子どものための栄養学(2)頭が良い子にするために必要な油

東洋医学×分子栄養学

こんにちは、島田です。

関東ではやっと梅雨が明けました。 実質的に後半はほとんど雨が降っていなかったですし、とっても暑かったですが、皆さんお元気ですか?

今回は、ご好評をいただいた「子どものための栄養学」の2回目。
頭が良い子にするために必要な油のお話です。

じつは、三大栄養素のなかでカラダを変えるのにもっとも大事なのは、脂質です。
脂質は何をどれくらいの量摂るかで、身体の状態をかなり変えることができるんです。

つまり、質も量も大事だけれど、ちゃんと摂ると身体が変わる栄養素です。
今回の内容は、主に頭の良い子にするためのことが書いてありますけど、認知症対策にもなります

最後までよく読んでくださいね。

油は細胞膜や神経細胞を構成する重要な材料

そもそも油は細胞膜や神経細胞のとても大切な材料です。
神経細胞といえば脳ですけど、脳の乾燥重量の約60%は脂質、残りはタンパク質です。

ですから脳内で脂質が不足すれば、情報伝達のスピードが落ちるし、記憶力も落ち、頭の回転が鈍くなります。
成長期の子供なら脳内の神経細胞の発達にも影響を及ぼすといわれています。

ところで、ヒトは約37兆2000億個の細胞でできているとされています。
それぞれの細胞では、細胞膜を通していろいろな栄養素が細胞内に取り込まれるんです。

そのため膜の流動性や柔軟性が大切です。
じつはオメガ3系の不飽和脂肪酸は、この流動性や柔軟性を上げるのにとても効果的な油なので、頭を良くするためだけではなく、健康のためにも積極的に摂るべきなんですね。

頭が良い子にするにはDHA

以前に書いたように、油にはいろんな種類がありました。
上にも書いたように、油は摂ればいいというものではなくて、「質」がとても大事なんです。

オメガ3系の油が身体に良いことは知っているかもしれませんが、オメガ3系の油にもいろいろと種類があります。

今回の「頭の良い子」に特に必要なの油がDHA
昔よく「頭が良くなる油」と言われた、多価不飽和脂肪酸です。

DHAは、脳内でも特に記憶や学習に関わる海馬に多く集まっていて、神経細胞の発育を活性化させ、機能維持に重要な役割を果たしていて、記憶や学習能力を向上させるために必要不可欠な成分であることが分かっています。

DHAを多く含んでいる食材は、もちろん魚介類で特に青魚
サンマや筋子には結構含まれているみたいです。

具体的な摂り方としては、気軽に利用できるサバ缶(できるだけ甘味がついていない水煮が良い)などを活用するといいでしょう。

アマニ油だけではダメな理由

オメガ3系といえば、アマニ油やエゴマ油を思い浮かべる方も多いでしょう。
「魚は食べるのが面倒だから、代わりにアマニ油じゃダメなの?」という声が聞こえてきそうです。

もちろんDHAは、アマニ油やエゴマ油に多いα-リノレン酸やEPAから体内でも変換されるんですけど、その変換率はかなり低いんですね。

α-リノレン酸からEPAに変換されるのが約5%で、EPAからDHAに変換されるのは約0.5%といわれています。

EPAは脳には上がっていかない代わりに、身体の炎症を抑えてくれる働きがあります。
このブログでもよく書いてますけど、最近では慢性炎症が生活習慣病の元くらいにいわれていますので、アマニ油も積極的に摂ってほしい油です。

ですが、脳のためにはやはりDHAです。
そしてDHAを多く含む食材はなんといっても魚なんです。

ただ、魚を食べるときにひとつだけ気をつけてほしいことがあります。
それは大型魚をあまり頻繁に食べない方がいいということ。

理由は水銀です。
アジアの海には世界の海に含まれる水銀の50%以上が存在するといわれています。

そして大型魚には食物連鎖によって水銀が蓄積されやすいんです。
厚労省でも、特に妊婦さんはマグロのような大型魚は控えめにするように言っています。

これは、これから脳細胞が増えていく子どもにも言えることですよね。

そうそう、大型魚の基準は、まな板に載るかどうか
まな板からはみ出す魚は大型だと思いましょう。

ただし、大きいけど水銀をあまり気にしなくていい魚は、サーモンです。

これ大事!控えるべき油

細胞膜を通していろいろな栄養素が細胞内に取り込まれるので、流動性や柔軟性を上げるオメガ3系の油を積極的に摂るようにと、上で書きました。

ですが逆にこの細胞膜を硬くしてしまうのが、よく問題になるトランス脂肪酸です。
膜が硬いということは、細胞膜を通して必要となる栄養素などが細胞内に入りにくくなるということです。

具体的には、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、食用植物油、加工油脂と表示されているものなどに多く含まれています。

菓子パンとかお菓子類に使われている油です。
自宅以外で油料理を食べるのもできれば控えたいですね。

頭の良い子にしたければ、こういうものを食べさせるのは極力避けましょう。
良い油を摂ることと、悪い油を控えることはセットで実施する必要があります

摂っても利用できないと…

せっかく良い油を摂っても、うまく使えないと意味がありません。

そして、脂質の代謝にもっとも必要なのがビタミンB2なんです。
これがないと脂質(糖質・タンパク質の代謝にも関連している)をエネルギーに変えられません。

このビタミンB2は「発育のビタミン」とも呼ばれれているので、成長期の子どもには特に大事ですね。

腸内環境が良ければビタミンB群はある程度はつくれるんですけど、これを多く含む食品はレバー、卵、きのこ、納豆などです。
成長期の子どもや受験生には、オススメの食材です。

蛇足ですけど、ビタミン剤や栄養ドリンク、サプリメントなどを飲んだ後に尿が黄色くなる原因はこのビタミンB2なんですよ。
身体で足りていれば、尿に排泄されて色が黄色くなるってことです。

油以外に記憶力に必要な栄養素

ところで、頭がいいと記憶力がいいはちょっと違うと思うのですが、日本のお受験の場合、記憶力が良ければある程度の成績はあげられるのは確かです。

そこで記憶力を良くする栄養素って知りたくなりますよね。
記憶力に関連するのはアセチルコリンという物質です。

このアセチルコリンの合成のために、コリンという栄養素が必要になります。
コリンを多く含む食品は、卵黄・レバー・大豆・赤身肉・鮭などです。

上に書いた、ビタミンB2を多く含む食材と組み合わせて、使いたいですね。

脳細胞の増殖を加速させる行為こそ「運動」である

従来、脳は20歳くらいまでに完成して、あとは衰える一方だとされていました。
脳そのものは、毎年0.5〜1%ずつ縮んでいくし、記憶の中枢・海馬も同じように1年で約1%小さくなるとされていました。

しかし近年の研究で、成人後の脳内でも新しい細胞が誕生することや、脳内の連携が発展するメカニズムが解明されたんです。

この脳細胞の増殖を加速させる行為こそが運動」です。
認知症を発症した人でも、運動をすることで認知機能の改善や進行を遅らせることができるといわれています。

これは、頭の良い子を育てるためにも有効です。
勉強ばっかりするよりも、運動をさせた方が頭が良くなるんですね。

「勉強しなさい」ではなくて「外で遊んできなさい」と言いましょう。

長くなりましたが、今回はこの辺りで。

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