知っておくと役に立つ東洋医学的な”病気の見かた” その3 「“未病”とはなにか?(2)」

 

前回、「“未病”とはなにか?」について、未病の意味、予防との異同などについて書いた。

今回はその続きとしてこの未病について古典に書かれていること、自然治癒ということについてもう少し考えていくことにしよう。

 

     目次
2.未病とはなにか?
 2-1.未病ってどういうこと?
 2-2.予防とは違うの?
    以上は前回
 2-3.古典に書かれていること
 2-4.半分は自然に治っている!
 2-5.自然治癒力を高める!

 

2.”未病”とはなにか?


 

2-3.古典に書かれていること

 

東洋医学の古典には未病のことがどのように書かれているのか、ちょっと長いが見てほしい。

ここに書かれていることが、東洋医学の言う正しい“治未病”という考え方だ。imag1814

 

経に言う、上工は未病を治し、中工は已病を治すとは何の謂いぞや?
然り、いわゆる未病を治す者は、肝の病が見わるるに、則ち肝は当にこれを脾に伝うることを知る。故に先ずその脾気を実せしめ、得て肝の邪を受けしむることなからしむるなり。故に未病を治すと曰う。
中工は已病を治すとは、肝の病が見わるるに、相い伝うることを暁かにせず、但だ一心に肝を治す。故に已病を治すというなり。

(『難経』七十七難)

 

簡単に訳すと、上等の医者は未病のうちに治し、中程度の医者は已病、つまり病気になってから治すというが、それはどういうことだろうか?

いわゆる未病を治すとは、肝の病を診て、それが放っておくと脾に伝わることを知っていて、脾が病を受けないように(先回りして治療)することだ。

中程度の医者が已病を治すというのは、肝の病を診てもそれがどこか他の臓に波及することなど分からずに、ただ一心に肝を治療することだ。

 

これが東洋医学で言うところの“治未病”である。

 

 

2-4.半分は自然に治っている!

 

ところで、

「上工十全九、中工十全八、下工十全六」(『難経』十三難)

という言葉が古典のなかにある。

すぐれた医者は十人中九人を治し、中程度の医者は八人、ダメな医者は六人治すという意味だ。

6割でダメ医者というのも驚きだが、9割も治すという上医は凄すぎる。

だが、後でいろいろな文献に当たっているとこんな注釈を見つけた。percent-1176978_1280

 

「五則半矣、或不治自愈」

(五は半分で、あるいはこれは治療しなくても自然と治る)

 

つまり半分は放っておいても治るというのだ。

これを見たときはちょっと嬉しかった。

ということであれば、上医は十人中四人を治している計算になるので、それはそれなりに納得できるからだ(笑)

 

 

2-5.自然治癒力を高める!

 

もともと“自然治癒力”という概念はヒポクラテスから来ているらしいと松田博公氏が指摘している。

ヒポクラテスは「自然こそが最良の医師である」と言った。

これはまさに自然治癒力のこと。人間に本来備わっている自然治癒力がもっともすぐれた治療手段であるという意味だ。

よく「東洋医学は自然治癒力を高める」と言われるが、じつは東洋医学の専売特許ではなかったらしい。

 

自然治癒力を支えるものはなにかと考えると、“免疫力”という言葉が思い浮かぶ。

これが高ければ病気になりにくいし、なったとしても重症化しなかったり、早く治ったりするということだ。

調べてみると、こんなことが日本予防医学会のホームページに書いてある。medical-1617364_640

 

「免疫力とは、細菌やウイルスの侵入を防ぐと同時に、がん細胞を退治してくれることも担っているのですが、この役目は白血球が請け負います。

白血球にはリンパ球と顆粒球があり、そのバランスは、健康な人であれば、「リンパ球が35%」「顆粒球が60%」が理想とされております。

極端な話をしますと、病気のほとんどは、交感神経の緊張が顆粒球の増加を引き起こすことから発すると言う科学者もいるくらいです。

ストレスが恒常的に続くことにより、リンパ球が減少し、それが原因で免疫力が落ちて病気を引き起こすという説があるのです」

 

「病気のほとんどが交感神経の緊張による」とはよく言われることだが、交感神経というのは簡単にいうと自律神経のうちからだが戦闘状態にあるときに働く神経で、もう一方が副交感神経とよばれ、こちらはリラックスしているときに働く神経のこと。

医者はよく「ストレスが原因ですね」などと簡単に言うが、ストレスはそう簡単に減らせるものではないと思うのだが、いかがだろうか。

 

もちろん東洋にも自然治癒力に関する同様の言葉が存在する。

「病ありて治せず、常に中医を得る」(『漢書』芸文志)

病気になって治療しないのは、中程度の医者にかかるのと同じことだ、という意味だ。

下手な医者にかかるのより治療を受けない方がまだマシだとも取れる。

自分の鍼灸の腕を考えると、ちょっと笑えない。

 

続きは次回。

 

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次回は12/5ころ公開予定

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