これ、まだ常識だと思っていませんよね?

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。
今回は、食についての誤った常識について書いてみます。

というのも先日来、医師の食に関するアドバイスがあまりに古い情報に基づいていたり、患者さんが信じ込んでいる誤った知識などを立て続けに目の当たりにして、とても驚いたからなんです。

ですから、私の頭のなかで「これ常識だよね」と思われるようなことでも、あえて書いてみることにしました。

今回は主にについての話です。
もしご自分の常識と違っていたら、すぐに改めて、患者さんにもアドバイスしたりしてみてください。

サラダ油はカラダに良い?

油の取り方についても、いろいろな栄養素と同様に人によって異なるのは確かですし、質的な栄養失調に陥っていたとしても、何が足りないのかは個体差が大きいんです。

ですがオメガ3系とオメガ6系のバランスはすべての人にとって、とても大切です。

前者が炎症を抑制するのに対し、後者は炎症を増長するというように、炎症に対しては真逆にはたらくからです。

ちなみに日本人の平均摂取量を調べてみると、圧倒的にオメガ6が多い(1:4.5)というのが現状です(2019年国民健康栄養調査)。

オメガ3:オメガ6の理想的な割合は1:1だといわれていますので、これは明らかにオメガ6の摂りすぎですね。

もちろん炎症というのはとても大切な免疫システムですけど、それは急性の炎症についてのお話。
慢性的に炎症がダラダラ続くと、様々な悪影響がでることが報告されています。

しかも慢性炎症って、自覚しずらいところがまた問題なんです。

よくある慢性炎症としては、上咽頭炎や副鼻腔炎、歯周病、胃のピロリ菌感染、脂肪肝、腸内の炎症など、挙げるとキリがありません。

最近では、脳の炎症でうつ病が起こるとまでいわれています。

いままでにも何度も書いていますが、炎症は栄養療法を邪魔する最大の要因といってもいいでしょう。

いわゆるオメガ6系に属するいわゆるサラダ油を「健康にいい」と信じている人が多いのは、先進国では日本だけなのが悲しい現実です。

もちろんどちらも必須脂肪酸なので、体内ではつくれないから食事で摂る必要があるんですけど、基本オメガ6系が足りないということはまずありません。

さらに、油を摂る種類によって、細胞膜の流動性や柔軟性が違ってくるという問題があります。

オメガ3系の油は細胞膜の流動性を高め、柔らかくします
細胞膜が柔らかいと、細胞の内外の物質の移動がしやすくなり、脂溶性のビタミンなどが細胞内に入りやすくなります。

オメガ6は逆に細胞膜を硬くしますので、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンがうまく吸収できなくなります。

サプリでいろいろな栄養素を摂っているのに、吸収できていないので変化が見られない人って、結構多いんですよ。

バターよりマーガリンが健康的?

油の問題でいえば、トランス脂肪酸は絶対に取ってはいけない油です。
これは細胞の膜をカチカチにしてしまいます。

オメガ6どころの騒ぎではありません。
マーガリンショートニングなどに多く含まれています。

先進国の中では表示義務のないのは日本くらいでしょうか?
ほとんどの国では、食品への添加が禁止されているか、あるいは表示義務があるかのどちらかです。

ですが、「バターよりマーガリンの方が健康にいい」と信じている患者さんは結構います。
特に高齢者に多いんですけど、これにはさすがにビックリしてしまいます。

もっとも、かなり騒がれたことで、中にはトランス脂肪酸の含有量の少ないマーガリンが出てているようです。

トランス脂肪酸って、マーガリン以外に何に含まれているかよくわからないという人もいるので、下に挙げておきますね。

人工的に水素を部分添加した油脂を使ってつくられたマーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などに、トランス脂肪酸が多く含まれています。

例えばフライドポテト。
ショートニングを使わないで揚げると、手に油がほとんどつかないくらいカラッとは揚げられません。

くれぐれも気をつけましょう。

卵を食べるとコレステロールが上がる?

一昔前までは「卵はコレステロールが上がるからあまり食べてはいけない」といわれていました。
しかし、これは医学的には全くの間違いであることはいまや常識です。

もともとコレステロールの8割は体内(肝臓)でつくられており、体外からコレステロールが入ってくるとその量を調節しているので、食品からのコレステロール摂取でコレステロール値は上がらないんです。

5年ごとに改訂される厚労省が出している「日本人の食事摂取基準」では、2015年からコレステロールの上限値は撤廃されていることからも、コレステロールを多く含む食品を控える必要がないことがわかります。

しかも、コレステロールは増えすぎたブドウ糖が傷つけた血管の壁を修復するために集まっているのであって、動脈硬化の直接的な原因ではありません。

日本ではLDLコレステロールは悪玉と呼ばれ、動脈硬化の原因とされてきましたが、その考えは間違いであることがわかってきました。

逆にLDLコレステロールは、脂肪の消化に必要な胆汁酸、ストレスに対抗するためのホルモンであるコルチゾール、生殖や妊娠に必要な性ホルモン、骨を強くするビタミンD、エネルギー代謝に欠かせないCoQ10、それに大事な細胞膜などの材料になっているため、とても大切なものなんです。

卵については、プロテインスコア100点満点で、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルが豊富な完全栄養食品であり、優秀な動物性タンパク質です。

注意するとしたら、食べ続けることでのアレルギーくらいなので、3日食べたら1日休む程度でいいと思いますよ。

油を取ると脂肪になる?

前にもちょっと書きましたが、人間のカラダはそれほど単純ではありません。
油を摂ると脂肪になるという理論なら、牛肉を食べたら牛になることになってしまいます(笑)

食べたものは、その元になっているものの性質がない状態まで分解されてから、カラダの各部位に振り分けられます。

もっとも、東洋医学には「以臓補臓」という言葉があって、肝臓が悪ければレバーを食べなさいといいますし、これって栄養学的に考えても結構言えていると思うことは多々あるんですけれど…。

上でも書いたように、脂質というのは細胞の膜をつくっています。
人体にとって最も大切だとされる脳の水を除いた重さのなんと60%は脂肪なんです。

ですから、どういう種類の油を取るかはダイレクトに脳の機能にも影響するわけです。
勉強ができるとかできないとかだけでなく、うつや認知機能にもとても大きな影響を与えるのが油なんです。
ですから、良い脂肪を取りましょう!

どうでしょう? 皆さんの常識と合っていたでしょうか?
何を食べるか食べないか次第で、かなり健康が左右されるということをよく知っておいてください。

今回はこの辺で。

私のやっている分子栄養学をしっかり学ぶ「分子栄養学予防アドバイザーセミナー」の第6期の締切が8月末までと迫っています。
興味のある方はこちらから詳細を見てください。

タイトルとURLをコピーしました