2015/12/2(2020/12/5更新)
東洋医学を正しく理解するために
必ず押さえておくべきポイント その1
“東洋医学”というとあなたはなにを思い浮かべるでしょうか?
医師の出す漢方薬、鍼灸師による鍼灸治療、あるいは按摩やマッサージでしょうか。
西洋医学(いわゆる現代医学)と違ってからだにやさしい自然な治療、副作用の少ない治療,
などと漠然ととらえているかもしれません。
しかし、東洋医学はどのように人体をとらえ、どのように診断していかに治療するかを正しく知ることは、単に患者としてこの医療を受けるためにだけではなく、とても大切です。
この記事では、
- 東洋医学と西洋医学のものの見かたの違い
- 東洋医学と西洋医学の得意な分野(病気)の違い
- 結果的に、どのように二つの医学を利用するべきか
ということについてまとめてあります。

この記事を書いているのは島田 力です。
【東洋医学×分子栄養学】ということを提唱して、セミナーやカウンセリングをしたり、ブログを書いたりしています。
資格としては、鍼灸師・鍼灸教員免許・臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラーです。
私の詳しいプロフィールなどはこちらからどうぞ。
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Contents
1.はじめに結論から
2.西洋医学のものの見かた
3.東洋医学のものの見かた
4.西洋医学の得意分野
5.東洋医学の得意分野
6.まとめ
1.はじめに結論から
まず最初に、結論から書きます。
・両者の間には、真逆といっていいほどの視点の違いがあります。
・そのことによって、むしろそれぞれの存在意義があるとも言えます
・だから補完し合う意味があります
両者のあいだには、真逆といってもいいほどの視点の違いがあります。
むしろそのことによって、それぞれの現代における存在意義があるともいえるのです。
違うからこそ補完し合う意味があるわけです。
ところで、東洋医学はつい150年ほど前の江戸時代までは、日本の医学の主流だったのです。
明治維新によって、日本の医学は180度の転換を果たしたわけですが、それからわずかに150年あまりしかたっていないという事実を知っておくべきでしょう。
しかも東洋医学は、それ以前に2000年以上の歴史があることもまた、この医学をずっと享受してきた日本人として知っておくべきことでしょう。
2.西洋医学のものの見かた
皆さんは、東洋医学と西洋医学は根本的に違うということはなんとなく知っているかもしれません。
ですが、ここではそれぞれの「ものの見かた」の違いについて説明しようと思います。
まずは西洋医学のものの見かたをみていきましょう。
・西洋医学ではカラダをパーツの集合体とみる
西洋医学のからだの見かたの基本は、体をさまざまなパーツの集合体として見ることです。
機械の部品のようなとらえ方です。
これはデカルトの「人間機械論」に端を発します。
物事を細分化していくことで、真実を追求しようとする姿勢ですね。
より詳細な真実へ向かっていった、科学の手法です。
その結果さまざまなことが分かった反面、この考え方の問題点は、細分化したものを総合すれば本体となると誤解していることにあるともいえます。
カラダはパーツの集合体である。
・異常なパーツは取り換えたり、切り取る
この考え方にもとづくと、異常なパーツであるガンに侵された臓器や役に立たなくなった器官は、取り換えたり切り取ったりすればよいという考え方にいたります。
それが手術の基本的な考えかたでもあるわけです。
結果的に、命を落とさなくてもすむ場合もありますが、一方で体がバランスを失い死が近づくこともあります。
・心身二元論(心と体は別物である)
西洋医学では心と体は別物であると考えます。
これを心身二元論といいます。
別物だから、心だけが病むことも体だけが病むということも当然であると考えるんです。
心と体が影響しあうということは基本的にありえないということになります。
はたしてそうだでしょうか?
ではいったい、心とはどこにあるのでしょうか?
現代医学では、それは脳のなかにあるということになっています。
ですけど、「私を指さしてください」と言われて頭を指さす人を見たことがありません。
心が胸の中にあることは、無意識に認識していることのように思えてならないのです。
・正常値あるいは標準値という基準
西洋医学の考え方の根本には、「恒常性」というものがあります。
これを「ホメオスタシス」ともいいます。
変わらないものが真実であるという考え方でもあります。
そこから正常値あるいは標準値という考え方が生まれ、これを基準にものごとを評価しようとするようになっているわけです。
このことは、人間の体に対しても同じです。
この基準から外れている場合を病気と判定し、基準に収まっていれば健康であると判定するわけです。
これはある意味、とてもわかりやすいですし、納得しやすい考え方ですね。
しかし、人間の体というものはそれほど単純なものではないので、そこに無理が生じるんです。
正常値あるいは標準値という基準から外れている場合を病気と判定する。
・数値であらわしにくい症状や病気などは診断しにくい
正常値の範囲に入っているひとがなんらかの症状をもっている場合、西洋医学はちょっと困ってしまいます。
また「気分」のような、数値であらわしにくい症状や病気などについては、基準がつくれずに診断できないため、あまり得意ではありません。
もともと西洋医学の優位性は、感染症(細菌に感染した結果おこる病気)の治療やケガなどの治療手段にあります。
そういう意味では、内科や精神科などはもともとあまり得意ではないということです。
・獲物を見つけたら打ち殺すという狩猟民族的な考え方が基本
西洋医学はもともと狩猟民族の医学であり、考え方の基本は「獲物を打ち殺す」というところにあります。
ですから上述したとおり、細菌を見つけて叩くというのが、治療の基本になるわけです。
獲物が見える場合、つまり病原菌を特定できた感染症には、かなりの効果を発揮しますが、相手が見えないとお手上げなのです。
