東洋医学では病気の原因をどう考えるのか?(12)

「東洋医学では病気の原因をどう考えるのか」の12回目になります。
前回は”七情の失調”、つまり感情のバランスの崩れが病につながるということについて説明しました。
病気にならないためには、心を平静に保つことが大切なんでしたね。
 
今回からは3)病理産物とその他の要因、にはいります。
病理産物というのはカラダのなかに生じる病気の原因のことです。
これらが生じるのに、体内の要因と体外からの要因があります。
 
まず今回は水の停滞によって生じる痰湿という病理産物についてです。
 
    目次
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3)病理産物とその他の要因
  A.体内の要因
   (1)痰湿 (今回)
   (2)瘀血
  B.体外からの要因
   (1)外傷
 
 

3)病理産物とその他の要因

A. 体内の要因

(1)痰湿

・まず、水とはなんでしょう?

痰湿というのは、ひとことでいうと水の停滞です。
そこで、以前「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その3」で学んだ、水について思い出してみましょう。
 
水はカラダを潤すものです。
また血のもとにもなっていました。
つまり、カラダを構成するだいじな要素である水分のことでしたね。
 
もう少しいうと、水というのはカラダを冷やす役割もしているんです。
カラダの熱と冷えのバランスを保っている物質でもあるということです。
ですから水が少なくなると、冷やす力が落ちて、逆にカラダが火照るようになったりもします。
 
水の代謝にはどんな臓が関係していたかというと、次の図の通りです。
いちど学んだ内容なので、詳しい説明は省きますが、脾、肺、腎の3つの臓が重要な働きをしています。
 
 
 
 

・水の不調は2種類

 水に関してなにより大切なことは、不足しないこと循っていることです。
つまり水が原因でおこる不調には2種類あるわけです。
ひとつは不足、ひとつは流れが悪い状態です。
前者を津液虚または陰虚、後者を痰湿などとよびます。
 
「それならたくさん水を摂ればいいんだ」と単純に考えてしまいがちですが、それは間違いです。
水が体内に必要以上にあって、代謝を担っている臓の状態があまりよくなかったりすると、流れが悪い状態、つまり痰湿が生じることになります。
 
健康なひとであれば、たくさん水を飲んでも不必要な水分は汗や尿で排泄されます。
ですが、健康に問題がある人が健康になろうと必要以上に水分を摂ると、それは痰湿となってカラダに悪さをする(場合によっては病気になる)わけです。
 
 

・痰湿とは?

 それでは今日の本題の痰湿についてみてみましょう。
 
水の流れが悪くなってカラダのなかに停滞したものを総称して痰湿といいます。
停滞の具合、濃度などによって痰湿は細かく名前がついていますので、
ここでちょっと紹介しておきましょう。
 
水がちょっとだけ停滞したものは「湿」。
さらに濃くなると「」。
もっと濃縮されたものが「」。
さらに固形物になると「」です。
 
いずれにしても水は流れていないとカラダに悪いということですね。
 
 

・痰湿ができる原因は?

 なぜ水の流れが悪くなるのか、いくつかあるその原因をみていきましょう。
まず水の代謝にかかわる臓の不調です。
上の図を参考にしてください。
 
水を飲食物から抽出しているのは脾でした。
ですから脾が不調になると、水をつくることができません。
 
つぎに水を全身に散布しているのは肺でした。
ですから肺が不調になると全身に水がいきわたりません。
 
最後に全身の水の状態をコントロールしているのが腎でした。
ですから腎が不調になると水の代謝全体がおかしくなってしまいます。
 
それ以外の原因としては、水の飲み過ぎ湿気の影響があります。
水が必要以上に体内に入ってくれば、それを捌くことができなくなって、停滞します。
また湿気が多い環境にいると、外の湿気がカラダのなかに影響して水の停滞が起こり、痰湿が生じるというわけです。
 
 

・痰湿による症状

 ここまでずっと病気の原因(病因)についてみてきているように、この痰湿も病気の原因になるわけです。
そこでさいごに、痰湿が原因で生じる症状をあげておきましょう。
ですが、この症状があるから必ず病気の原因が痰湿だというわけではないので、注意してください。
 
水がカラダに多いわけですから、重だるさを感じるようになります。
また、当然のことですがカラダが浮腫(むく)みます。
下痢もまた痰湿によっておこる代表的な症状のひとつです。
それ以外には、動悸眩暈などもおこったりします。
 
カラダにとって大切な水ですが、必要以上にたくさん摂りすぎたり、循らない状態をつくらないようにしましょう。
 
 

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