東洋医学を正しく理解するために必ず押さえておくべきポイント その2

2015/12/6(2021/2/18更新)

東洋医学を正しく理解するために
必ず抑えておくべきポイント その2

現代の日本において“東洋医学”という言葉はあたりまえのように使われていますが、皆さんはその意味を正確に知っているでしょうか?

「漢方」と「鍼灸」と「東洋医学」の関係がどうなっているかご存じでしょうか?

2回目の今回は、そのあたりについてなるべくわかりやすく解説してみるつもりです。

これを読めば漢方や鍼灸を受診するときの参考にもなるはずです。

 
この記事では、
などについて、理解が深まります。
 
島田 力

この記事を書いているのは島田 力です。

【東洋医学×分子栄養学】ということを提唱して、セミナーやカウンセリングをしたり、ブログを書いたりしています。
資格としては、鍼灸師・鍼灸教員免許・臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラーです。

私の詳しいプロフィールなどはこちらからどうぞ

1.そもそも“東洋医学”ってどこの医学?

これについてはほ、とんどの方が中国と答えるでしょう。
これはある意味で正解ですが、ある意味では少し違っています。
その理由を詳しく説明しましょう。

・起源は“古代中国”

中国では清以降、「東洋」とは日本を指す言葉として使われています。
日本でいう東洋を意味する中国語は「東方」です。

一方、日本では「西洋」に対して「東洋」と言います。
西洋とは欧米諸国のことを指します。

したがって西洋医学は正確には「西洋近代医学」のことで、東洋医学は中国を起源とする「東アジアの伝統医学」のことを指すわけです。

※西洋医学と東洋医学の違いは下記の記事を読んでください

経絡図1

東洋医学を正しく理解するために 必ず押さえておくべきポイント その1

東洋医学と西洋医学のものの見かたの違いや得意な分野(病気)の違い、どのように二つの医学を利用するべきか

・アジア各地の伝統医学(広義の「東洋医学」)

また広い意味で東洋というと、インドやチベット、さらにイスラムまで含める場合もあります。
そうなると次の1)から4)くらいま
でが東洋医学といえることになるわけです。

1)ユナニ医学:イスラムの伝統医学で、ギリシャ、ローマの医学が基本になっています。

2)アーユルヴェーダ:インドの伝統医学です。知っている方も多いでしょう。

3)チベット医学:中国やインドの影響を受けたチベットの医学です。

4)中国伝統医学:古代中国に発生した医学理論・技術で、日本では一般的に「東洋医学」とよばれています。
約2000年前には体系立った医学として成立していました。

・東洋医学の中身

東洋医学に含まれる治療方法にはいろいろなものがあります。

“湯液(トウエキ)”(いわゆる漢方薬をつかった薬物療法のこと)、“鍼灸”、“手技療法”(あん摩のようなもの)、“気功”などです。

本来はこれらを患者の症状・状態に合わせて適宜使別けるんです。

現在、いろいろな国で行われている東洋医学は、最低でも湯液と鍼灸が組み合わさった資格になっているのですが、日本では歴史的な経緯もあり“鍼灸師”という特殊な資格制度ができあがったのです。

・医学の分類

あまりこだわる必要はありませんが、医学の分類は❶伝統医学と❷現代医学とするのが一般的であり、現在の日本の分類とは違います。

この分類においては、東洋医学は❶の伝統医学の中のひとつに位置付けられるますし、現代に行われている医学を「現代医学」というなら、東洋医学もまた現代医学ということもできます。

なんだかわかりにくくなってしまって、このブログの“わかりやすい”という方針に反しているので、元に戻しましょう。

結局なにが言いたいかというと、日本では中国伝統医学が独自の発展をし、中国で現在おこなわれている伝統医学(これを中医学という)とはかなり違うものになっているということなのです。

2.盛んなのは中国、韓国、日本

東洋医学は中国が起源なので、その周辺国へと伝わりました。
その代表が朝鮮半島と日本です。
 
当然のように現在でもこの3つの地域で盛に用いられています。
 
ツボの位置を統一する会議が2006年までの3年間、WHO主体で行われましたが、その中心となったのも中国、韓国、日本の3ヶ国でした。

・中国の東洋医学(中医学)

現在の中国では「中医学」という形で実践されています。

中華人民共和国成立後に伝統医学の復興がおこなわれ、伝統的な医術を体系的に再編・統合してできたのがこの中医学です。

全国で統一して教えることができる教科書をつくったわけですね。

現代医学を導入する余裕がなかったというのもその理由のひとつだろうと推測されます。

現在、世界各国で行われている東洋医学は “Traditional Chinese Medicine(TCM)” とよばれ、この中医学理論にもとづくものがメジャーであるのは当然のことです。

・韓国の東洋医学(韓医学)

韓国にも古くから伝わっていましたが、現在は「韓医学」という形で実践されています。

例えば漢方薬は韓医しか出せないし、専門の大学が多数あり、基本的には保険の適用となっているなど、西洋医学と同等の地位を獲得していて、日本などよりひろく利用されています。

