栄養療法の大前提として大事なこと その3

東洋医学×分子栄養学

ストレスがかかると、カラダはそれに対抗していろいろな反応をします。
森の中でクマさんに出会う(ストレスを受ける)と「闘うか逃げる」ために交感神経が優位になるんでした。

これは神経系のコントロールです。
ですが、これ以外にもホルモン系のコントロールも働きます。

ホルモン系のストレス反応

ホルモンというのは、微量で血液を介してカラダの状態をいろいろとコントロールするための連携の仕組みです。

ストレスがかかったときのホルモンの反応として代表的なものが、副腎皮質から出されるのがコルチゾールです。

これっていわゆるステロイドのことですね。
炎症があったり、アトピーがひどかったりしたときにお医者さんに出されるやつです。

ステロイドという薬には、いろいろな作用があります。

カラダのなかの炎症を抑えたり、免疫力を抑制したりする効果があるので、さまざまな疾患の治療に使われていますが、副作用も多いため注意が必要な薬です。

このステロイドと同じ作用をもつコルチゾールが、ストレスがかかると分泌されるってことなんです。

コルチゾールのはたらき

ということでコルチゾール(ステロイド)について、少し見ていきましょう。

まず、コルチゾールには抗炎症作用があります。
炎症を抑えてくれるのでとても役に立つんですけど、もしカラダに慢性炎症があると、コルチゾールが出続けちゃいます

慢性炎症にはいろいろありました。
歯肉炎とか副鼻腔炎とか、ピロリ菌による萎縮性胃炎とか、脂肪肝とか、腸内のいろんな炎症(リーキーガットなど)とかもそうですね。

急性炎症なら、パッとコルチゾールが出て、炎症が治まれば出なくなって終わり。
ですけど、慢性炎症だとダラダラと出続けるイメージです。

それから、コルチゾールの作用に免疫力の低下というのがあります。

コルチゾールはタンパク質の産生を抑制するため、免疫系の情報の伝達物質が少なくなって、十分なネットワークが作れなくなり、免疫機能が全体的に低下するんです。

コルチゾールは体内に塩分を保持して血圧を維持し、血糖を上昇させる働きもあります。
ですからこのホルモンがたくさん出ていると、血圧も血糖値も高くなります
逆に欠乏すると、倦怠感が出現し、低血圧や低血糖になってしまいます。

コルチゾールとストレスの関係

それではこのコルチゾールとストレスの関係についても少し見てみましょう。

コルチゾールは、一時的なストレスに対応するために正常な量が分泌されます。
たとえば、プレゼンの発表や舞台などの緊張する場面に立つことによって、コルチゾールの値は10〜20分間の間に2~3倍にまで増加することが分かっています。

コルチゾールの分泌量が増えること自体は、ストレスから身を守ろうとして起きる現象ですから、瞬間的な量の増加は特に問題はありません。

ストレスが脳に働きかけて、脳下垂体から出る副腎皮質刺激ホルモンを介して、副腎皮質ホルモンの分泌に影響を与えています。

これは脳下垂体ー視床下部ー副腎を連携する伝達経路で、各部の英語の頭文字からHPA軸(Hypothamic-Pituitry-Adrenal axis:HPA axis)と呼ばれています。

脳にかかったストレスは、このHPA軸を介して副腎に影響を与え、カラダ全体の代謝に影響を与えているんです。

コルチゾールは、上にも書いたように、カラダ全身の色々な臓器に作用して、糖質や脂質、タンパク質などの代謝に影響を与えたり、血糖値を上昇させたり、炎症やアレルギー反応を抑える働きがあります。

過剰な(あるいは持続的な)ストレスがかかると、これらの様々な代謝のバランスが崩れて、身体のバランスが崩れることになるわけです。

長期に及ぶストレスによってコルチゾールが過剰に分泌されたり、副腎が疲れて必要なタイミングで分泌ができなくなったりして、その結果としてストレスに対処できなくなってしまうんです。

過剰に分泌されればメチャメチャ頑張れちゃう状態になりますし、出にくくなってしまった状態がいわゆる副腎疲労などと呼ばれる慢性疲労の状態ですね。

また、長期的なストレスは記憶を司どる脳の海馬を委縮させることが分かっています。

さらに、長期間に及ぶストレスがある場合には、免疫抑制作用により免疫力が落ちて、感染症やがんなどの発症リスクの増加にもつながります。

メンタル面に関しては、うつ病患者のコルチゾール値が高いことなどが報告されており、コルチゾールはストレスと心身の健康状態を結びつける大切なホルモンだということがわかります。

コルチゾール分泌を良い状態に保つために

さあ、では解決方法を見ていきましょう。

次の4つのポイントがあります。

  1. ストレスを解消する
  2. ぐっすり眠る
  3. 慢性炎症を減らす
  4. ビタミンCを摂る

ひとつずつ簡単に説明していきます。

1.ストレスを解消する

これは運動ですね。
交感神経優位になったときにすることと同じです。

コルチゾールの分泌バランスを整えるためには、有酸素運動が有効だといわれています。

日常的にジョギングなどの有酸素運動をしている人は、ストレスに直面したときに、運動の習慣がない人よりもコルチゾール分泌が少ないという検証結果も出ています。

その他、どうしようもない会社での人間関係によるストレスなどは、移動願いを出すなどストレスそのものを避けることが必要な場合もありますね。

2.ぐっすり眠る

眠っている間は副腎を休ませることができます。
コルチゾールの分泌は早朝が最も高くなるのですが、ぐっすり眠っている夜中にはピーク時の10分の1以下しか分泌されないんです。

ですから、しっかり眠って副腎を休ませましょう

ただし、以前も書いたことがある夜間低血糖という状態になっていると、寝ている間に血糖値が下がり、それをカバーするためにコルチゾールが分泌されて、肝臓で糖新生(血糖値を上げるための仕組み)が行われ、そのために睡眠の質が低下するということになっていまします。

ですから低血糖がある人は、まずはこちらから治す必要があります

3.慢性炎症を減らす

上にも書いたとおり、慢性炎症があるとその炎症を抑えるためにコルチゾールが出続けていまいますので、炎症をなくすことが大前提になります。

歯科、耳鼻咽喉科などを受診して、炎症の治療をしてもらうことが必要になります。

それ以外の方法としては、炎症を減らす傾向のあるオメガ3系の油を積極的に摂ることが大事ですね。

4.ビタミンCを摂る

コルチゾールの合成にはビタミンCが必要です。

コルチゾールを分泌する副腎は、カラダのなかでももっともビタミンCの濃度が高い臓器のひとつです。

ストレスにさらされるとビタミンCの消費量が高まるため、野菜や果物などのビタミンCを多く含む食品を積極的に取りましょう!

ビタミンC、大事ですね。
水溶性のビタミンなので過剰摂取を気にする必要がほぼないので、元気に思えるときでも適度(1日に1000mg×3回程度)に摂ることをオススメします。

以上、ストレスのホルモン系の反応とその対策について書きました。

今回はこの辺りで。
長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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