東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その3

 

前々回の“”、前回の“”につづき、今回は“水”について説明する。水は難しくないと思われるかもしれないが、じつは少々複雑だ。また専門的には水のことを“津液”(しんえき)という。水をたくさん飲む健康法などがあるが、東洋医学的にはNG。そこのあたりもしっかりとチェックしてほしい。

       目次

1.水ってなに?

  1-1.水について

  1-2.水のはたらき

  1-3.からだのなかの水の動き

2.水の不調をセルフチェック

   2-1.水の不足=陰虚

   2-2.水の停滞=痰湿 

 

1.水ってなに?


 まずは“水”とはなにかについて簡単に説明しよう。

 

1-1.水について

・水ってなに?

水=津液とは、からだのなかの血以外の水分を指している。ただし津液という場合、“津”と“液”にわけられる。津はサラサラした水分で全身をめぐって潤している。液はネバネバした水分で関節・臓腑などを潤している。

 

・水はなにでできる?水3

 水はもちろん飲食物から取りだされる。これ以上の説明は必要ないだろう。

 

・水のバランス

 健康を左右するこの水のバランスという意味では、すでに学んだ気や血と同じように2つの要素がある。

 1つめは水の量、つまり過不足がないこと。特に問題になるのは気や血の場合とおなじように不足である。水が不足するとからだのいろいろな部位の潤いが失われ、カサカサしたり、動きが悪くなったりする。

 2つめ流れ、つまり停滞しないで流れているということ。水も気や血とおなじようにスムーズに流れていることが大切だ。水の流れが悪くなると、これまたいろいろな問題が起こる。例えばからだが重だるくなったり、浮腫んだりする。

 

 

1-2.水のはたらき

 からだのなかで水がどのようなはたらきをしているかを見てみよう。

 

・水は潤し、栄養をはこぶ

 水は全身を潤している。さらに栄養もはこんでいる。と皮膚や髪にツヤがあるのは水のおかげだし、関節がスムーズに動くのも水のはたらきだ。

 

・水は血のもと

 水は血をつくるもとにもなっているので、水の量は血の量にも影響する。水が不足すれば血の不足、つまり血虚をひきおこしたりもするわけ。

 

 

1-3.からだのなかの水の動き

水の動き

からだのなかの水の動き

・水はどんなふうにからだをめぐっているのか?

 東洋医学で水は体内をどのようにめぐっていると考えるかを説明しよう。そこには、まだ説明していないいろいろな臓腑が関係している。ちょっと複雑なので右の図を見ながら理解してほしい。

 水は脾という臓によって飲食物から取りだされる。水はそのあとからだをいろいろとめぐるのだが、その通路とされているのは“三焦”という腑である。あの“五臓六腑”の六腑のひとつだ。水を取りだしたあとの飲食物は大腸をへて便として排泄される。

 脾が取りだした水は三焦を通って“肺”に運ばれ、肺から全身にまかれる。これによってからだのいろいろな部分が潤うわけ。全身をめぐった水は腎に運ばれ、不要なものは膀胱をへて尿として排泄され、一部は再利用するためふたたび肺へ運ばれる。こんな具合だ。ちょっと難しいかもしれないが、脾と肺と腎が水のめぐりにおおきく関わっているのだ(臓腑についての詳細は次回以降)。

 

 

2.水の不調をセルフチェック!


 それでは “水に関する不調”について解説しよう。これには大きくわけると2つある。水が不足した“陰虚”(いんきょ)、水の流れが悪い“痰湿”(たんしつ)である。

 

2-1.水の不足=陰虚

・陰虚とは?中国茶

 水が不足した状態を“陰虚”という。ここでいう“陰”とはからだの水分すべてを指している。これを“陰液”ともいう。そのほとんどは水だが、それ以外に血とか精とかもいちおうは含んでいる。水分系統はそう簡単には区別しにくいので“陰液”というのだ。液体成分を陰液というのに対して、気体成分つまり“気”のことを“陽気”ともよんで対比したりする。

 陰虚になる原因としては、飲食物の摂取不足、発汗や下痢による流出、からだの熱などがある。

 

・陰虚の症状

 水というのは、じつはからだを潤すだけでなく“冷やす”という役割もしている。水は冷たいものだからこれは理解しやすいだろう。だから水が不足すると、からだを冷やす力が相対的に弱まるので、熱と冷えのバランスが崩れてからだが少し熱っぽくなるのだ。陰虚になると“ほてる”のはそういうわけ。ちょっと難しいだろうか?

 症状としては、熱によるからだのいろいろな部位の乾燥があらわれる。熱は夜(陰の時間帯)になると強くなる傾向がある。熱があるので冷たい飲み物を取りたくなるが、常温のものを取るように心掛けよう。

・口やのどの渇き ・皮膚や髪の乾燥 ・尿量の減少
・ほてり・のぼせ ・寝汗 ・やせ
・舌が赤く、苔がすくない    

 

 

2-2.水の停滞=痰湿

・水の停滞とは?

 気も血も流れが悪くなるとからだに悪さをしたが、水も同じである。水の停滞の場合、水が違う物質に変わると考えるのだ。簡単にいうと水が腐ったということ。流れている水はキレイだが、溜めておくと腐る。その腐った水を“痰湿”とよぶのだ。湿はわりとサラサラしたもの、痰はかなりドロッとしたもの。「痰がからむ」というときの痰と基本的にいっしょだが、口の中以外にもこの痰ができると考えるのだ。

 

・痰湿のチェックのしかた水4

 前回、血が停滞している“血瘀”のときの簡単なチェック方法として“舌の裏の静脈”をみる方法を紹介した。今回はからだのなかの水分をみる方法をお教えしよう。

 舌をだしてよく観察すると、表面に苔が生えているのがわかる。苔は自然界では湿気がおおいところに生える。それと同じように、舌の苔も湿気がおおいと厚くなる。苔の厚さをみると、からだの中の水分の状態がわかるのだ。

 ちなみに苔が厚い(つまり水分が過剰だということ)と判定する方法は、苔を通して舌の本体が見えるかどうかだ。見えなければ“厚い”、見えれば“薄い”ということになる。是非ともご自分の舌を観察してみてほしい。

 

・痰湿の症状

 痰湿の症状としては以下のようなものがある。可能性のある方は、必要以上に水分を取り過ぎるのも考えものなので注意が必要だ。つまり余分な水をうまくめぐらせることができていないのだから、そこにさらに水をたくさん取れば腐ってしまうからだ。

・からだが重だるい ・むくみ   ・下痢
・咳や痰 ・喘息 ・めまい  
・雨の日に体調がわるい    

 

 

 

第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1

第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3

第4回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その1

第5回「東洋医学のベースにある2つの考え方 その2

第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!

第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1

第8回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その2

 

次回からは五臓について説明していく。その1回目は「肝」。
1/18ころに公開予定。

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