血管の状態は健康を左右する

東洋医学×分子栄養学

こんにちは、島田です。

栄養療法を勉強していて気づいたんですけど、日本では「血管の欠陥」で亡くなる人が多いんですね。 すみませんオヤジです(笑)

日本人の死因(2021年人口動態統計)を見てみると(下図)、

・心疾患が14.9%、 ・脳血管疾患が7.3%、 ・血管性及び詳細不明の認知症が1.6%、

合計すると血管の問題が23.8%になって、1位の悪性新生物の26.5%に匹敵します。

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ということで今回は血管に注目していきます。
これって患者さんの命にかかわることなので、とても大事ですね。

血管の問題は大きく2つ

血管の状態というと、外側の血管自体の強度(というか柔軟性)と内側つまり内腔の状態の大きく2つに分かれます。

今日は血管の構造、外側の問題について書きます。
血管自体はタンパク質が主な材料です。

あとはコラーゲンが強度や柔軟性に影響を与えます。
コラーゲンは、タンパク質+鉄+ビタミンCでした。
ここ、すごく大事ですね。

一方、内腔の状態とは、つまり流れている血液の状態のことです。
これはLDLコレステロールが高いか低いかということよりも、酸化LDLをいかに減らすかということが大事です。

動脈硬化と栄養の関係ついては身体の抗酸化と関係が深いので、これはまたの機会に書きたいと思います。

青タン=血瘀?

ブログに何度か書いてるので読んだ方も多いかもしれませんが、患者さんで特に下腿に青タンが何ヶ所もできている人ってよく見かけますよね。

僕は以前はこれを見たときに、すぐに血瘀?って思ってました。
『東洋医学概論』の教科書にも血瘀の症状として皮下出血斑と書かれています。

血瘀ってことは、
舌裏の静脈は怒張しているかな?
舌質は紫暗?
ということで舌診。

すると舌質は淡で、舌裏の静脈は見えないくらい薄いんです。
ありゃりゃ? どうなってるんだろう? 血瘀じゃないの…。

そんなことってなかったですか?

これ分子栄養学を勉強したいまなら、納得できます。
血管が壊れやすいってことは、血管壁のコラーゲンが足りない状態なんです。

ビタミンCの欠乏症の壊血病っていうのがありました。
これってまさに血管が壊れて全身から出血し死にいたる病気でしたね。

つまり、ぶつけた記憶もないのに青タンができるって、プチ壊血病ってこと。

前にも書いたように、コラーゲンはタンパク質+鉄+ビタミンC
どれかが足りないってことです。

根本原因の解決=本治

もうこのブログを毎回のように読んでいただいているあなたなら、「不足している栄養を摂ればいい」なんて言わないですよね。

そうです。
どうして足りなくなったんだろう? って考えます。

根本原因の解決、つまり本治を考えなければ意味がないからです。
栄養療法の場合、結構多いのはサプリメント依存です。

「足りない栄養があるならそれを摂ればいい」という単純な考えが出発点になっているようです。
もちろんサプリを使うことで、解決までの時間を短縮することはできます。

でも、根本的な原因=なぜその栄養素が足りなくなったのかを解決しなければ、一生そのサプリを飲み続けることになりますよね。

本当のゴールは、サプリを飲まなくてもいい身体になることです。

東洋医学を身に付けている鍼灸師が、この栄養療法をやるべき理由のひとつはここです。
本治の意味を知っているから。
そして根本原因のなかでも大きなウエイトを占めているのが、です。

だから僕は、鍼灸師の仲間にこの分子栄養学を学んで欲しいんです。

さらに考察を進めましょう!

もしこの患者さんが若い女性だったりしたら、どのように考えますか?
前回、タンパク質を例に書いたように、不足の可能性を考察していきます。

可能性のひとつとしては貧血。
生理で毎月出血しているわけですからね。
貧血で鉄不足だから、血管のコラーゲンが不足してもろくなってるかもしれないって考えます。

鉄が不足している理由は大きく2つでした。
摂ってないか、摂っても吸収できてないか。

鉄はミネラルだから、吸収が悪いんだとしたら胃酸が足りないかもしれない。
これはまず胃の状態を細かく尋ねたり、胃の裏側の背中の張りなどを触診する必要があります。

鉄はエネルギー産生にも関わるので、鉄不足ならエネルギー不足になっているはずです。
すると、疲れやすいとか、やる気が出ないとか、そんな症状が出ますね。

胃の問題があるなら、前回にも紹介した「胃酸の出を促す食事方法」をアドバイスしましょう。
そして東洋医学的にも胃に対応した治療をしましょう。

別の可能性としては、タンパク質の摂取不足かもしれないですね。
これも基本は摂っていないか、吸収できていないか。

タンパク異化の亢進(つまりタンパク質を消費する量が多いってこと)も結構見かけますけど、これは

に書いたので、もう一度読んでみてください。

摂っているかどうかは、食事内容のチェックが必要ですね。
若い女性で肉食系もいますけど、胃が弱い人はあまり食べられない人が多いです。

摂っていないのなら、どうして食べていないのかを尋ねましょう。
そこに根本原因が隠れている場合は多いです。

タンパク質の吸収が悪いのなら、まずアミノ酸で摂るのもオススメです。
例えば前回の

に書いたグルタミンは使えます。

コラーゲンの材料で鉄、タンパク質ときました。
あとビタミンCがあります。

ビタミンCは適度に野菜や果物を食べている人は、必要最低量は足りているはずです。
でも副腎疲労のような慢性疲労の状態だと、必要量が増えますね。

Cは水溶性のビタミンなので、過剰症を気にしないで摂れるので、普段から摂ったほうがいいオススメ第一位のビタミンです。

こうやって考えてくると、舌質淡も納得できますね。

舌裏の静脈は怒張ばかり習うけど、鉄不足ならほとんど見えないくらい薄かったりします。
そういう患者さんは結構多いですよ。
逆に舌裏の静脈が見えないくらい薄かったら、貧血や血虚を疑うってことになります。

血の流れの停滞を起こす原因は、血管の内側だけではなくて構造的な問題(が引き起こす柔軟性の欠如)を含むとも考えられますね。

すると、血瘀という考え方には、血管の健全性の破綻という概念が含まれているのかもしれない、なんてことにもなります。

やっぱり、東洋医学ってすごいですね。

とにかく、今回書いた血管の健康は患者さんの命にかかわる大事な問題なので、しっかり栄養のアドバイスをできるようになってください。

今日はこの辺で。
いつも最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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