東洋医学のベースにある2つの考え方 その1”陰陽”

2015/12/13(2020/12/8更新)

東洋医学のベースにある2つの考え方 その1”陰陽”

東洋医学にはベースとなる哲学というべき考え方があります。
ひとつは「陰陽」で、もうひとつが「五行」です。

これらは、東洋医学でからだをどうとらえるかというときの基本になる考え方です。

東洋医学を系統的に正しく理解するための記事の4回目の今回は、そのうちの陰陽について、なるべくわかりやすく解説してみようと思っています。

哲学というと難しいと思われるかもしれませんが、とても大切なことなので、しばらくお付き合いください。

この記事を読むと次のようなことが身につきます。

島田 力

この記事を書いているのは島田 力です。

【東洋医学×分子栄養学】ということを提唱して、セミナーやカウンセリングをしたり、ブログを書いたりしています。
資格としては、鍼灸師・鍼灸教員免許・臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラーです。

私の詳しいプロフィールなどはこちらからどうぞ

1.陰か陽に分けるだけ?!

漢字をつかう文化をもつ人々にとっては、陰と陽はそれほど難しいことではないでしょう。

簡単にいえば、あるものに陽があたっているとき、影になっているところが陰で、陽があたっているところが陽ということです。

陰といえば暗い、重い、冷たい、下降、内向などがイメージできるし、陽といえばその反対に、明るい、軽い、温かい、上昇、外向などがイメージできるはずです。

ただし、実際にからだや病気に適用するには、少しルールの説明が必要になります。

1-1.陰陽のルール

・どちらかだけでは存在しない

陰と陽は片方だけでは存在しません。
つまり、対立する2つのものを陰か陽かに分けるわけです。

例えば昼が陽で、夜が陰。
ということは、昼と夜ではからだの状態がちがうということにもなります。

昼はからだが興奮、活動しているし、夜は鎮静、睡眠しているんです。
だから、陰が優勢になる夜に活動すると、陽が過剰な状態になるわけ。

興奮しすぎたり、陽が盛んになってからだがほてったり、目がさえて眠れなくなったりするんですね。

・対立しながら制約している

もちろん、陰と陽は対立した正反対の概念です。
ただし、お互いがお互いを制約しながらバランス(平衡)を取っているんです。

ちょっと難しい言い方かもしれません。

健康なひとが冷えも熱も感じないでいられるのは、陰(冷やす)と陽(熱する)がお互いに相手が強くなり過ぎないように制約して(牽制し合って)バランスが取れている状態だから、というふうに東洋医学では考えるんですね。

このバランスがくずれると、熱が出たり冷えたりするわけです。

・陰と陽のバランスはつねに変動している

陰と陽は、片方が強くなるともう片方が弱くなります。
これがつねに変化しているものなのです。
上の陰陽の図は、それをあらわしています。

例えば昼と夜についても、ここから昼でここから夜と線が引けるわけではありません。
真夜中はいちばん陰が強くて、そこから少しずつ陽が増えて陰が減っていって、真昼はいちばん陽が強い状態になります。
そこからは陰が少しずつ増えて陽が減っていって夜になります。

この“変動”という考え方は東洋医学ではよく使われるんです。
前にも書きましたが、病気と健康もどこかで線が引けるわけではなくて、連続的につながっているものととらえます。

ここが、西洋医学と違うところです。
だって、体温が36.9℃は健康で、37.0℃は病気って変じゃないですか?

・内部をさらに細かく陰と陽に分類できる

例えば、昼と夜をくらべれば昼が陽で夜が陰。
でもおなじ昼でも、午前は陽で午後は陰になるんです。

からだでみてみると、背中とお腹では背中が陽でお腹が陰になります。
膝を抱えて丸くなったときに、外側になるところが陽で、内側になるところが陰なんです。

背中の陽に対して陰になるお腹も、上の方が陽で、下の方が陰。
さらに、お腹の表面は陽で、お腹の中は陰という具合です。

1-2.陰が陽に転換する?

陰陽でモノゴトをみてみると結構おもしろいんですけど、さらに不思議なことがあります。
それは性質が逆のものに転換(これを「転化」という)することです。

・陰 極まれば陽、陽 極まれば陰

ふつうは、陰と陽は増減しながらシーソーのようにバランスがとれています。
ところが、ある一定のところで増加は減少に、減少は増加に転化します。

簡単にいうと、投げ上げたボールはいつまでも上昇しないで、あるところから下降するということですね。

この理論と、「以熱治熱、以寒治寒」(暑いときには熱いもの、寒いときには冷たいものがよい)という考えから、韓国のひとたちは冬に冷麺を食べるらしいです。

これを病気で考えると、熱がひどくなっていくと、あるときにひどい寒気がしてくるという症状のことですね。

「陽 極まれば陰」といいます。

2.陰陽を使ってみよう!

