ほんとうの健康を自分自身の手でつかむための養生の基本 「呼吸」その5

東洋医学の古典にも、呼吸のことはいろいろと書かれています。
今回はそのうちのいくつかを紹介します。
 
いちおう原文(カッコ内に書き下し文)と簡単な解釈も載せておきます。
やっぱり深呼吸はしない方がいいのかも? というお話です。
  

1)健康なひとの呼吸と脈の関係は?

『黄帝内経』のなかの『素問』の第十八篇「平人気象論」に書かれている内容です。
 
『素問』平人気象論篇(18)
 黄帝問曰、平人何如。
 (黄帝問いて曰く、平人はいかん。)
 岐伯対曰、人一呼脈再動、一吸脈亦再動。
 (岐伯対えて曰く、人一呼に脈再動し、一吸に脈亦た再動す。)
 呼吸定息、脈五動、閏以太息。命曰平人。
 (呼吸定息もて、脈五動し、閏するに太息を以てす。命けて平人と曰う。)
 平人者、不病也。常以不病調病人。医不病。
 (平人なる者は、病まざるなり。常に病まざるを以て病める人を調う。医は病まず。)
 故為病人平息、以調之為法。
 (故に病める人のために息を平かにして、以てこれを調うを法となす。)
 
意味としては、黄帝が「健康な人の脈はどのようか」と問うたのに対して、岐伯が答えます。
「正常な人の脈拍は、一呼する間に拍動二回、一吸する間にまた拍動二回で、呼と吸の間も入れると五回です。
平人とは病まない人で、医師は健康な人だから、自分の呼吸を調えてそれをもとに病人の脈を診るのです。」
 
ここでいう”平人”とは健康なひとのことです。
『黄帝内経』のなかには、病気や病人のことだけではなく、それらを診る大前提として健康なひとのことも書かれています。
 
 
ちょっと自分の呼吸を数えながら、脈をみてみてください。
呼吸というのは意識的に変えられますから、安静時の呼吸数を数えるのはちょっと難しいですけど…。
 
一般に、成人の安静時の呼吸数は12~20回/分といわれています。
するとこの『素問』の記述によると、脈拍は60~100回となって、これはまさに現代医学的な平均と一致します。
ちなみに、100を超える状態を頻脈、60を下回る状態を徐脈と呼んで、これは異常な状態と判断されています。
  

2)健康なひとの呼吸

次に、健康なひとの呼吸はどんなふうなのかについて書かれている部分です。
 
『霊枢』天年篇(54)
 黄帝曰、人之寿夭各不同。或夭、寿、或卒死、或病久。願聞其道。
 (黄帝曰く、人の寿夭各おの同じからず。或いは夭、寿、或いは卒かに死し、或いは病むこと久し。願わくは其の道を聞かん。)
 岐伯曰、五蔵堅固、血脈和調、肌肉解利、皮膚致密、営衛之行、不失其常、呼吸微徐、気以度行、六府化穀、津液布揚、各如其常。故能長久。
 (岐伯曰く、五蔵堅固にして、血脈和調し、肌肉解利し、皮膚致密に緻密して、営衛の行、其の常を失わず、呼吸微徐にして、気 度を以て行り、六府穀を化し、津液布揚し、各おの其の常の如し。故に能く長久す。)
 
意味は、黄帝が「人の寿命には長短の違いがある。若死にする者もいれば、長生きする者、突然死んでしまう者、長い間病気を患う者がある。この道理を聞きたい」と問うたのに対し、
岐伯が「もし五臓が丈夫で、血脈が調和し、肌肉に滞りがなく、皮膚が緻密で、営衛の運行がスムーズで、呼吸が穏やかゆっくり、全身の気が規律正しく運行し、六腑が正常に飲食物を消化し、津液が全身に散布されていて、人体の各おのの機能が正常であれば、命を長らえることができるのです」と答えます。
 
 
ここに書かれている「呼吸微徐」とは、微つまり微かで、徐つまりゆっくりとした呼吸ということです。
これは前回書いた、『最高の呼吸法』でいっている本人も気づかないくらいの微かな呼吸と同じですね。
もちろんここには鼻呼吸か口呼吸かは明記されていません。
 
しかし、以前も書いたように鼻は天の気(空気のことです)、つまりを気のもとを取り込むところだというのは、東洋医学では常識です。
そういう意味では「深呼吸は体に悪い」と、「鼻で呼吸するのがいい」は、じつは二千年以上前から言われていたことになります。
 
今回は漢文も多かったので、この辺りで。
 
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