ミトコンドリアって知ってますか?

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。

2/19のNHKの「ヒューマニエンス」という番組で、ミトコンドリアが取り上げられました。
最新の情報なども紹介されていて、とっても面白かったんですよ。

ミトコンドリアって以前から興味があったいわば「人体の発電所」なので、今回はこれを取り上げてみます。

最も古く最も大切な友人ミトコンドリア

分子栄養学で患者さんの栄養状態を診ていると、女性で多いのはなんといってもエネルギー不足です。

カラダに必要なエネルギーをシッカリとつくれないので、疲れやす、だるい、やる気が出ない、朝起きられないなどの症状になってあらわれます。

ヘタをすると「サボり」とか「できない人」とか思われてしまうんですけど、本人はすごくつらいはずです。

僕は栄養指導のために血液検査の結果やカラダの状態を診てある程度は分かってあげられるので、思わず「大変だったでしょう」と声をかけてしまいますが、ときどき泣き出しちゃう方もいるくらいです。

そんなカラダのエネルギーの90%をつくってくれるのが、このミトコンドリア。

学校で習ったことがあるのを覚えていますか? そうです、あのジェリービーンズみたいな不思議な形をした細胞内の小器官のことです。

じつはこいつ、なかなかに面白い存在なんですよ。 何といっても20億年前に私たちの細胞の中に棲みついた同居人みたいな存在なんですから。

まずはその辺の事情からみていきましょう。

同居することになったワケ

われわれ生物の祖先は古細菌アーキアといいます。
生まれたのは約40億年前。
もちろんまだ生物が陸に上がる前の、ごく単純な細菌の状態のときのことです。

当時はあまりエネルギーをたくさんつくれなかったので、活動性がだいぶ低かったようです。
そのころの地球は二酸化炭素に覆われていました。

一方、ミトコンドリアの祖先はアルファプロテアバクテリア
酸素を使ってエネルギーをたくさんつくるのが得意だったようです。

25億年前頃から、地球上の酸素濃度が急激に上昇してきました。

嫌気性環境を好む古細菌アーキアにとって、なんでも酸化させてしまう酸素は猛毒です。
しかも発酵(解糖系)を使って少ないエネルギーしかつくれないので、活動や進化するためには酸素が増えるのは不利です。

ところが好気性環境を好むアルファプロテアバクテリアにとっては、酸素があれば生物共通のエネルギー通貨であるATPをたくさんつくれますが、糖の調達などの面倒な作業はできれば他の人に任せたいんです。

ということで2つの生物の利害が一致し、20億年前に細胞内で共生することが始まりました。
アルファプロテアバクテリアが古細菌アーキアの部屋に同居を始めたワケです。

古細菌はミトコンドリアを取り込むことで、苦手な酸素を消費してもらった上に、数十倍のエネルギーを得られることになり、複雑で高度なことができる細胞に変化することで進化を加速しました。

ミトコンドリアにとっては、細胞内の安全な場所を確保できた上に、糖の調達などは宿主の細胞に任せて、エネルギーをつくることだけに専念することができるようになりました。

ミトコンドリアは必要がないことをしなくなったために、遺伝子の数が2000から37個にまで減りました。

いまでは、ミトコンドリアがなければ真核生物は存在し得なかった、とまでいわれているんですよ。

エネルギーはどうやってつくる?

ところでエネルギーってどうやってつくっているかはご存知ですよね。
ヒトが体内でエネルギーをつくる方法には2種類ありました。

ひとつは解糖系

これは古細菌がやっていた方法で、つくれるATPの数は少ない(2ATP)けれど、酸素が必要ありません

もうひとつはミトコンドリアでつくる方法(TCA回路+電子伝達系)で、ここには酸素が必要ですが、大量のエネルギー(34ATP)がつくれます

若い女性はスイーツ好きが多いですけど、これは貧血の女子が多く、つまりは各組織で酸素が不足しているので、酸素を必要としない解糖系を回すしかないからです。

解糖系の材料は糖ですからね。
つまりカラダの苦肉の策としての欲求なんです。

ということは、根本的にスイーツ好きを治すには、貧血を治してエネルギーをたくさんつくれるようにするしかないということになります。

ちなみにチョコ好きは、カカオに含まれている鉄を欲しているということで、やはり貧血を改善したくてつい手が伸びているわけなんですね。

そうそう、ミトコンドリアが別の生き物だった証拠に、細胞の核に存在するのとは別に独自のDNAを持っているんですよ。

そしてミトコンドリアDNAは母性遺伝です。
受精の際に精子のDNAは積極的に排除されて消滅してしまうので、母方の遺伝子のみが引き継がれているんです。

ということは、お母さんがエネルギー不足の傾向にあったら、子供もその傾向を受け継いでいる可能性が高いということです。

なかなか面白いですよね。

ミトコンドリアの強化方法

最後にエネルギー不足対策として、ミトコンドリアを強化する方法について少し書いておきましょう。

まず、ミトコンドリアの量を測る間接的な指標としては、最大酸素摂取量(VO2max)があります。
つまり酸素をたくさん取り込めれば、エネルギーをたくさんつくれるということなんですね。
だからVO2maxが高ければ、運動能力が高いことを意味します。

貧血だとエネルギー切れになってしまうのは、もう理解していますよね。

ミトコンドリアでエネルギーをつくる能力を上げるには、トレーニングが必要です。
ミトコンドリアの量を増やすには、細胞の中でエネルギーが枯渇して「もっとエネルギーが必要だ」という状況をつくる必要があるということです。

運動選手のミトコンドリア数やATP産生能力は、一般の人よりかなり高いこともわかっています。

また、摂取カロリーを3〜4割制限することでミトコンドリア数が10%程度増えるという報告もあります。

いわゆるファスティングも効果的です。

なにも何日か食べない日を設けなくても、間欠的ファスティング(最後の食事の後、12〜16時間食べない時間をつくる食事方法)などでも、十分効果が出るということです。

これに運動をプラスするとさらに増えるようですけど、ちょっと大変そうですね。

温熱刺激でも数や能力が上昇しますし、寒冷刺激でも増えます。
お風呂にじっくり浸かったり、寒中水泳や水風呂などがいいようですね。

まとめ

今回はミトコンドリアについてみてきました。
20億年前から同居しているエネルギーの発電所でした。

ミトコンドリアの中でエネルギーをつくるのに酸素が大事だということはわかってもらえたと思いますが、じつはそれでけではダメなんです。

ATPをつくるときには、さらにいろいろなビタミンやミネラルが必要になります。
これが補酵素として働くので、ないとエネルギー産生回路がシッカリと回りません。

ですから、エネルギーにあふれた健康体になるためにも、食事や栄養がとても大切だということになります。

患者さんでエネルギー切れを起こしている人には、三大栄養素がキチンと摂れているか、貧血はないか、補酵素としてはたらくビタミンやミネラルが摂れているか、消化吸収がしっかりしているかといった多方面からのチェックと、それに応じたアドバイスが必要になります。

こちらのブログで学んだことを是非とも患者さんへのアドバイスに活かしてみてください。

今回は以上になります。
もし分子栄養学に興味を持ったら、下のボタンをクリックして私のセミナーの詳細を見てみてください。

タイトルとURLをコピーしました