一時期、韓国女性の結婚したい職業No1は “韓医” だったとか。
素晴らしいですね。

3.日本の東洋医学の特徴

本日の内容のキモはここです。

中国を起源とする中国伝統医学=東洋医学はかなり早い時期に日本に伝わり、日本の文化、風土の影響を受けてさまざまに変化して現代にいたっています。

だから本場の中国のそれとはかなり違うものになっています。
そのあたりについて少し説明を加えようと思います。

・5~6世紀頃には伝来

東洋医学は5~6世紀頃には日本に伝来している。かなり早い段階で伝わっている。そこからお互いに交流を重ねながら日本独特のものへと変化していった。

例えば、鍼をなるべく痛みなく刺すための道具に管をつかう方法(管鍼法)があります。

これは江戸時代の日本で発明されたものです。

漢方薬の処方のしかたでも、やはり江戸時代にお腹の状態に応じた処方のしかたがつくられました。

下図がその代表的な書物の『腹証奇覧』です。
これも日本独自の方法です。

逆にいうとお腹も脈も診ないで漢方薬を出すのはニセモノかもしれない?  と思ったりします。

・“蘭方”と“漢方”

江戸時代に「蘭方」(オランダ医学)が伝わり、それと区別するため東洋医学は「漢方」と呼ばれるようになりました。

また日本古来の医学は「和方」とよにます。
“漢”は中国の有名な王朝名だからですね。

そこからさらに東洋医学のなかの薬物療法を漢方とよぶようになったので、現在では漢方というと湯液治療を指します。

・資格制度

日本の現在の医療制度では医師はある意味で万能です。

医学的効果がそうかどうかはさておき、資格制度的にはそうなっています。

例えば、東洋医学の勉強をほとんどしていなくても漢方薬を処方できる。不思議な制度だ。ここでは東洋医学関連の日本の資格について説明しよう。

・漢方薬の専門家ってだれ?

医師は前述したように漢方薬を処方できます。
薬剤師も処方に関しては同じ。

ただし、漢方薬というのは本来は患者さんの体質、病の位置や性質、原因などを総合的に判断(これを証という)して、生薬(天然の薬効をもった素材)を組み合わせて処方するものです。

だから西洋医学的に同じ病名でもまったくちがう漢方薬を処方することは多々あるわけです。

これにはかなり高度な知識と臨床経験が必要であるのはいうまでもありません。

したがって、いくら資格があっても脈も診なければ腹も触らないような医師・薬剤師の出す漢方薬は信用できないと言わざるを得ません。

さらにいうと、漢方薬は湯液といわれるように基本的には煎じて飲むもの。

飲むたびに生薬を煎じる形がベストですがこれは高価です。
ですから、最低でもエキス剤(顆粒になっているもの)はお湯で溶かして飲むべきですね

・鍼灸もちょっと違う!

日本の風土、日本人の体質に合った医学に変化した結果、日本の鍼には次のような特徴があります。

❶細い鍼を使う管鍼法

細い鍼を使用して痛みをすくなくするという工夫がされました。
さらに鍼より少し短い管を使うことで無痛で皮膚を切る(切皮)方法を管鍼法といい、江戸時代に開発された日本独自の方法です。

❷繊細な切診

東洋医学の特徴的な診察法である四診を望・聞・問・切といいます。

望診はみて、聞診は聞いたり嗅いだりして、問診は尋ねて、切診は触れてする診察法のことです。

日本人はこれらの繊細な運用をし、特に切診が得意です。
脈を診たり腹を診たりして身体の微妙な変化を読み取るわけです。

・マッサージの資格って知ってました?

皆さんは気軽にいろいろなマッサージなどを受けているかもしれません。

たぶんそのほとんどは国家資格ではないと思います。

日本であん摩やマッサージなどの資格として国が認めているのは「あん摩マッサージ指圧師」(業界ではこれを「あマ指」と略す)のみです。

これは専門学校で3年間勉強し、国家試験に合格してはじめて得られるものです。

街でみかける整体、リフレなどは公的な資格ではありません。
もちろんしっかりと知識・技術を教えているところもないことはありませんが、あなたが明日から「私は整体師です」といって開業できるということでもあるわけです。

しかも理不尽なことに、国家資格には“広告の制限”というものがあり、例えば「・・・に効く」とか「料金がいくら」だとかは広告できないのです。

しかし資格のない方ではなんでもOK。
なんでも書けるわけ。

これはかなりおかしい制度です。

これを逆手に取ると、効果や料金を広告しているものは国家資格ではないということがわかるので、判断材料にするとよいでしょう。

4 .まとめ

今回の記事のまとめ
 
・中国伝統医学としての東洋医学には、湯液、鍼灸、手技療法、気功などが含まれる
・東洋医学が盛なのは、中国、韓国、日本
・日本の東洋医学には、資格制度や具体的な施術内容において独特の特徴がある

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