
東洋医学ではどうやってカラダを診察するのか?(2)
今回からやっと本題に入ります(笑)
東洋医学の診察法の概略と診察法とその視点の基本についてのお話です。
3)東洋医学の診察法の概略
東洋医学の診察法は、四診といわれています。
望診、聞診、問診、切診の4つです。
これは以前にも書きました。
望診は見て診察する方法、聞診は聞くだけでなく嗅ぐを含んでいます。
問診は患者に尋ねる方法ですし、切診は触れて診察する方法です。
特徴は、いずれも五感をつかった診察法だということですね。
この五感というのが、ある意味東洋医学のキモになっているんです。
もちろん、これらを総合して患者さんのカラダを診立てるわけですけど、
その診察法(あるいはその後にくる診断法をも併せますが)の本質は何かを考えてみると、
それは「表(オモテ)から中を推察する」ということになると考えられます。
4)表を以て裏を知る
東洋医学は、血液検査も尿検査も、はたまたCTもMRIもPETも使えません。
骨が折れているかどうかをレントゲンでチェックすることもできないわけです。

それでどうやって治療するんだろう?
というより、診察から診断の過程はどうなっているんだろう?
そう思われて当然です。
東洋医学の診察から診断に至る過程を一言でいうと、
この「以表知裏」(表を以って裏を知る)ということになるんです。
『素問』の陰陽応象大論篇第五に書かれています。
表は表面のことだし、裏は中身のことと考えていいでしょう。
つまり、外に表れているサインを細かく観察することで、その情報を総合して中の状態を推しはかるというわけです。
同様のことが『史記』扁鵲倉公列伝にも書かれています。
「病応見於大表」(病の応は大表を見る)
この大表というのも外に表れる反応と理解していいでしょう。
これが数千年の間、受け継がれてきたとても重要な診察の基本なんです。
5)世界は分けてもわからない
ところで、福岡伸一氏の『世界はわけてもわからない』という本を読んだことがあるでしょうか?
この先生は学者っぽくないオモシロい文章を書くので、一度は読んでみる価値があると思います。

この本をひと言で要約すると、「世界を部分として切り取って理解することは、本来的には不可能である」ということになります。
つまりあらゆる事象は、必ずいくつもの要素が関連しあうことで成立しているので、それを無理やり分断して因果関係を見出しても、それは人間の都合による一解釈でしかない、ということです。
もっとも、この本よりもっと有名な『動的平衡』という本を、まずは読むべきかもしれません。
福岡先生の提唱する「動的平衡」とは、生命を表す考え方のひとつで、ルドルフ・シェーンハイマーというひとが発見した「生命の動的状態(dynamic state)」という概念を定義し直したものです。
例えば、食べものの分子は体に入ると体の分子と絶え間なく入れ替わって、体はつくり替えられていきます。
つまり生命は絶え間なく更新される「流れ」にあるということです。
最新の説ではカラダには37兆の細胞があるとされていますが、これが毎日1兆個も作り替えられているという事実をご存知でしょうか?
でもワタシはワタシのまま、日々継続して変わらずに生きています。
まさにこれこそが動的平衡ということなんです。
動きながらバランスが取れている状態ですね。
この『動的平衡』の方は、リメイク版や続編までが出ている超ベストセラーです。
じつは個人的には、この動的平衡という考え方こそが、まさに東洋医学の健康観といってもいいと思っています。
話がかなりそれてしまいましたが、
「世界はわけてもわからない」という福岡氏の言葉の意味は、
物事を理解しようとしてどんどんわけていっても、その物事の本質は掴めないということです。
東洋医学における先人たちもまた、同じように考えたようです。
カラダのことを知りたくて、死体を解剖して、臓腑や血管、神経などに分けていったけれど、
それをさらに細かく分解していっても、生きた人間のカラダの本質とは異なるということを悟ったんですね。
だから、死体と生きている人間の違いを、気というものが流れているかいないかに求めたわけです。
つまり気が流れているのが生きているカラダ。
気が流れなくなってしまっているのが死んだカラダ。
生きているカラダは、全てが繋がっている。
つまり、カラダを全体としてみるという視点が大切だ。
ただ分けていけばわかるというわけじゃないんだ、と。
面白いですよね!
次回以降は、(こんどこそやっと)具体的にそれぞれの診察法について見ていく予定です。
ではまた。
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