冬になると毎年インフルエンザにかかる人がいる一方で、同じ環境でもまったく感染しない人がいますよね。この「体質の差」は、運でも偶然でもないんです。
今年、弘前大学が発表した研究では、約1000人の健康データを解析し、インフルエンザにかかりやすい人の5つの特徴を明らかにしました。
今回はその結果をもとに、分子栄養学と東洋医学の両面から、感染症に強い体づくりのヒントを考えてみます。
弘前大学が発表「インフルにかかりやすい人の5つの特徴」
弘前大学COI研究チームによるAI解析では、インフルエンザにかかりやすい人には以下の5つの特徴が共通していました。
① 血糖値が高い
血糖値が高い人は、免疫細胞の働きが低下しやすい傾向にあります。
糖代謝が乱れることで白血球がウイルスを攻撃しにくくなり、炎症が長引くこともあるんです。
分子栄養学的には、糖化ストレスやミトコンドリア機能低下。
東洋医学的には、痰湿傾向の体質。
代謝が滞り、体が重だるくなりやすいタイプです。
② 肺炎の既往歴がある
過去に肺炎を経験している人は、呼吸器の粘膜防御力が弱くなっている可能性があります。
栄養学的には、抗酸化物質(ビタミンC・E・グルタチオンなど)が不足しやすく、慢性炎症が継続しやすくなりがちです。
東洋医学的には肺気虚の場合が多いので、呼吸と免疫の力が弱まった状態ですね。
③ 睡眠不足・慢性疲労
弘前大学のデータでは「睡眠時間が短く疲労が抜けない」人ほどインフル発症率が高い傾向にありました。
栄養学的には、メラトニンやコルチゾール分泌の乱れ、エネルギー産生低下などが考えられます。
東洋医学的には、気虚や腎虚。
生命エネルギーが消耗し、外邪(ウイルス)に抵抗できない状態です。
④ 栄養不足
免疫に必要な栄養素が不足すると、感染防御システムが作動しにくくなります。
栄養学的には、タンパク質・鉄・亜鉛・ビタミンDなどの不足による免疫低下を意味します。
東洋医学的には、気血両虚の可能性があります。
栄養(血)とエネルギー(気)の両方が不足するタイプです。
⑤ アレルギー体質(花粉症・鼻炎など)
花粉症や鼻炎などの慢性アレルギーを持つ人は、免疫システムが常に興奮状態にあり、ウイルス防御が後回しになりやすいんです。
栄養学的には、腸内環境の乱れやヒスタミンの過剰、慢性炎症などが考えられます。
東洋医学的には、血熱や肝気鬱結など。
体内に炎症の“熱”をため込みやすいタイプです。
分子栄養学が教える「免疫力を高める細胞の整え方」
インフルエンザにかかりやすい人の特徴を分子レベルで見ると、共通するのは細胞内の代謝バランスの乱れです。
糖代謝異常・酸化ストレス・栄養欠乏・腸内炎症・睡眠不足——これらはミトコンドリアの働きを弱め、エネルギー不足の細胞を増やしてしまいます。
つまり、免疫力を上げるには免疫細胞の元気を取り戻すことが第一歩。
具体的な対策としては、下記のようなことが大事です。
- タンパク質とミネラルをしっかり摂る
- 間食・甘い飲み物で血糖値を乱さない
- ビタミンD・亜鉛・鉄を適切に補う
- 腸内環境を整える
これらによって細胞代謝を改善し、ウイルスに強い体をつくります。
東洋医学で見る「免疫が弱る体質」3タイプ
東洋医学では、外からのウイルス(外邪)に対して、内側の「正気(せいき)」が強ければ病気にならないと考えます。
弘前大学の5つのタイプは、東洋医学でいう「気・血・水」の乱れとして説明できます。
| 西洋的要因 | 東洋医学的体質 | 特徴 |
|---|---|---|
| 睡眠不足・疲労 | 気虚 | 体力・免疫低下、だるい |
| 血糖・肥満 | 痰湿 | むくみ・代謝停滞 |
| 栄養不足 | 血虚 | 乾燥・冷え・集中力低下 |
| アレルギー | 血熱・肝気鬱結 | 炎症・イライラ・鼻炎 |
東洋医学の「気」は現代で言えばミトコンドリアのエネルギー、「血」は栄養と循環、「水」は代謝・老廃物の流れ、と解釈することができます。
つまり、分子栄養学と東洋医学は、異なる言葉で同じ現象を説明しているともいえるわけです。
今日からできる体質改善のヒント
弘前大学の研究から見えてくる免疫体質改善のポイントは複合的な整え方です。
ひとつの栄養やサプリだけでなく、下記のように睡眠・食・心のバランスを総合的に見直すことが大切です。
- 夜11時前には寝る(メラトニン分泌を最大化)
- 朝日を浴びて体内時計をリセットする
- 血糖値を乱す砂糖・アルコールなどを控える
- 深呼吸・瞑想・軽めの運動で気の巡りを整える
これらをひとつずつ取り入れるだけで、「インフルかかりにくい体」への変化を感じられるはずです。
まとめ:免疫体質は変えられる
弘前大学の研究が示したように、インフルにかかりやすい人には明確な共通点があります。
それは「免疫が弱い」というより、免疫のバランスが乱れている状態です。
分子栄養学で細胞のエネルギーと栄養を整え、東洋医学で全身の気血水の流れを調える——その両輪が、現代人の免疫不調を根本から改善する鍵になります。
この冬は、科学と伝統医学の知恵を融合させて、“インフルにかからない体”を自分で育てていきましょう。
今回はこの辺で。
一年間お読みいただき、ありがとうございました。
皆さまが健康で良い歳をお迎えになることを祈っております。

