鍼灸についてのお話、今回は身内ネタです(笑)
みなさんは東洋医学に対して慢性病に効くとか、速効性がないといったイメージを持っていませんか?
実はそんなことはありません。鍼灸がすぐに効くこともあります。今回のエピソードはそんなお話です。
1.夜中に突然・・・
ある晩、寝ていると突然夜中に家内に起こされました。眠気まなこで時計を見ると午前3時過ぎです。
「どうしたの?」と聞くと、
「胃がすごく痛いから救急車を呼ぼうかと思うんだけど」と呻きながら言います。
痛みのせいか体をエビのように丸めて苦しんでいます。
「胃が痛いの?そんなにひどく?」と私。
「うん、とんでもなく痛いんだけど…。でも、病院に行ってもやることはなんとなく想像つくから…」と家内。
がまん強いはずの家内がそこまでつらそうにしているので、さすがにちょっと心配になって
「鍼をしてあげようか?」と言うと、即答で
「お願い!」。
2.枕元には鍼
深夜の鍼治療の開始です。なぜか我が家のベッドの枕元には鍼が置いてあります(笑)それを取り出しながら眠い頭で考えました。
こんな場合に刺すべきツボの候補はいくつかあります。
まず思いつくのが急性の胃の痛みだから、胃経の郄穴(「げきけつ」と読んで、急性疾患に効果が高いといわれるツボの種類)の梁丘(「りょうきゅう」と読んで、胃の経絡の郄穴のツボの名称)です。
すごく眠かったので、家内には申し訳ないけどなるべくツボの数は少なくしたいなぁ、など思った記憶があります。
よし取りあえずツボの反応を診てみよう、ということで指先で膝のやや上の外側にある梁丘を探って反応を確かめてみました。
すると、右側の梁丘にハッキリと硬結(すこし硬くなっている)のようなものを感じます。さらにそこを軽く圧してみると「痛い」と言います。これだと思い、すぐに鍼を刺し、軽く響き(ズーンという感じ)を与えました。
すると「あーっ、もう楽になってきた!」と家内。
「ほんとに? もう?」
刺しているわたしの方があまりの効果の早さに驚いていました。
「うん、もう痛くないよ」と明らかに楽になった表情でうなずきます。
さらに、「さっきツボを押している時から痛みが楽になり始めたんだけど、鍼を刺したらすぐに痛みが消えちゃった! これなら眠れそう」と言います。
3.先に寝てしまった
事実、そのあとすぐに家内は寝息を立て始め、起こされた私はしばらく寝付けずにいて、翌日の仕事がつらかったことだけは記憶しています。
こんなひどい胃の痛みが鍼一本で治ってしまうんです。
鍼はたくさん刺せばよく効くというものでもないし、長く刺したままにしていれば効果が高いというものでもありません。はじめに書いたように、急性の痛みなどにも十分に効果がる場合もあります。
もちろん「何でも鍼灸」とか、「東洋医学だけが最高」などというつもりはありませんが、鍼灸にはこんな効果があるということを知っておいていただけたら嬉しい限りです。
鍼の速効性にビックリした体験でした。
第1回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その1」
第2回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2」
第3回「東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その3」
第6回「ほんとうの自分の干支を知っているひとは意外に少ない?!」
第7回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その1」
第8回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その2」
第9回「東洋医学を正しく理解するために絶対に知っておくべき気血水のはなし その3」
第10回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その1」
第11回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その2」
第12回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その3」
第13回「東洋医学エピソードシリーズ1「鍼灸がこんなことに効くって知ってました?」」
第14回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その4」
第15回「東洋医学エピソードシリーズ2「肺癌末期の女性患者について」」
第16回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その5」
第17回「東洋医学エピソードシリーズ3「サンフランのエイズ患者」」
第18回「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その6」
次回第19回は「東洋医学を理解するためのキモ、五臓六腑 その7」。
3/28ころに公開予定。