3.東洋医学の見かた
・心身一元論=心と体はひとつである、という考え方が基本
東洋医学では、心と体はひとつであると考えます。
だから心が病んだらその影響は体に出ますし、体が病んだ影響が心に現れることもあります。
しかも五臓それぞれに、特徴的な感情や精神との結びつきがあると考えるんです。
ですから、例えば心臓が病んだときと肝臓が病んだときでは、現れる心の病は別であると考えます。
普段の生活に照らしてみても、これはなかなか面白い考え方です。
これについては後日、詳しく説明する予定。
・人間が五感を使って人間を診る医学である
東洋医学の診察は、ひとが感覚を使っておこないます。
しかも五感を駆使するんです。
ひとという存在はそれほど単純ではありません。
その複雑なひとを診るのに、単純な数値では計り知れないものがあることを重視しているわけです。
これこそが東洋医学の優位性でないかと考えています。
ひとがひとを診る医学、その最たるものが感覚を重視するということなのです。
西洋医学の「恒常性」に対して、東洋医学は「流動性」を重視する。
ひとの体はたえず変化しているもので、その変化を五感で感じ取る医学であるといえます。
・農耕民族的な考え方で、からだ=畑を耕して、病気にならないようにする
東洋医学はもともと農耕民族の医学です。
農耕というのは日々畑をコツコツと耕して、収穫を待つものです。
同じように、東洋医学はひとの体を畑にみたてて、日々耕すことを重視するんです。
つまりこれが養生です。
四季の過ごし方や生活習慣、食事、はたまたセックスまでが養生の対象となるわけです。
まず、病気にならないことを重視する医学なんです。
それが「未病」という考え方につながります。
・病邪が入り込んで来たら追い出す
農耕民族的な考え方にもとづくと、病の原因が体に入り込んだときの対応も異なってきます。
病の原因としての病邪(邪気といってもいい)は、殺すのではなく追い出すわけです。
それがからだにやさしい治療ということにつながるのかもしれません。
ただしこれは知っておいてほしいことですが、東洋医学にも副作用はあります。
「効く」ということの裏返しには、正しく使わないと体に悪くはたらく、つまり副作用が存在するということなんです。
4.西洋医学の得意な分野
・感染症の場合、病気の原因である細菌・ウイルスを特定し、それを殺す
感染症、特に原因を特定することが可能になった場合、これに対して特効的な効果をもつ薬によって殺すことは、病気を素早く効果的に治す方法としてはもっとも有効なものとなります。
したがってこの分野における西洋医学の優位性は揺るぎません。
・手術で骨を修復したり、傷口を縫合したりする外科手術は得意
折れた骨を修復したり、傷口を縫合したりする技術においても、西洋医学は優位性を持っています。
さらにいえば、壊れて使えなくなった関節を人工関節に置き換えることで歩行が可能になることもあります。
外科分野においては、西洋医学の技術は優れています。
ただし、ガンを切除したりすることが、すべての場合に優位性を示すことになるわけではないことは、知っておくべきでしょう。
5.東洋医学の得意な分野
・数値で測りにくい漠然とした不調など
肩こりやめまい、倦怠感、さらにはやる気がでないといったような数値化しづらい漠然とした不調については、東洋医学の優位性を認めざるをえないと考えます。
ときに西洋医学では、これらの数値化できない症状を精神的な病としてとらえることさえあります。
ところが東洋医学では、上述したように心と体はひとつであると考えるので、そういう意味においても、これらの病を扱うことに適しているといえるでしょう。
・原因が特定しにくい不調
西洋医学は原因が特定できなければ治療法が存在しえませんが、現状では単なる対症療法があまりにも多いです。
それによって副作用を生み出しているといってもいいかもしれません。
痛みに対して、原因も特定せずに与えられる鎮痛剤などは、その最たるものでしょう。
一方で、東洋医学の治療の方向付けは根本的に異なっています。
それは簡単にいうとタイプ分けです。
カテゴリー毎にいろいろなタイプを想定して治療方法がすでにできあがっており、そのなかから治療法を選択するわけです。
だからいままでに見たこともない病気にすら、対応が可能となるのです。
これがある意味では、この医学の特徴ともいえます。
・検査値で異常が出ない症状=37℃は超えてないけど何となく熱っぽい
その例として、体温計で測っても37℃以下なのに熱っぽく感じる場合をみてみましょう。
西洋医学の基準では、これは平熱として扱われます。
ですが東洋医学には、これを病としてというより体のバランスの崩れた状態として把握する理論があります。
体の熱と冷えは、バランスが取れることで成り立っています。
体を冷やすのは「水」の役割です。
この水が不足すると、冷やす作用が衰えるために「ほてり」という弱い熱を感じるようになります。
これが、平熱なのに熱っぽいという症状に対する東洋医学のとらえ方です。
これも立派な病気です。
あなたがなんとなく怠くてやる気が起きないというとき、東洋医学ではそれをキチンと病気としてとらえてくれるんです。
6.まとめ
今回のまとめです。
「その2」に続きますので、是非ご覧ください。
今回の記事のまとめ
〈西洋医学の特徴と得意な病気〉
・西洋医学ではからだをパーツの集合体とみる
・異常なパーツは取り換えたり、切り取る
・心身二元論である
・正常値あるいは標準値という基準を持つ
・数値であらわしにくい症状や病気などは診断しにくいため、得意ではない
・感染症や外科手術が得意である
〈東洋医学の特徴と得意な病気〉
・心身一元論=心と体はひとつである、という考え方が基本
・人間が五感を使って人間を診る
・からだを耕して、病気にならないように養生する
・病邪が入り込んで来たら追い出す
・数値で測りにくい漠然とした不調や原因が特定しにくい症状がなど得意
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