フレイル予防にりんご!?

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。

突然ですが、「フレイル」って知ってますか?
簡単にいうと「加齢によって心身が老い衰えた状態」のことです。

要介護状態へ移行する原因の約80%はこのフレイルといわれていて、これをどう予防するかがいま注目されています。

年代によっては、親の介護や自分自身の老後に関わる重大事ですね。
今回はそんなフレイル対策のお話です。

フレイルってなに?

そもそもフレイルとは何か? はじめにちょっと説明しておきますね。

厚生労働省研究班の報告書では、
「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」
とされています。

要約すると、健康な状態と介護が必要な状態の中間であることを意味しています。

多くの人がフレイルをへて要介護状態へ進むと考えられているんですけど、当然のように高齢者においては特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。

高齢者がどんどん増え続けている現代の日本社会において、フレイルに早く気付いて、それに対して正しい治療や予防を施すことがとても大切だということがわかると思います。

このことは、親の介護問題や自分自身の老後にとっても重要なこと。
それをどうやって予防するのか、その対策をこの後で見ていきます。

フレイルの4つのリスク因子

今回参考にさせていただいているのは、2024年1月26日(腸内フローラの日)に青森県りんご対策協議会が開催した「いま注目の“健康・長寿”における食と腸内細菌の役割 腸内細菌叢におけるりんごの生体調節機能に関する研究報告」と題したイベントのなかで、京都府立医科大学大学院医学研究科教授の内藤裕二先生が発表した講演です。

テーマは「京丹後長寿研究から見えてきたフレイルの現状~食と腸内細菌の役割~」で、日本有数の長寿地域である京丹後市で実施している京丹後長寿コホート研究から得られた最新知見を紹介したものです。

内藤先生は、フレイルのリスク因子は大きく分けて4つあるとしています。

1つ目は「代謝」。
糖尿病や高血圧症、がんなどの既往歴や肥満などがここに入ります。
実際に、京丹後市のフレイル状態の人には、やせている人はほとんどいないとのことです。
つまりは生活習慣病の予防がとても大事ってことですね。

2つ目は「睡眠」。
これは睡眠時間の長短とかではなくて、睡眠の質が大事だという意味です。
身体を修復するとても大切な時間である睡眠の質を上げることが、重要なんですね。

3つ目は「運動」。
これは積極的な筋トレや有酸素運動などというよりも、日常的な身体活動度の低さがリスク因子になっているとということです。
よく書いているように「なるべく座っている時間を短くすること」などがまずは大事だと思います。

4つ目は「環境」。
これには食事内容、薬剤の服用状況、居住地などが含まれます。

このなかで、内藤先生は食事と運動の重要性を強調しています。
やっぱり当然のように日々の食事と運動が大事なんですね。

高タンパク質食はフレイルの予防にならない!?

この講演のなかでは、フレイルと非フレイルを比較した未発表データの報告があります。

3大栄養素について検討すると、フレイルの有無によって脂質や炭水化物の摂取量には差がなく、タンパク質についても植物性タンパク質がフレイル群でわずかに少ないのみだったとのこと。

これはちょっと意外でした。

よくいわれるように、「肉をたくさん食べている年寄りは元気」なのかと思っていました。

もちろん最低限のタンパク質はカラダを維持するために必要なのはいうまでもありません。
ただ、「タンパク質って難しい」といつも書いているように、タンパク質は消化が難しかったり(胃酸や消化酵素がキチンと出ていることが大事)、代謝過程で余計なゴミ(主に窒素)が出ることがあったりします。

そういう意味では、ただ単純に効率がいいという理由で動物性タンパク質ばかりをガンガン摂るのではなくて、植物性タンパク質も併せて摂る必要があると考えられますね。

フレイル予防に有用な栄養素とは?

ただフレイルと非フレイルのデータでは、ミネラル、ビタミン、食物繊維を加えた6大栄養素で比較すると、フレイル群はカリウムやマグネシウム、ビタミンB群、食物繊維の摂取が少なかったそうなんです。

また、食物繊維を多く含む食品のなかで、野菜(非緑黄色野菜)や豆類の摂取がフレイル群で少なかったんですね。

この京丹後長寿コホート研究では、食物繊維の摂取が腸内細菌叢に影響することもわかってきていて、食物繊維の摂取と酪酸産生菌の Eubacterium eligens (ユウバクテリウム・エリゲンス)の量に相関が認められたそうです。

この Eubacterium eligens を増やすのに必要な食物繊維はペクチンです。
そのことから内藤先生は「りんごにはペクチンが多く含まれており、フレイル群で不足していたカリウムやマグネシウムも多く含まれているので、フレイル予防に役立つのではないか」と述べています。

単品の摂取でどうこうするという考え方はあまり好きではないのですが、フレイル群で不足していた栄養素の中身は参考になりますね。

ちなみにペクチンの主な作用としては、便通の改善や腸内環境改善、血清コレステロールの低下、食後血糖値の上昇抑制などがあります。

またペクチンを多く含む水溶性食物繊維は、摂食された後に小腸で消化されずに大腸に送られて腸内細菌によって分解・発酵されて、酢酸や酪酸などの最近注目されている短鎖脂肪酸を作り出します。

食物繊維について、「日本人の食事摂取基準」では成人男性は21g/日以上、成人女性は18g/日以上が摂取目標値とされています。

ですが最新のWHOの基準では、10歳以上の男女は天然由来の食物繊維を25g/日摂取することが推奨されているんです。

つまり日本人は食物繊維の目標量すらも不足しているということ。
当然、摂取量についても不足しているんですよ。

りんごに限らず、ペクチンは野菜類よりもレモン、オレンジなどの柑橘類などに多く含まれています。 逆にペクチンが少ないフルーツは、キウイ、メロン、なし、かき、いちごなどです。

どうせ食べるならペクチンが多い果物を選んだ方がいいかな?

まとめ

この内容って、前回に書いた「添加物を気にするより、ビタミン・ミネラル不足を解消しましょう」と基本的には同じことですね。

フレイル予防には「りんご」ということですけど、この講演の主催が青森県りんご対策協議会だってことに気づくと、りんご以外のペクチンやカリウム、マグネシウムも多く含まれている食材を探したくなりますね(笑)

ちなみにカリウムについては、藻類、果実類、いも類、豆類、肉類、魚介類、野菜類など広範囲の食品に多く含まれています。

基本的に生鮮食品に多く含まれているので、加工品や精製品を摂る機会が増えると不足しがちになるので注意しましょう。

マグネシウムはニガリを飲み物などに入れて1日に20滴くらい摂ってみてくださいね。

今回はこの辺で。

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