【東洋医学×分子栄養学】で学ぶ冬の過ごし方

東洋医学×分子栄養学

12/22はもう冬至ですね。
だいぶ寒くなってきたので、冬の過ごし方を紹介することにします。

東洋医学的な冬の過ごし方を書いている方は結構いると思うのですが、このブログは「東洋医学×分子栄養学」的な健康へのアドバイスを主眼としているので、そっち方面のことも加えて書いてみます。

東洋医学からみた冬の過ごし方

まずは東洋医学の方から。
約二千年前に書かれた東洋医学の代表的な古典である『素問』の第二篇「四気調神大論」にある文です。

訳文のみを載せます。

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冬の3ヶ月は、万物が閉じこもったりしまい込んだりする季節です。
この時期は水が氷るし、地は凍ってさけます。

自らの陽気の働きをかき乱すようなことをしないようにしましょう。

基本的に早く眠り、遅く起き、起床・就寝は日の光を基準にしてください。
心を露わにしないように、感情は抑え気味に振る舞うのがいいでしょう。
寒さを避けて暖かくし、汗をかいて陽気を損なわないように注意すべきです。

これが冬の季節特徴である「蔵」という働きにかなった養生法です。
これに反すると腎の機能が乱れて、春になって四肢が萎える病になります。
春の「生」という季節特徴に適応できなくなるからです。

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解説めいたことを少し書きます。

冬は万物が静かで落ち着いている陰の季節
だから精力を消耗しないように蓄えて、ゆったりと過ごすべき時期だといえます。

また、汗をかくと陽気を損ねる(つまり体が冷える)ので、以前に僕がやっていたようなランニング練習などの外で汗をかくような運動は控えた方がいいかもしれません。

寝起きは「早寝遅起」が良いとされています。
つまり陽が落ちたらなるべく早く寝て、陽が昇るまでしっかり寝てたっぷりと睡眠時間を取ることが大切なんですね。

冬と関係が深い腎という臓は「老化」にかかわる臓ですから、アンチエイジング的にも冬の過ごし方はとても大事だと思った方が良さそうです。

さらに、「冬の過ごし方で春以降の健康が左右される」とも書かれています。
次の季節に体調不良が出ないためにも、冬の養生をしっかり実行しましょう。

東洋医学というのは、それが引き継がれてきたという歴史自体がエビデンスですよね。
という意味で、ずっと残っているものには何かしらの理由があると考えて、守っていくべきでしょう。

分子栄養学からみた冬の過ごし方

次に分子栄養学的に考えてみた、冬の過ごし方です。
冬の寒さや冷え対策について、いくつか問題点を絞って考えてみました。

以前に別の記事でも違った掘り下げ方で書いているので、まだ読んでない人はこちらも参考にしてください。

血流を上げる

冷えの原因にはいろいろとありますが、まず血行が悪いとカラダが冷えます。
血流については2つ前の記事に書きましたので、読んでない方はまずこちらからどうぞ。

血流が悪くなる原因にはいくつか考えられますが、代表的なものは貧血です。
でも、一口に貧血といっても次のようにいろいろあります。

対策と合わせて、簡単にまとめてみました。

消化管で出血しているタイプ

便に血が混ざったり、黒くなる(タール便)などがサインです。
出血が止まらなければ貧血は決して治りませんから、栄養療法などをやるより医師の診察・治療が必要です。

鉄が足りないタイプ

鉄をサプリなどで補う必要がありますが、足りないのにはワケがあります。
摂ってなければもちろん足りなくなります。

欧米のように主食の小麦に鉄が添加されていない日本では、生理がある女性は足りなくなるのは当然なんです。

また、鉄が吸収できていない場合もあります。
サプリより先に胃腸の吸収の問題に対処しないといけない場合がけっこう多いです。

ただし鉄は、体内に慢性炎症があったりすると問題を起こしがちですので、足りないからすぐに摂りましょうというわけにはいかないところが、難しいんです。

赤血球がキチンと育たないタイプ

赤血球はいろいろな栄養素の助けで、幹細胞から赤芽球をへて正常なものへと成長(変化)します。

その過程で必要となるビタミンAビタミンB12ビタミンDビタミンE葉酸などが不足していると赤血球がキチンと育たないので、その結果として赤血球が大きくなってしまって、毛細血管などに入っていきづらくなって血流に問題を生じてしまい、冷えるんことがあるんです。

貧血以外にも、糖質の摂りすぎは血液の粘稠度を上げるので、血流が悪くなりそうです。
あとは脱水。
水が足りなければ血液は濃縮されるので、その結果として流れも悪くなります。
お水を飲みましょう。

けっこういろいろと大変なんです。

エネルギーをしっかりつくる

エネルギーが不足すればカラダを温められないので、これもやはり冷えます。

エネルギー不足の原因には、そもそも食べる量が不足している場合か、食べているのにキチンとエネルギーになっていない場合が考えられます。

食べていない場合は、食べましょう!

