鍼灸は効いているのに、患者が変わらない——その違和感の正体

東洋医学×分子栄養学

「施術直後は楽になるんです」
「その日はよく眠れました」
患者さんから、そんな言葉をもらうことは少なくありません。

それ自体は、鍼灸師として嬉しい瞬間です。
けれど一方で、数日後、あるいは次の来院時に、また同じ訴えを聞く。
症状は大きく変わらず、生活もあまり変わっていない。

鍼灸は効いている
でも、患者は変わっていない。

この “言葉にしにくい違和感” を、あなたも感じたことがあるのではないでしょうか。

技術の問題では説明できない現象

こうした場面に出会うと、多くの鍼灸師はこう考えます。

  • 刺鍼が甘かったのか
  • 取穴が違ったのか
  • まだ修行が足りないのか

もちろん、技術の研鑽は大切です。
しかし、臨床を重ねるほどに気づくはずです。

同じように施術しても、変わる人と変わらない人がいる。
しかもそれは、技術レベルだけでは説明がつかない。

ここに、鍼灸臨床のもう一つの層が存在します。

「身体が変われる状態かどうか」という視点

分子栄養学の視点を知ると、この違和感に一つの答えが見えてきます。
それは、その患者さんの身体が「変われる状態」にあるかどうかです。

鍼灸は、

  • 自律神経を整える
  • 血流を改善する
  • 回復スイッチを入れる

非常に優れた治療法です。
しかし、その回復を「維持する材料」が不足していたらどうでしょうか。

  • 疲労が抜けない
  • 睡眠が浅い
  • 常に不安感がある

こうした状態の背景には、かなりの確率で栄養・血糖・ホルモン・エネルギー代謝といった要素が複雑に絡んでいます。

【臨床シーン】よくあるケース

例えば、

  • 不眠
  • 動悸
  • 日中の強い疲労感

を訴える患者さん。
鍼灸で副交感神経が入り、その日は眠れる。でも数日で元に戻ってしまう。

このようなケースでは、

  • 夜遅い食事
  • 朝食抜き
  • 甘い物でエネルギーを補っている

といった生活背景が隠れていることが少なくありません。

鍼灸で整えても、低血糖や慢性的なエネルギー不足が続けば、身体は元に戻ろうとします。
ここを診立てられるかどうかで、臨床の見え方が大きく変わります。

鍼灸と分子栄養学は「役割」が違う

重要なのは、鍼灸で全部を解決しようとしないことです。

  • 鍼灸は「調整」
  • 栄養・生活は「土台」

この役割分担が明確になると、鍼灸師の臨床はむしろ楽になります。

「効かせなければ」というプレッシャーが減り、「いまはここを整える段階ですね」と、落ち着いて説明できるようになる。
結果として、患者さん自身も「自分の生活を見直す視点」を持ち始めます。

なぜ “知っている鍼灸師” は結果が安定するのか?

分子栄養学を臨床に取り入れている鍼灸師は、決して難しい理論を患者に説明しているわけではありません。

  • なぜいま、疲れが抜けないのか
  • なぜ回復に時間がかかるのか
  • 何を整えると、鍼灸が効きやすくなるのか

この「診立ての軸」を持っているだけなのです。
だから、

  • 施術計画がブレにくい
  • 患者への説明に迷わない
  • 治療効果が安定する

という変化が起こります。

違和感を放置しない鍼灸師へ

「鍼灸は効いているのに、患者が変わらない」、この違和感はあなたの臨床感覚が鋭い証拠です。
そしてそれは、次のステージに進むサインでもあります。

今回お伝えした内容は、分子栄養学の“ほんの入り口”にすぎません。
実際の臨床では、

  • どこまで鍼灸で診るのか
  • どこから生活・栄養を見るのか
  • どう患者に伝えるのか

といった判断が重要になります。

皆さんにはそういった判断ができる鍼灸師になってほしいと思っています。
今回はこの辺で。

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