陰陽を実際にいろいろと使って世のなかのものを見てみると、これがなかなかおもしろいんです。

ちょっといろいろと見てみましょう!

2-1.どっちが陰でどっちが陽?

上が陽で下が陰、男が陽で女が陰、外が陽で内が陰。
日本人ならだいたい分かるはずです。

ただし、陰陽論をつきつめていくと男は女に対しては陽であるが、子として親に対すれば男の子は陰であるとなります。

女は男に対しては陰であるが、親として子に対すれば陽である、ともなります。

前は後に対すれば陽ですが、前の前なる者に対すれば陰であるということになります。

陰陽は無限の変化であるということになって、むずかしいのでこのあたりで止めておきましょう。

それではここで問題!

・右と左、どっちが陽でどっちが陰?

正解は左が陽で右が陰。

どうしてそうなるのかについて、東洋医学の古典にはこんなことが書いてあります。

むかしは偉い人は南面(南に向かって)して座ることになっていました。
つまり臣下は北に向かって座るわけ。

朝廷などでは、仕事は朝(午前中)おこなうので、そのときに太陽は東から昇るため、左側に陽があたるので、左が陽となるというんです。

それ以外にこんな説もあります。
左右の訓読みは「ひだり」と「みぎ」で、「ひ」は「火」を意味し、「み」は「水」を意味し、火は陽、水は陰だから、左が陽で右が陰。

さらにこんなのもあります。
太陽神である天照大神(アマテラスオオミカミ)は伊邪那岐命(イザナギノミコト)の左目から、月の神である月読命(ツクヨミノミコト)は右目から誕生した、というお話。

素晴らしいです!

・右と左、どっちが陽でどっちが陰?

正解は奇数が陽で、偶数が陰。

これにもいろいろな説がありますが、陰陽において奇数は動的で不安定な数なので陽とされ、偶数は静的で安定した数なので陰とされています。

つまり、偶数は収まりがよくてそのままで完結しているけれども、奇数は変化しようとする性質があって、次に移るとか続くという性質を持っている、といえるんです。

偶数は偶数どうしを足しても引いても掛けても偶数しか生まないけれど、奇数は偶数も奇数も生み出す発展的な数字だ、という考え方です。

この古代中国の陰陽という考え方が日本に伝わり、奇数が縁起がよいとされ、日本でも定着したというんです。

例えば、陽である奇数が重なった日に縁起のよい節句が行われますよね。
3月3日は上巳(ジョウシ)の節句、5月5日は端午(タンゴ)の節句、7月7日は七夕(シチセキ)の節句、9月9日は重陽(チョウヨウ)の節句。

偶数のように収まりがよいものをよしとせず、発展的、つまり不安定な数字の奇数を好むなんてところは、東洋的でいいと思います。

2-2.治療とは陰陽のバランスを調えること

そういう意味で東洋医学の治療について考えると、その主な目的は陰陽のバランスを調えることであるといえる。
そのあたりについて少し説明しよう。

・病には陰と陽がある

東洋医学で病気を分類していくときに、おおまかには「陰の病」と「陽の病」とに分けます。

いま何らかの不調を抱えている方は、自分の状態が陰に属しているのか、陽に属しているのかを考えてみてください。

以下に、「陰の病」と「陽の病」の特徴をあげておきます。

・陰の病(陰証という)

これに属する症状としては、
 
・冷えている(単純に寒いとか冷たい)
・からだの内側に問題がある(からだの中が熱いなど)
・必要なものが不足している(元気、やる気、体力など)
・はたらきが低下している(お腹が弱いなど)
・鎮静している(痛みとしては我慢できないほどではない鈍痛など)

・陽の病(陰証という)

これに属する症状としては、
 
・熱がある(体温が高くなくても熱っぽいなどを含む)             
・からだの外側に問題がある(からだの外側が冷えるなど)
・不必要なものが余分にある(むくみなど)

・はたらきが亢進している(頭が冴えて眠れないなど)

・興奮している(痛みとしては我慢できないほどの激痛など)
陰陽という考えを使ってからだを診るメリットは測り知れない。まずはこんな見かたでご自分のからだを見つめてみてはどうだろうか?
 

3.まとめ

今回の記事のまとめです。
何となく使っていた「陰陽」を生活や体調をみるときに使ってみてください。
今回の記事のまとめ
 
・陰陽は東洋医学のベースとなる哲学
・陰陽はバランスが大切
・陰陽は常に変動しながら平衡を保つ
・病には、陰と陽がある

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