになった」といったものが多数ありました。

 ところが、鍼灸師や鍼灸専門学校の学生さんなどからも「勉強になる」「わかりやすい」などといった声をいただいたことが、私にとっては想定外のことでした。刺さない鍼_決定

 なぜなら、このブログは一般の方向けにわかりやすく、系統的に書いているつもりのものだったからです。

 当然、鍼灸師なら知っている内容のはずでした。

 そこで理由を考えてみました。すると、鍼灸と一言でいっても、いろいろな考え方があるということに気づきました。

 鍼灸はもともと東洋医学の治療方法のひとつですが、現在は西洋医学的に考えて鍼を刺したり、美容に使ったり、スポーツに特化したりと、鍼を刺す場所を決める考え方は様々です。国家試験の内容も、半分以上は西洋医学的な知識です。

 ですから、東洋医学をしっかり理解したうえで、その考え方にもとづいて治療している鍼灸師がかならずしも多いとは言えないのです。

 日本の鍼灸界の現状は、日中韓という東洋医学を実践してきた代表的な3つの国の中では、まだまだの状態にあります。国立の伝統医学研究所すらありません。

 鍼灸の受診率の低さ、保険診療での扱い、鍼灸師の全体的な実力、職業としての地位、どれをとってもけっして高いとは言えません。

 実際、鍼灸師の方々からいただいたブログに関するご意見のなかには、「東洋医学を一から学びなおしたい」というものが少なからずありました。

 このことに関して、ずっと鍼灸教育に携わってきた者として責任を感じ、皆さんの要望にお応えするために新たに「やりなおし鍼灸治療学」というセミナーをはじめることにしたわけです。

 このブログとセミナーを通して、東洋医学が正しく評価され、日本の鍼灸のレベルが上がっていくことを切に願っています。

 

 

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第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

第4回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その1

第5回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その2

第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!

第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

第8回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その2

第9回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その3

第10回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その1

第11回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その2

第12回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その3

第13回「東洋医学エピソードシリーズ1「鍼灸がこんなことに効くって知ってました?」

第14回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その4

第15回「東洋医学エピソードシリーズ2「肺癌末期の女性患者について」

第16回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その5

第17回「東洋医学エピソードシリーズ3「サンフランのエイズ患者」

第18回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その6

第19回「東洋医学エピソードシリーズ4「家内の胃の痛み」

第20回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その7

第21回「東洋医学エピソードシリーズ5「拒食症」

第22回「東洋医学のツボをはずさないために その1 経絡

第23回「東洋医学エピソードシリーズ6「ねん挫」

第24回「東洋医学のツボをはずさないために その2 ツボ

第25回「東洋医学エピソードシリーズ7「梅の種」

第26回「東洋医学のツボをはずさないために その3 経脈各論1

第27回「東洋医学エピソードシリーズ8「裏内庭」

第28回「東洋医学のツボをはずさないために その4 経脈各論2

第29回「東洋医学エピソードシリーズ9「小指で三陰交」

第30回「東洋医学のツボをはずさないために その5 経脈各論3

第31回「東洋医学エピソードシリーズ10「自然気胸」

第32回「東洋医学のツボをはずさないために その6 経脈各論4

第33回「東洋医学エピソードシリーズ11「ばね指」

 

次回は「東洋医学のツボ その7経脈各論5」

7/25ころに公開予定。

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