東洋医学のベースにある2つの考え方 その2「五行」

2015/12/19(2020/12/10更新

東洋医学のベースにある2つの考え方
その2「五行」

東洋医学には、ベースとなる哲学というべき考え方が2つあります。

ひとつは前回説明した「陰陽」で、もうひとつが今回解説する 「五行」です。

東洋医学でからだをどうとらえるか、というときの基本になる考え方です。

この五行、実は生活のいろいろなところで使われているんです。

東洋医学を系統的に正しく理解するための5回目の今回は、この五行についてなるべくわかりやすく解説してみます

この記事を読むことで、次のようなことがわかります。

この記事を書いているのは島田 力です。

【東洋医学×分子栄養学】ということを提唱して、セミナーやカウンセリングをしたり、ブログを書いたりしています。
資格としては、鍼灸師・鍼灸教員免許・臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラーです。

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1.あらゆるものを5つに分類?!

まずは、五行の基本的な考え方について見ていきましょう。

1-1.五行ってなに?

・あらゆるものを5つに分類

ひと言でいうと、“五行”とは宇宙に存在するすべてのものを5つの要素に分類するという考え方です。

その5つとは、(モク)・(カ)・(ド)・(コン)・(スイ)。

この五行を東洋医学で使うとき、基本になるのが五臓で、対応する五臓は肝・心・脾・肺・腎になります。

・あらゆるものを5つに分類

日本の国技といわれてもちょっと困ってしまう相撲ですけど、土俵には屋根があって、その四隅に房飾りが下がっているのをご存知でしょうか?

あの色は青房が東、赤房が南、白房が西、黒房が北で、五行に由来しているんです。

「あれっ、4つしかないじゃない」と思ったあなた、鋭いです!

あとひとつは中央。
五行では中央が土で黄色、それが土俵ということ。

納得しました?

 

1-2.五行それぞれのイメージ

まずは、五行のそれぞれをイメージしてみましょう。
そうすることでものごとを5つに分類するコツが理解できるようになるからです。

・木~草木が成長するイメージ

草木が成長するように、上へ、外へと伸びていくような性質のものをこの行に分類します。
季節では春、五臓では肝が入ります。

・火~炎が燃え上がるイメージ

炎が燃えさかるようにものを温める性質のもので、これは分かりやすいですね。
季節では夏、五臓では心が入ります。

・土~土が農作物を育てるイメージ

大地にタネをまいて収穫することから、ものを生み出し変化させるという性質のものはここに分類します。
季節では土用(土用は夏だけではなく、すべての季節にある)、五臓は脾が入ります。

・金~金属が形を変えるイメージ

固くて冷たい、収斂(引き締まる)する性質のものを分類します。
季節では秋、五臓は肺が入ります。

・水~水が低い方へ流れ、潤すイメージ

湧き出る水のように生命の源、あるいは下方向に流れる性質のものを分類します。
季節では冬、五臓は腎が入ります。

・五行の表

五行を分類した表を色体表といいます。
ちょっと見てみましょう。
五時というのは季節のことで、四季を5つに分類するのはちょっと難しいんですね。
五気は季節の気候特徴のことです。
 
五臓
五色
五方中央西
五時

土用(長夏)

五気湿

 

※土用は各季節にあって、長夏は中国に特徴的な季節で夏のあと秋の前にきます。

2.五行のあいだの関係

五行のイメージがわかったら、実際にいろいろと使って世のなかのものを見てみると、これがなかなかおもしろいんです。
それには、五行のあいだの関係性が大切です。
大きくみると2つのルールがあるので、ここではそれを説明します。

2-1.相生という関係

下の図を見てください。

外側の時計回りの矢印が、相生関係をあらわしています。
相生とは生み出す関係のことです。

例えば、木は火を生み出します。
この場合、「木は火の母」で、「火は木の子」であるという関係になります。

これは、母子関係ともいわれます。
この関係が循環しているわけなんです。

これを具体的に見ていきましょう。

・木がこすれて火を生む(木生火)
・火が燃えて灰ができると土になる(火生土)
・土のなかに金属ができる(土生金)
・金属の表面に水滴がつく(金生水)
・水によって木が育つ(水生木)

2-2.相克という関係

上の図で、こんどは斜めにひとつおきに向いている矢印を見てください。
これは相克関係といい、“克”(コク)とは“勝つ”という意味です。

例えば「木は土を克す」という言い方をします。
木が土に勝つという意味です。

木は土のなかに根を張るので土を克す、つまり勝つわけなんですね。

それぞれの行はどれかの行に勝ち、どれかの行には負けることになってバランスが取れているんです。

また相生によって生み出されるだけだとバランスがくずれるので、抑制的に働くことでバランスをとっているわけです。

 

・木は土中に根を張り栄養を奪う(木克土)
・土は水を吸収し堰き止める(土克水)
・水は火を消す(水克火)
・火は金属を溶かす(火克金)
・金属でできた刃物は木を切る(金克木)

3.五行を使ってみる

五行を実際にいろいろとつかって世のなかのものを見てみると、これがなかなかおもしろいんです。

3-1.五行をタテに見てみる

五行の各行をタテにみていくとおもしろいので、からだに関する表で見てみましょう。

各行(同じグループ)の要素はそれぞれに関連があるんです。
ある要素に異常があらわれた場合に、同じグループのいずれかの要素が原因となっていたり、いずれかの要素が治療に役立ったりするわけです。

・金は肺の行

例えば皮膚にかゆみがある場合、皮(皮膚)は金のグループ(行)に属しているので、ここをタテにみていくと、肺や大腸などの機能低下が原因だという見かたができます。

その原因としては、悲しみや憂いという感情が過度になったことなどが可能性として考えられるんです。

また鼻の症状や鼻水などをともなっているかもしれません。

治療では、乾燥した気候(上の表を参照)に注意が必要で、辛味に属する漢方薬や食物を取るとよいなどと考えられます。

要素
五臓
五腑小腸大腸膀胱
五体血脈肌肉
五志憂悲
五官
五液
五味

ここに挙げたのはほんの一部ですけど、東洋医学の診察ではこんなことを考えながら患者さんの症状などを診て、治療をしていくんです。

おもしろいでしょ?

今回は少しとっつきにくい内容だったと思いますので、このあたりで終了することにします。

最後に、キトラ古墳の四方の壁に描かれていた四神の写真を挙げて起きましょう。

東:青龍

南:朱雀

西:白虎

北:玄武

中央:麒麟

東が青龍、南が朱雀(朱は赤のこと)、西が白虎、北が玄武(玄は黒のこと)。

ちなみに中央が本日のタイトル写真になっている麒麟です。
この絵は鳥獣戯画のなかのキリン。

・五行とは、あらゆるものを5つに分類してとらえる考え方
・5つの要素は、木・火・土・金・水
 ・五行間には相生・相克という関係性があって、バランスを取っている
・五行の表をタテに見ると面白い

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