カラダの声は聞けば健康になれるのか?

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。
今回は、自分の健康を自分で守るために大切だと思う「カラダの声」について書いてみます。

健康は他人が守ってくれるものではなく、自分で守るものです。
健康への影響がとても大きい食事は、まさに自分で選ぶ(べき)ものです。

「病気になったら病院に行って薬をもらえば治る」と思っているひとがたくさんいるように思いますが、それは間違いだと思います。

薬を飲んでも治らない場合が多いこと、薬には(例え漢方薬でも)基本的に副作用があること、を知っておくべきです。

そんなふうにならないために、カラダの声について考えてみましょう。
今回もちょっと長めです(笑)

カラダは声を発している

「カラダの声に正直に生きよう!」ってよく聞く言葉ですよね。
そういわれると、なんとなくナチュラル系でカラダにやさしい感じがします。

じゃあ、カラダの声を聞いて、それに正直に従えば本当に健康になれるんでしょうか?
そういうことについて、「東洋医学×分子栄養学」的に考えてみます。

まず、カラダの声ってなんでしょうか?

東洋医学的にいうと、「カラダがだるいのは調子が悪いから動かないで」っていうカラダのサインです。

食欲がないのは、「食べた物の消化や吸収でエネルギーを使ってる余裕がないくらいいまは病気に対抗して頑張らなければならないから、食べないで」っていうカラダのサイン。

もちろん痛いってことは、「具合が悪いからしばらくは動かさないで」っていうサインですね。

これがカラダの声。

そういう、自分のカラダが発している小さな声を丁寧に聞き取って、それに応えることは健康を守るためにすごく大事なことです

現代人のように、忙しくて自分の声を無視してでもやらなきゃならないことがいろいろある(ホントにそうかなぁと僕自身は疑問に感じていますが…)と、そんな声を聞かなかったり見なかったことにして、頑張り続けてしまうことが多いのかもしれません。

私が考える生活習慣病って、まさにこの「自分のカラダの声を無視し続けること」の積み重ね(習慣化)によってなる病気です

だから、カラダの小さな声を聞く耳を持つことは、健康なカラダでいるためにとても重要だと考えています。

食べ物についても、カラダからの声はあると思います。

鉄不足で貧血の場合、氷をガリガリ食べたくなるん人が多いんですけど、これって固いもの=鉄が足りてないっていうサインかもしれませんね。

鉄が足りていない患者さんは、チョコレートの人がかなり好きが多いんですけど、カカオには豊富に鉄分が含まれているんです。

だから自然にチョコレートに手が伸びてしまうのかもしれません。
これもカラダの声ですよね。

なんとなく今日は野菜をモリモリ食べたいとか、妙に肉が食べたいなぁとかありますよね。
これも野菜に含まれているビタミンとか、肉に含まれているタンパク質が足りというサインかもしれませんね。

できるだけそういう声に従って食べた方が、足りない傾向の栄養素が摂れるんだと思います。

でも、こんな声が聞こえてくるのはたぶん「未病」の段階のうちだけ。
しかも積極的に声を聴こうとしている人にだけ聞こえるように思います。

この声を無視し続けると、徐々にカラダは「病気」の段階に入っていって、声すらも聞こえなくなってくる。

さらに病気のステップが進むと、カラダの声はときに逆方向の声を発するようにもなるんです。

カラダの声が破綻へと導く?!

分子栄養学的に患者さんのカラダを診ていると、じつはそのひとに足りないものほど食べられないことがわかります。

タンパク質不足のひとは肉が苦手なひとが多いですし、脂質が不足している人は油っぽいものが苦手だったりしますし、鉄不足のひとはムカムカして鉄剤を飲めないんです。

前にも書いたように、タンパク質が吸収できないのは胃酸が少ないことが大きな理由のひとつです。
でも胃酸もタンパク質でできているので、タンパク質が足りないのにタンパク質を食べるのが苦手になるんです。

例えば、鉄不足のひとのパターンはこんな感じです。

胃酸の出が悪い → 鉄が吸収できない → 鉄欠乏になる → 酸素不足でTCA回路が回りにくい
→ 糖質以外の栄養からエネルギーがつくりにくい → 糖質でエネルギーを取るしかない
→ 甘いもの好き → さらに鉄が不足する

胃酸の出が悪いから鉄が取れないってことは、根本治療は鉄の補給ではないですね。

特に日本の女性は生理があるうちは1日に最低でも10.5mgの鉄が必要なので不足気味になりますが、男性で鉄欠乏のひとは甘いもの好きのひとが圧倒的に多いです。

ところで、日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が死ぬといわれる「がん」細胞のエネルギー源は、糖質がメインです

がん細胞をみつけるのに使うPET検査は、「糖が集まっているところ=がん」とみて診断する検査ですからね。

だから、がん細胞を増殖させたくなければ、糖質をしっかり控えるべきだということになります。
でも、がんになるとカラダが異常に糖質を欲しがるみたいです。

これはがんを克服して健康になるためのカラダの声を、がん細胞が元気になるための声が上回ってるからかもしれません。

つまりこの場合は、糖質が欲しいというカラダの声に従うと、破綻(がんが進行して最悪の場合、死ぬ)へと向かうということを意味しています。

カラダは破綻に向かうような声を発するようになることがある、ということも知っておくべきでしょう。

東洋医学的にみたカラダの声としての五味

東洋医学的に食材を選ぶ要素のひとつとして五味というものがあります。

酸味、苦味、甘味、辛味、鹹(塩)味の五つの味です。
注意しておくと、甘味は砂糖とかの甘味ではなく、食材がもっている自然の甘みのことです。

それぞれが同じ五行に属する特定の臓と親和性を持っていると考えられています。
具体的には、肝は酸味と、心は苦味と、脾は甘味、肺は辛味、腎は鹹味と関連が深い、という具合です。

東洋医学の重要な古典のひとつ『霊枢』の五味篇には、それぞれの味は同じ行に属する臓に栄養を与えるとされています。

つまり肝が弱っていたら酸味をとると、肝に栄養が与えられるということです。

また五臓だけでなく各臓に関連するカラダの組織にもいい影響があると書かれています。
つまり酸味は筋、苦味は血、甘味は肉、辛味は気、鹹味(塩味)は骨を強くするということ。

筋の栄養に酸味。

これって筋肉を良い状態にしたかったら酸味を摂れってことですけど、栄養学的に考えると筋肉の材料はタンパク質で、タンパク質を吸収するためには胃酸が必要だから、胃酸の出を良くするために酸味を摂った方がいい、というふうにも解釈できますね。

あながち僕の勝手な解釈でもなさそうな感じがします(笑)
だとすると、やっぱり東洋医学って凄いです。

五味に関しては、それ以外にも五禁というのがあって、肝の病には辛味、心の病には鹹味、脾の病では酸味、肺の病では苦味、腎の病では甘味を取るのが良くないとされています。

こんなことを利用すると、味の好みなどでそのひとがいまどの臓を病んでいるかを推測したり、その病で取るべき味や取らない方がいい味をアドバイスしたりすることが可能になるというわけです。

メチャクチャ面白いですよね!

まとめ

以上の内容をまとめた結論としては、下記のシンプルな法則が出てくるように思えます。

  • カラダの声に従うかどうかはそのひとの状態によっても違ってくるので、一概に従えばいいというわけではない
  • 場合によってはカラダの声は破綻へと導く場合もあるので、気をつける必要がある
  • しかしながら、小さなカラダの声を無視しないことが自分の健康を自分で守るためには最低限必要なことである

今回はこの辺で。

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