食べられない場合には、先ほど上でも書いたように胃や腸に問題があるかもしれません。
食べたものをエネルギーに変えるには、その過程でいろいろな栄養素が必要になります。

体内のエネルギーをATPといいます。
これって東洋医学でいう「」みたいなものですね。

これを生み出すための回路がいろいろあって、それぞれに必要となる栄養素が違うんです。
いちばんシンプルにエネルギーをつくり出せる回路は解糖系といいます。

ここで必要になる栄養素は、ビタミンB6、ナイアシン(ビタミンB3)、マグネシウム、カリウムなど。
とりあえすこれだけあれば糖質をエネルギーに変えられますが、生み出せるエネルギーはかなり少ないんです(2ATPのみでしたね)。

だから次のTCA回路(クエン酸回路)と電子伝達系もしっかり回さないと、しっかりエネルギーがつくれないわけです。

低糖質食でエネルギー切れを起こすのはこういう人です。
TCA回路と電子伝達系はミトコンドリア内にありますから、酸素が必須です。
酸欠を起こしがちな貧血の人は、エネルギーをうまくつくれない可能性が高くなるというわけです。

ミトコンドリア内でエネルギーをつくりだすのに必要な栄養素は、ビタミンB1、B2、パントテン酸(ビタミンB5)、ビオチン(ビタミンB7)、ビタミンC、ビタミンE、α-リポ酸、CoQ10、鉄、亜鉛、銅、マンガン、セレンなど。 けっこう多いですよね。

本当はどれが足りないのかキチンとチェックしなければならないんですけど、それをしっかりと推測するのは、それはまたちょっと難しいんです。

自分にどんな栄養素が足りないかを知りたい方は、私がやっている東洋医学ドックにいらしてください(笑)
詳しく教えてあげます。

筋肉を増やす

特に女性に冷え性が多い理由のひとつに、筋肉量の問題があります。
筋肉運動による発熱や血流量の増加というのは、体熱を産生するのにとても大事です。

以前に読んだ本である整形外科医が書いていましたが、「歩くだけでは筋肉は増えない」とのことです。

やはり、冬こそ筋トレをしましょう!

でも、ジムに行ってダンベルを使ったトレーニングなんかをする必要はありません。
自重トレーニングで十分です。

具体的には下肢のなるべく大きな筋肉をつけたいので、スクワットなどがオススメですね。
姿勢をキープするための筋力までないような人(ときどき患者さんで見かけます)は、立って姿勢をキープする時間を増やすことから始めないと、筋トレレベルまでいけません。
焦らず、毎日少しずつ、ステップバイステップでつけていきましょう。

ただし筋肉をつけるためには筋トレが必要なので、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動ではないので、こちらはほどほどしてください。

もちろん、筋肉をつけるには元になるタンパク質が必要なのはいうまでもありませんし、タンパク質を消化吸収できるかどうかもとても重要ですね。

プロテインは消化吸収が必要なので、アミノ酸で摂った方がいい人も結構多いですよ。

冬に影響を受けるビタミン

それ以外で冬に関係しそうな分子栄養学的に考えられることについて書いておきます。

冬は基本的に日照時間が短くなりますし、日に当たる時間も皮膚の面積(露出が夏より減るという意味)も減ります。

そこで不足しがちなのは、ビタミンD

ビタミンDが不足すると、うつになりやすくなったり、免疫状態が落ちたり、いろいろと影響が大きいんです。

日照時間が短い北欧では、この時期には子供にもサプリメントでビタミンDを摂らせているようです。 冬はうつも増えますからね。

日に当たる機会が少ない人は、サプリメントで摂るようにしましょう。
ビタミンDは血中濃度が上がってくることが大事なんですけど、脂溶性のビタミンなので食後に摂るようにしてください。

食事には油が含まれているので、消化吸収のために胆汁酸が出ます。
この胆汁酸が脂溶性ビタミンの吸収には必要不可欠なんです。

ちょっと長くなり過ぎましたが、今回は冬の過ごし方でした。
今回はこの辺りで。

ちょっと告知があります

私はこの【東洋医学×分子栄養学】を鍼灸師の先生方に広めていきたいと思っています。
そのためには、専門学校で1コマ講義をするとか、流派などの勉強会で話すことはいといません。
ご要望があればどこへでもいく覚悟ですので、お気軽に下のボタンからお問い合わせください。

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