知っておくと役に立つ東洋医学的な”病気の見かた” その4 「東洋医学では病気の原因をどう考えるのか?(1)」

 

今回からは、東洋医学では病気の原因をどのようにとらえているのかについて、数回かかけて書いていくことにする。

西洋医学的な病気の原因の考え方とは少し違って戸惑うこともあるかもしれないが、偏見を持たずにみてほしい。

 

       目次
1.病気の3つの原因
 1-1.三因について
 1-2.古典に書かれた病気の原因分類
 1-3.現在の中国での考え方

 

 

1.病気の3つの原因


 

東洋医学的にみた大まかな病気の原因の分類方法から見ていこう。

病気の原因は大きく分けると3つ。

外因内因不内外因の三因に分けるというのが基本的な考え方だ。

このことについて少し詳しく説明しよう。

 

 

1-1.三因について

 

この三因については宋代の『三因極一病証方論』(通称『三因方』、陳言)という書物にはじめて詳しく書かれ、東洋医学のもっとも基本となる病因分類法だ。

それぞれを簡単に説明すると、

 

外因とは、病気を引き起こすカラダの外から影響のこと。これは気候変化などがメインになる。とても暑かったり、湿気が多かったりすると具合が悪くなるというわけだ。

内因とは、さまざまな感情変化や精神的な刺激のこと。東洋医学ではココロとカラダはひとつと考える(心身一元論)ので、ココロの状態がカラダに影響すると考える。

不内外因とは、飲食、労逸(ろういつ)、房事(ぼうじ)、外傷などの外因、内因以外の病気の原因のことだ。飲食は食事によるからだへの影響、労逸は労倦(ろうけん、過労のこと)と安逸(あんいつ、運動不足などのこと)、房事は性生活の不節制、それと外傷である。

 

この分類方法が長い間使われてきたわけだが、最近の中国は少し分類方法をいじったようだ。

そのことはさておき、まずは古典にある病因分類から見てみよう。

 

 

1-2.古典に書かれた病気の原因分類

 

上述したように『三因方』で陳言は病気の原因を3つに分けた。

それが外因、内因、不内外因である。

それは簡単に訳すと次のような記述である。

カラダの外には気血がめぐり、経絡が流れ、六淫がこれを傷つける。

内には精神魂魄志意志があり、七情がこれを傷つける

つまり気血の流れを妨げるのが六淫で、精神活動に障害を与えるのが七情ということになる。

さらに、

六淫とは寒暑燥濕風熱であり、七情とは喜怒憂思悲恐驚である。

と書かれ、また

飲食、疲労、性生活の不摂生、獣によるケガや虫刺され、刀傷などは不内外因とする。

とも書かれている。

整理すると次のようになる。

 

  外因:寒・暑・燥・湿・風・熱といった季節特性の高じたもの

     内因: 喜・怒・憂・思・悲・恐・驚といった感情が高じたもの

  不内外因:飲食の不節、労逸(労倦と安逸)、房事過多、外傷など

 

 

1-3.現在の中国での考え方

東洋医学の世界ではずっと上述の三因による病因分類が使われてきたが、最近の中国(現代中国での標準的な東洋医学理論を日本では「中医学」と呼ぶ)では少し変わったようだ。

そのあたりについて説明する。

簡単に言うと、内因が感情変化や精神的な刺激であるというところをいじったのだ。

どのように変えたかと言うと、内因にこの七情(喜怒憂思悲恐驚)以外に飲食不節、労逸、房事過多を含めることにした。

さらに、不内外因には外傷以外に体内にできる病理産物(生理物質である水や血の流れが悪くなることでできるもの)を含めたわけだ。

するとこのようになる。

 

  外因:六淫つまり季節特徴が病を引き起こすもとになる

  内因:飲食の不摂生、過労や怠惰、性生活の不摂生、七情(感情の異常な昂ぶりや長期間の継続など)

  不内外因:水の停滞、血の流れの悪さ、外傷(ケガ、火傷、虫刺されなど)

 

病気の原因に関する結論としては、病気にならないようにするには次のことに注意するべきだということになる。

 ❶季節に叶う暮らし方をする

 ❷食べ過ぎないこと

 ❸過労や怠惰な生活を避けること

 ❹性生活が乱れないようにすること

 ❺感情の昂ぶりをなるべく抑えること

 

まだまだ続くので今日はこのあたりまで。

続きは次回(来週はお休みします)。

 

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